カテゴリー別アーカイブ: 2017年春学期・公共政策論Ⅰ

慶應義塾大学、公共政策論成績評価

今朝は早くから、書斎に閉じこもり、冷房を入れて、公共政策論のレポートを読んで、成績をつけました。
様々な現在の日本社会の課題を取り上げて、彼ら彼女らなりの対策を書いていました。また、参考文献を読んだり新聞記事を探したり、努力の跡が見られます。少子化、高齢化、過疎化、働き方改革、女性の活躍、子どもの貧困、定住外国人、孤独防止などのほか、地震などの災害対策などもありました。社会の問題そのものではなく、その対策の不備や遅れを取り上げたものもありました。
これは間違いなくAというレポートは、読んでいて気持ちがよいです。C評価は、何度も悩みます。何か良い点を見つけて、Bに上げられないかと。B+も、よい点を探してAにできないかと読み返します。毎回のことですが、学生が一生懸命書いたレポートですから。

学生諸君へ
春の小レポート講評でも示しましたが、改めて評価基準と、よい例、悪い例を示しておきます。
(悪い例)
大半の人は、小レポートの講評で教えた「レポートの書き方」「読みやすい文章」を守っていましたが、まだ読みにくいものがありました。
書式を守っていないもの。表題なし、冒頭に要旨が書いていない、ページ番号を打っていないものです。
指示を守っていないもの。参考文献がない、新聞記事などがないものです。
誤字がいくつかありました。「橋木俊詔」ではなく「橘木俊詔」先生です。「脂肪時点」「夕食者」は「死亡時点」「有職者」の間違いでしょう。「に桑部手2割減少」は「に比べて2割減少」ですかね。提出前に、読み返しましょう。
見出しが付いていないもの、1ページにわたって改行がないもの、1文が10行以上続いていて「。」が出てこない文章は、読みにくいですね。
参考文献を書く際に、表題だけのもの。著者名、出版年、出版社を付けてください。

(評価)
「あなたが考える対策を述べなさい」と指示してあるのに、読んだ本の要約で終わっているものは、評価が低くなります。自分で考えて書いてあるものは、少々その案が甘くても、高く評価しました。
対策が具体的でないものや、デメリットなどを考えていないものは、低くなります。対策の主体がはっきり書いてないものも、評価は低いです。
それでも、よく調べてあるものや対策が書かれていれば、Bをつけました。

慶應義塾大学、公共政策論成績評価レポート

慶應大学から、公共政策論の成績評価のレポートが届きました。68人の力作です。これから、じっくり読んでと採点します。
おおむね3ページから10ページをめどにと指示してあったのですが、たいがいの学生は5~10ページ書いています。予想されたことですが、けっこうな分量です。
明日は授業がないなあと、少し余裕を持っていたのですが(苦笑)。

慶應義塾大学、公共政策論第14回目

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第14回、最後の授業でした。官僚の役割を実例を基にお話しした後、おさらいをしました。
一つは、私が考える公共政策論についてです。何を(社会の課題)、誰が(主体)、どのように解決するか(手法)について、従来の公共政策論より視野を広げました。社会のリスクは時代とともに広がっていること(かつては個人の責任だったものが、社会のリスクになっていること)、主体は、政治と行政だけでなく、企業や非営利団体も重要な主体であること。すると、規制・誘導・提供などの手法だけに限らないこと、などです。
もう一つは、実務家教員として経験を踏まえた、社会の見方や考え方です。これは、毎回の授業で折に触れて、お話ししていたことです。

