カテゴリー別アーカイブ: 図書紹介

地方行財政-図書紹介

外国の地方行政

自治体国際化協会(クレア)から、レポート257号「フランスの都市計画」の他「スウェーデンの地方自治」「イギリスでの地域リーダーシップの強化と公共サービスの高品質化」という冊子が発行されました。
このうち「イギリスでの地域リーダーシップの強化と公共サービスの高品質化」は、ブレア政権が進める地方自治制度改革の根拠となっている白書の翻訳です。
イギリスでは、総選挙の際に政党がマニフェストを国民に示します。政権を取ると、そのマニフェストを実行するために、より具体化した「白書」ホワイト・ペーパーがつくられます。そして、ものによっては法律が作られ、また実施計画の達成状況が政策評価を受けて公表されます。
地方自治制度改革もこのような手順を踏むため、「法律改正」もしばしばあるとのことです(前回の出張で聞いてきました)。イギリスの地方自治全般については、同じくクレアから「イギリスの地方自治」という立派な本が、昨年発行されています。
ヨーロッパ探検記でも書きましたが、日本も地方自治という制度は欧米をお手本にそろえましたが、運用はかなり違うようです。この本は、制度改革の進め方や目標などについて、おもしろいことが書いてあります。日本は制度を「輸入」する時代は卒業しましたが、運用や精神はまだまだ見習うことが多いと思います。

地方税制改革の方向

先日、地方自治制度改革についての久元論文を紹介しましたが、地方税については、板倉敏和自治税務局長執筆「地方分権と地方税」があります。「自治研究」4月号(第一法規)に掲載されています。今後の税源移譲の方向や、分権を進める上での地方税制の問題点について議論しておられます。
この論文も、「決まったことの解説」ではなく、「私見」を展開しておられます。わかりやすい論旨です。一読ください。

自治制度改革の方向

自治研究」5月号(第一法規)に、久元喜造総務省行政課長が、「地方自治制度改革の方向と展望」と題して、論文を書いておられます。今国会に提出している地方自治法改正を中心に、その背景や今後の方向についてつっこんだ議論をしておられます。
課長の視点は、これからの制度改正は、「単なるパッチワーク的な制度改正の寄せ集めではなく、地方自治制度の改革ともいうべき大きな流れになっていく」「小石をいくら積み重ねても岩にはならない」というものです。
私も大賛成です。これまでの自治制度の議論は、改正結果と制度の解説で、将来方向が見えませんでした。関係者の方に、これに続く論文を期待します。

新刊:交付税の資料

平成16年度版「地方交付税のあらまし」(地方財務協会、税込み800円)ができました。地方交付税制度と地方財政の仕組みを解説した図表・資料集です。三位一体改革についても、最新の資料を盛り込んであります。
元々は、10数年前に私が交付税課の課長補佐をしていたとき、講演や講義・国会議員への説明に使う資料を整理して印刷してもらったものです。その後、充実して現在のかたちになりました。毎年度4月の始めに出版しています。「わかりやすい、最新の資料」だと自負しています。ご利用ください。

持田先生の新著

持田信樹東大教授が「地方分権の財政学-原点からの再構築」(東京大学出版会)を上梓されました。税源配分・地方交付税の制度設計・地方債制度の将来像等のテーマからなる「分権的な財政システムの構築」を目指す論文集です。外国での研究の成果も入っています。関係者や関心ある方には、ぜひ読んでいただきたいと思います。
このような理論的基礎に支えられ、財政の分権が進むのだと思います。改革の実行には、「研究者による理論」と「実務家によるデータの提供と選択肢の提示」と「関係者と国民の理解」と「政治の決断」が必要です。
拙著も、引用していただきました。三位一体改革が進みつつあるので、私も「地方財政改革論議」を書き換えなければと思っています。