職場内訓練が少ない日本

12月25日の日経新聞「2025年を読む 変革の行方2」は「賃上げ定着へ生産性向上 人材教育投資こそ成長のバネ」でした。

・・・高い賃上げを定着させるには、裏付けとなる生産性向上に企業が正面から向き合う必要がある。

サントリーホールディングスは9月下旬、2025年春に7%の賃上げを目指すと表明した。過去2年と同水準だが、内情は異なる。一つは海外消費が弱くなっている点。もう一つは賃上げ持続への施策を労働組合と対話し始めたことだ。
ベースアップ(ベア)が毎年積み上がる負担に不安を漏らす経営幹部もいる。だが新浪剛史社長は人材獲得と消費喚起へ賃上げが不可欠だと説く。活路とするのは社員が生み出す付加価値の最大化だ。「賃上げと人材育成の両輪を回して生産性向上を目指す」と河本光広執行役員は話す。

「完全なゲームチェンジ。今後は人件費など様々なコストの上昇を前提にした経営が不可欠だ」。食品スーパー大手、ライフコーポレーションの岩崎高治社長は話す。
同社のパート・アルバイトは約4万4千人。24年春に6.6%賃上げしたが、競合他社との人材の取り合いで足元の時給はさらに上昇。20年代に最低賃金1500円という政府目標も「全国では無理でも東京都ではありうる」と身構える。
粗利率の改善や省力化投資を進めるが、カギとなるのはパートの生産性向上だ。本社の指導員の人数を2年で100人増の450人とし、複数の業務ができる多能化を目指す。非正規社員への教育投資は少ないのが一般的だが、「待遇改善と能力開発を一体で進める」と岩崎社長は言う・・・

記事には次のような記述があり、各国(中国、アメリカ、イギリス、スウェーデン、ドイツ、フランス)の職場内訓練を受けた人の割合が図になって載っています。
・・・日本の賃金は上昇し始めたが、人材教育投資は心もとない。リクルートワークス研究所の調査では、23年に職場内訓練(OJT)を受けた人は日本は39.8%。ドイツの半分強の水準で7カ国で最低だ。人を資本と捉え、その価値を最大限に引き出す「人的資本経営」をいくら唱えても、着実に投資しなければ付加価値は増えない・・・