藤原翔太著『ブリュメール18日 革命家たちの恐怖と欲望』(2024年、慶應義塾大学出版会)が、勉強になりました。
紹介には、次のように書かれています。
・・・ナポレオンが総裁政府を打倒し権力の座についたクーデタ「ブリュメール18日」。本書ではこのクーデタを、ナポレオンが独裁を志向した結果として捉えるのではなく、むしろフランス革命の成果を守るために、改憲派の革命家たちがナポレオンを権力の座に引き上げた事件として理解し、革命家たちの視点に立って考察する。革命期に発展した民主主義を、思いどおりに制御できなかった革命家たちが、まさにその民主主義のなかから権威主義体制を形成していく過程を、派閥の動向、憲法、選挙制度、地方行政の改革をとおして明らかにする・・・
国王を処刑して、封建制度を廃止し、民主主義を導入したフランス革命。ところが、いつの間にか、ナポレオンが皇帝になります。それだけを見ると、なんのための革命だったのと、????です。
子どもの頃に読んだ偉人伝には、必ずナポレオンが入っていました。でも、どのようにして、民主主義を目指した革命が、皇帝独裁に変化したのか、よく知りませんでした。
いかにナポレオンが天才で有能であっても、簡単に革命の成果を横取りすることはできません。彼を担ぎ上げた社会状況、政治状況があったのです。もちろん、担ぎ上げられるだけの人望はあったのです。ただし、その神輿に乗っているだけでは、皇帝にはなれません。そこからが、彼の知恵と腕の見せ所です。
この本を読んで、よくわかりました。