三位一体改革その5

将来予測
2004年度の地方財政計画・地方交付税は抑制型でした。しかし、まだまだ日本の国家財政と地方財政は、大幅な赤字です。増税をしない限り、歳出削減は続きます。
関係者の心配は、「今年は、基金を取り崩したりして予算が組めたが、これから先どうなるのだろう」「三位一体はまだ2年間続くが、来年・再来年はどうなるのか」ということだろうと思います。
量的削減
「交付税は、この先いくら減るか?」という質問をよく受けます。それを決めるのは、内閣であり国会です。しかし、借金をしないようにするならば、交付税と臨財債は半分にまで減らす必要があります。
16年度は、交付税の実力(法定5税分)は11兆円です。一方、交付税総額は17兆円、これに地方特例交付金1兆円、臨時財政対策債4兆円を足すと、22兆円を配っています。差額は、国と地方の借金です。借金をしないとするなら、交付税などの配分額を半分にするか、増税するかしかないのです。
この点については、拙著「新地方自治入門」第5章をご覧ください。
質的削減
では、何でもかんでも削減するか、というと、そうではないでしょう。私は、次のように考えます。
①国家が守るもの
赤字国債を出してでも、国家が地方交付税や国庫負担金で財源保障するもの、しなければならないものがあります。それは、基礎的教育・保育・生活保護・介護・医療などの福祉・衛生・消防・警察です。
これらの「基本的部分」は、最後まで国家が責任を持つでしょう。もっとも、自治体が自らの負担でサービスの上乗せをすることは自由です。
②地方団体が「自由に」
逆に、国家が責任を持たない可能性のあるものは、次のようなものでしょう。公共事業・地域振興・産業振興・総務管理費・議会費などです。これらは、一定部分は国が財源保障をするとしても、多くは「各自治体が自らの財源でやって下さい」ということになるでしょう。
負担と選択
地方自治・分権とは、地域が自らの負担で自らのサービスを考えることです。「お金が足らないのは国のせいだ」と言っている限りは、自治とは言わないのでしょう。
私の説について、「冷たい」という意見が寄せられています。そうでしょうか?これまで通りに交付税を配分しようとするなら、増税か借金しかありません。「歳出カットはいや」、「交付税を減らすな」「臨財債をこれまで通りに」とおっしゃるなら、あわせて、
①増税しよう、か
②子や孫に大きな借金を残そう
のいずれかも合わせて主張して下さい。
景気回復では、この収支不足を埋められないことは、拙著に書いてあります。(2月12日)