カテゴリー別アーカイブ: 行政機構

行政-行政機構

予算偏重の時代錯誤

日本社会が大きく変わったのに、行政や国民の意識が変化していないことの一つが、予算偏重です。
かつては、モノとサービスを増やすことが、社会でも行政でも大きな目標でした。豊かになる、便利になるという「国家目標」を達成するために、先輩たちはがんばりました。電化製品、自動車、そして道路や学校、病院。そのおかげで、世界でも最高水準の豊かさと便利さを手に入れました。

一通りのモノが行き渡り、サービスの仕組みもできました。すると、モノとサービスを増やすことは、行政の第一の目標ではなくなったのです。
予算があれば、モノとサービスを増やすことができました。よって、予算を増やすことが官僚の身近な目標でした。その要求を査定する、財務省や財政課が権限を持ちました(私も官僚人生の3分の1は、予算や地方交付税を査定し配分することをしていました)。
社会の問題は、お金では解決できないことが多くなりました。

いまだにマスコミが、財務省を「最強の官庁」と呼ぶのも、時代錯誤でしょう。マスコミが、意識改革に遅れているように思えます。
国会でも、予算委員会が花形です。しかし、審議している国政の重要事項は、外交や安全保障、政治のあり方です。「予算委員会」という名称はそろそろやめてはどうでしょうか。いわゆる「党首討論」は、「国家基本政策委員会」という名称です。このような名前の方が、ふさわしいと思います。

企業の自治体協力

昨年12月に、福島県と三井住友海上火災保険が包括連携協定を結んだことを、取り上げました(2017年12月6日の記事)。
具体の取り組みが行われています。会社のホームページをごらんください。
東京の地下鉄、新御茶ノ水駅(三井住友海上本社ビルに通じる)地下道にある大型電子看板(デジタルサイネージ)で、ふくしまの希望を描くショート・ミュージカル・ムービー「MIRAI2061」が投影されています。

福島県庁の企業との連携事例

雑誌『行政法研究』

宇賀克也責任編集『行政法研究』第20号(2017年10月、信山社)を紹介します。
第20号は、「行政法の課題」です。現在の行政法学の課題を、それぞれ第一人者が解説しています。目次を見るだけで、そして冒頭の宇賀先生による概要紹介(はしがき)を読むだけで、現状が分かります。
行政法の世界も、社会の変化にしたがって、どんどん変わっていきます。教科書では追いつけません。何が問題になっていて、どのような考え方になっているのか。それを知るために、このような概括は便利で、ありがたいです。

この雑誌は、宇賀先生が編集者になって、2012年から発行されている論文誌です。この号で、20号になります。
フランスなどでは、有力な研究者が編集者になって、雑誌を編集することが多いようです。宇賀先生のこの雑誌も、そのような試みでしょうか。
社会科学系の研究者が論文を発表するには、ジュリストのような商業雑誌、学会の機関誌もありますが、それぞれ制約があります。このような雑誌は、良いことですよね。もっとも、商業的には成り立ちにくいでしょうし、編集担当の先生にも大きな負担がかかるでしょう。
信山社からは、その他の分野、環境法、社会保障法、消費者法などの論文誌も出ているようです。

北村亘先生「文部科学省幹部職員の理念と政策活動」

季刊『行政管理研究』2017年12月号に、北村亘・大阪大学教授の「文部科学省幹部職員の理念と政策活動~2016年サーヴェイ調査における4つの官僚イメージ~」が載りました。興味深い調査結果が出ています。

これまでの官僚制の研究では、官僚を次の3つの型に分けて考えていました。
「古典的官僚または国士型」=政治の上に立とうとする態度の官僚
「政治的官僚または調整型」=政治の中で任務を遂行する態度の官僚
「合理的官僚または吏員型」=政治家によって定められた政策を合理的に実施する官僚。
そして、支配的な型は、国士型から調整型へ、さらに吏員型へ変化すると想定しています。

ところが、今回の調査結果では、国士型官僚像が、さらに2分できるのです。彼らは、政治的合理性を重視しません。その中で、行政的合理性を重視する官僚を「古典型」とすると、行政的合理性も重視しない官僚「超然型」とも呼ぶべき官僚が多くいるのです。
ちなみに、政治的合理性を重視する官僚のうち、行政的合理性を重視しないのが「調整型」、行政的合理性を重視するのが「吏員型」です。
この分析では、文科省本省幹部(課長以上、114人中回答は75人)のうち、調整型が19人、吏員型が15人、超然型が20人、古典型が21人です。

質問票と回答を、これらの型に分類する際の分け方が正しいのか、その点は疑問が残ります。また、他省庁との比較をしないと、一概に評価はできません。が、この結果を見ると、いまだに古典型や超然型が多いことは驚きです。文部行政の理念をどう考えるかとも関係するのでしょう。現在の文部行政の目標は何かです。

このような調査は、有意義ですね。内閣人事局と人事院は、公務員 の人事制度と勤務実態を所管していても、官僚の理念と実態は所管の外のようです。このような学者の分析、マスコミの評価によるのでしょうか。かつては、先輩官僚による指導と薫陶がありました。官僚の役割の転換期(と私は考えています)に、このような議論は必要です。
ところで、国家行政や官僚を対象とした研究誌がないのです。地方行政などはいくつかあるのに。『季刊行政研究』は、貴重な雑誌です。

ここでは、論文の一部しか紹介していません。関心ある方は、原文をお読みください。また、予算の関係で、文科省だけの調査になっています。ぜひ、他省庁を含めた調査、そして継続的な調査をお願いします。

行政手続き、電子化

11月27日の日経新聞オピニオン欄で、滝田 洋一・編集委員が「行政こそ生産性革命を 手続き簡素に 経済後押し」を書いておられます。
詳しくは本文を読んでいただくとして、載っている表がわかりやすいです。
会社設立手続きについて、外国と日本を比べておられます。シンガポールでは原則オンラインで15分、韓国もオンラインで最長5日です。日本はほぼ紙の書類で1~2週間かかるそうです。また、日本の電子申請は、関係省庁がまたがります。