その後、アンケートに答えてもらいました。この授業で何を学んだかと、私の授業についての評価です。慶應大学の学生は、紳士淑女ですね。多くの学生が、A4用紙にびっしりと書き込んでくれました。
「学んだこと」については、私が教えたかったことを、焦点の違いはありますが、それぞれに適確に書いてくれました。「新聞を読むようになりました」という記述も多かったです。
「授業への評価」も、高い評価をもらいました。「本に書いてないことを教えてもらった」「実体験の雑談が勉強になりました」「配ってもらう資料やレジュメがわかりやすかったです」とです。
毎回、学生に意見や質問を書いてもらい、次回の授業で主なものに答えるようにしました。これは、評判がよかったです。「前回授業の質問への回答がうれしかった」「ほかの学生が何に興味を持っているかが分かりました」「ほかの学生が、私とは違う考えだと分かりました」とか。

批判もありました。「話がどんどん広がるので、理解するのが難しかったです」「板書が汚くて読めませんでした」など。
多くの学生に喜んでもらえたことが、一部の学生には不満だったこともあります。「教科書を読んでいることを前提に授業をするので、わかりにくかったです」「前回授業への回答が長すぎます」「脱線が多いです」。もっとも、この不満は少数でした。もらった意見は、今後の授業に生かしましょう。

今日も55人の学生が出席したのですが、多くの学生が、14回を休まずに出席しています。9時開始の授業は、学生にとってはつらかったと思います。そのように記入した学生が、何人もいました。「でも、出席して良かったです」とも書いてくれました。

成績評価はレポートで行います。どのようなレポートが出てくるでしょうか。また、私の振り返りについては、別途書きましょう。

慶應義塾大学、公共政策論第13回目

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第13回の授業でした。公共政策の「元締め」である政府の役割について、機能別に分類してお話ししました。政府の役割を分類したものって、ないのですよね。かつてつくった表を配り、説明しました。

その際に、政治(学)、行政(学)、社会(学)と、公共政策論がどのような関係にあるのかを説明しました。「岡本先生の公共政策論の位置づけが分かりました」という学生の反応がありました。この授業では、関心を持ってもらうために、具体的各論から入ったので、私の公共政策論の全体像がわかりにくかったかもしれません。もっとも、抽象論や理論を話しても、面白くないでしょう。

さらに、政府の役割の具体例として、麻生政権での政策体系をお話ししました。
麻生総理の政策、目指したものは、一言でいうと「安心と活力」でした(官邸、麻生内閣のページ)。社会では高齢化、財政は赤字財政、そしてリーマン・ショックによる世界同時不況。これらに立ち向かう際の、大きな方向性が、安心と活力だったのです。それを、国民にわかりやすく示すこと。これは重要だと思います。
残念ながら「マニフェスト」は、民主党政権の失敗(実現困難なことを並べたこと)で、国民の口に上らなくなりました。しかし、政治家(政党)にとって、どのような政策を実現するかを国民に示すことは重要です。それも、羅列でなく、一貫性があり分かりやすくなければなりません。

慶應義塾大学、公共政策論第12回目

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第12回の授業でした。今回は、前回、前々回に出してもらっていた、学生からの質問に答えることから始めました。企業の社会的責任やNPOの限界、安心の保障は国民の自立を妨げるのではないかなど、適確な質問ばかりです。
ほかに、「採用面接の際は何を見ていますか」という問も。これは、私の経験を踏まえて、突っ込んだお話をしました。公共政策論の範囲ではありませんが、実務家教員こそがお話しできる分野です。

本論は、戦後日本70年間の経済成長、社会の変化、暮らしの変化を数字で説明し(経済成長の軌跡)、豊かさが目標だった時代と、豊かになった時代の、行政の役割の違いをお話ししました。
エリートを育てることと、何かのきっかけで落ちこぼれた人を救うことと。これまではもっぱら前者に力を入れていましたが、後者にも力を入れる必要があります。これは、スウェーデンの中学社会科の教科書を見せました。
日本社会の変化とともに、社会の不安と公共政策の範囲が変わってきます。これが私の主張です。

学生諸君
授業中に言及した、戦争を会社に外注することについては、次の本が参考になります。
菅原 出 著『民間軍事会社の内幕』(2010年、ちくま文庫)