カテゴリー別アーカイブ: 慶応大学

慶応大

慶應大学、地方自治論Ⅱ第3回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第3回目の授業でした。
予算と決算について説明しました。自治体の予算案がつくられ、議会の審査を得て成立し、実行されること。そして、結果としての決算も審査されること。一般会計、特別会計、公営企業会計の区分。一般会計の収入と支出の内訳など。
相模原市役所に提供してもらった小冊子「予算事始」を使いました。これは、なかなかの優れものです。抽象論をしても、学生はわかりませんからね。相模原市さん、ありがとうございます。

あわせて、予算で見えることと、見えないことを説明しました。一般的には予算額が増えることは良いことと思われますが、公害対策費などはない方が良いこと。インプット、アウトプット、アウトカムの違い。フローとストックの違いなど。

普通の教科書には、載っていない事柄です。教科書に載っていることなら、学生たちは読めばすみます。私の講義は、教科書に載っていることのうち重要な点、そして教科書に載っていないことです。それは主に、実務の現場の話や、様々な見方です。
講義は、調子が出て来ました。学生の顔を見ていると、理解している、食いついてきていることがわかります。すると、こちらもやりがいがあります。そして、90分の講義が終わると、心地よい疲れが出ます。

慶應大学、地方自治論Ⅱ第2回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第2回目の授業でした。126人が出席しました。

地方財政の導入部として、住民がどれだけ自治体や国のサービスを受けているかを、説明しました。朝起きて、水道や下水道を使い、公道を歩き、信号で止まります。ゴミ集め・・・とたくさんの公的サービスを受けています。一生で見ても、生まれる前の母子手帳から、健康診断、保育園と幼稚園、小中学校、健康保険と年金、介護保険、火葬場と墓地まで。生まれる前から死んだあとまで、役所のお世話になっています。

相模原市から提供してもらった「ナイスガイドさがみはら」で、市役所がどのような業務(住民サービス)をしているかを説明しました。出席カードには、多くの学生が、「市役所がこれだけ様々なサービスをしていることを知って驚いた」との記述がありました。また、「わかりやすく、良くできている」「読んで得をしました」との評価も。
学生は、市役所が何をしているかを知らないので、このようなガイドブックは、有用です。抽象論をしていても、ピンときませんわね。

サービス(対人サービス、施設提供)には、職員とお金と知識(法令やノウハウ)が必要です。財政は、そのお金の部分です。

慶應大学、地方自治論Ⅱ第1回目

秋学期の授業、地方自治論Ⅱが始まりました。今日の出席者は116人です。まず、授業計画を話すとともに、春学期の試験の成績評価を説明しました。
問ごとに、どのような基準で採点したか、どのような答案は及第点を与えなかったかを説明しました。今日の授業の終わりに書いてもらった学生の出席カードには、「私の答案の評価の理由がわかりました」と書かれたものがありました。

そして、地方財政学とは、どのような学問かを説明しました。財政学が経済学と政治学の接点であること、地方財政にはどのような特徴があるかです。
学生の多くは、経済学や財政学を履修していません。よって、経済主体と相互の関係、経済原理だけでは達成されないことを政府が担うことなどです。
この点は、学生に新鮮だったようです。そうですね、多くの教科書は、個別の説明から入っているので、財政学が経済学や政治学でどのような位置づけにあるのか、初心者にはわかりませんよね。

今日も、学生の出席カードには、様々な質問が書いてあります。来週は、このいくつかにも答えましょう。今日配った相模原市の住民向け情報誌「ナイスガイドさがみはら」は、来週使います。持ってきてください。

2018年秋学期・地方自治論Ⅱ

2018年秋学期・地方自治論Ⅱ―自治体財政と地域の経営(金曜日1限)
9月28日開講。講義の記録

春学期の地方自治論Ⅰでは、地方自治の意義と地方行政の仕組みを学びました。秋学期は、役所の経営(特に地方財政)と地域経営をお話しします。
地方自治体には、大きく分けて2つの仕事があります。
1つは、役所を運営し、行政サービスを提供することです。もう1つは、地域の課題を解決することです。社会で生じているさまざまな課題、例えば子ども子育て支援、高齢者対策、産業振興などについて、住みよい地域をつくることです。
前者は役所という組織の経営であり、後者は地域の経営です。その仕組み特に地方財政と、地域の課題と取り組みを学びます。

1 授業計画の説明、地方財政の概要
2 自治体のサービスと財政
3 収入と支出
4 地方税
5 国家財政と地方財政
6 財政調整制度
7 地方債
8 地方公営企業
9 地方財政の役割と成果
10 日本の財政
11 地方財政の課題
12 地域経営1―地域の課題
13 地域経営2―地域振興
14 これからの地方行政

春学期の地方自治論Ⅰの成績評価について。
2017年秋学期・地方自治論Ⅱのページへ。

慶應大学、地方自治論Ⅰ成績評価

地方自治論Ⅰの試験の答案を採点しました。348人分です。ほとんどの学生が、A4用紙両面を使って、びっしりと書いていました。

問1は、地方自治の意義を問うものです。授業でも、「ここは試験に出しますよ」と予告しました。授業で配ったレジュメと資料も、持ち込み可です。問の文章に、必須の語彙は指示してあります。大半の学生は、きちんと回答していました。
残念ながら、合格点を与えることができない回答もありました。指示した語彙を並べるだけ、それも十分な説明ができていません。問に対する答になっていないのです。
また、「模範解答」が出回ったのでしょうか。同じようにまちがった答案が、たくさんありました。「国から一生の自立」は「国から一定の自立」の間違いでしょう。日本語としてもおかしいですよね。
他にも、「(地域で負担と受益を考えるより)国に要求すると満足度が高い」とか「中央政府の各省庁が地方出先機関を設置し、各種のサービスを供給した方が効率的である」とか。まちがった「模範解答」を写すのは危険です。

問2は、多くの学生が、書けていませんでした。問いは、自治体に、議会と首長の二元代表制以外の仕組みを導入することについてです。
授業では、ドイツの地方自治を例に、さまざまな形があることを示しました。また、国政は議院内閣制であることも、問の文章に書いてあります。少々考えれば、何らかの答えは書けるでしょう。
これも、間違った「模範解答」が出回ったのでしょうか。「条例の横出し上乗せ」や「議会と首長との牽制(再議など)」を書いている答案がたくさんありました。
想定していない問がでた場合(今回は予告したのですが)、どのように対処するか。「何でも書けば良い」ではありません。問と全く違った答を書くと、何も書かないより減点になる場合もあります。

問3は、それぞれに考えてもらう問です。誰にでも、何かは書ける問です。
授業中の小レポートで、自治体の政策を勉強してもらいました。それに答えた学生にとっては、簡単だったでしょう。しかし、小レポートを出していない学生や、授業に出ていない学生は、内容ある回答は書けなかったようです。
特に、政策を提案する際に、財源を考えず「ばらまき政策」になっている答案が多かったです。これは、減点です。

全く改行なしの文章もたくさんありました。困ったものです。小レポートの書き方指導で、注意したことなのですが。3分の1の学生は、ほとんど授業に出席せず試験だけを受けているので、このような注意もわからないのでしょう。
授業に出席した学生と、出席していない学生とで、成績が大きく別れる結果になりました。当然といえば当然です。「ノートや配付資料持ち込み可」という試験は、授業に出席せず試験だけ受けて及第点をとることができるほど、簡単ではありません。