カテゴリー別アーカイブ: 経済

行政-経済

官民ファンドの成果と評価

8月6日の日経新聞が、「国のリスクマネー試練」という表題で、官民ファンドを取り上げていました。
官民ファンドは、国と民間が特定の目的のために資金を出し合って、融資を行う仕組みです。地域産業振興や、苦境の産業へのてこ入れ、ベンチャー企業育成などがあるようです。
この記事では、産業革新機構によるベンチャー投資が、扱った案件のうち8割で損失を出しているとのことです。もっとも、確実にもうけが出るなら、銀行などが融資するでしょうから、官民ファンドの出番はないでしょう。何をもって、成功・失敗と見るのか。難しいところです。
とはいえ、国の予算(税金でなく投融資)ですから、国民への説明責任はあります。設立時に、一定の指標を設定しておくのが、よいのでしょうか。

また、関連記事「官民14ファンド乱立 予算消化優先、収益二の次」で、官民ファンドが14あることが紹介されています。これだけも設立されているのですね。
政府にも、「官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議」があります。

政治と行政では、「何をする」と表明することも重要ですが、「その結果どれだけの成果が出た」ということも重要です。そしてそれを検証することも。「爬虫類行政」と「ほ乳類行政」の違いです。

アジア通貨危機から20年

1997年にアジア通貨危機が発生してから、20年になります。7月3日の日経新聞が、特集を組んでいました。発端、連鎖と、危機が発生し広がった経緯を紹介するとともに、その際に関係者はどのように対応したか、何が失敗で何を学んだかを、証言の形で紹介しています。

もう20年にもなるのですね。しかし、専門家でないと、これらの全体像や概要を知っている人は少ないでしょう。近過去のことを、このように解説してくれる新聞記事は、ありがたいです。

日米経済摩擦の歴史

4月14日の日経新聞の経済教室に、細川昌彦・中部大学特任教授が「日米経済対話の焦点 WTOの補強主眼に」を書いておられます。内容は、記事を読んでいただくとして。「世界の通商システムの変遷」という、日米間協議と多国間協議の年表がついています。
1981年からの日米間の経済摩擦、自動車などの自主規制、半導体協定、構造協議など、若い人は知らないであろう衝突と克服の歴史が載っています。
もっとも、この年表だけでは、経緯や内容、その影響はわからないので、別途その解説が欲しいですね。

この歴史を見ると、製造業の競争力を失うアメリカに対し、日本が安くて優秀な労働力と優れた技術で攻め込む構図でした。しかし今や、日本を追いかけてきたアジア各国がかつての日本の立場にあり、日本は当時のアメリカのように守勢に立っています。
さて、このあと日本の産業は、どのような道を歩むのか。今までの路線は続かないこと、アメリカのまねは難しいことは明白です。第三の道を探さなければなりません。

経済成長の軌跡

(日本の経済成長と税収)
戦後日本の社会・政治・行政を規定した要素の一つが、経済成長であり、その上がりである税収です。この表は、拙著「新地方自治入門-行政の現在と未来」p125に載せたものを更新したものです。
次の4期に分けてあります。すなわち、「高度経済成長期」「安定成長期」「バブル崩壊後(失われた20年)」、そして「復活を遂げつつある現在」です。
1955(昭和30)年は、戦後復興が終わり、高度経済成長が始まった年。1973(昭和48)年は、第1次石油危機がおき、高度成長が終わった年。1991(平成3)年は、バブルがはじけた年です。第2期は「安定成長期」と名付けましたが、この間には石油危機による成長低下とバブル期が含まれています。2012年が区切りになるかどうか。それは、しばらく見てみないと分かりません。ひとまずの仮置きです。


高度経済成長が、いかにすごかったかがわかります。年率15%の成長は、3年で1.5倍、5年で2倍以上になるという早さです。池田総理が「所得倍増論」を唱えました。それは「10年で所得を倍にする」というものでした。名目値では、5年で倍になりました(もちろん物価上昇があったので実質価値では違います)。

税収も同じように伸びていますが、実はこの間に毎年のように減税をしました。累進課税なので、減税をしなければ、もっと激しく伸びたと予想されます。石油ショック後も結構な成長を続けたこと。バブル後はそれが止まったことも。
そして、参考(65歳以上人口)に示したように、高度経済成長期は日本が「若く」、社会保障支出も少なくてすみました。当時ヨーロッパ各国は、すでに10%を超えていました。現在ではヨーロッパ各国を追い抜いて、世界一の高齢国になっています。人口の増加率も、もう一つの要因でしょう。2004年をピークに減少し始めました。
なお、より細かい景気循環については、次のページを参照してください。
内閣府の景気基準日付 http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/150724hiduke.html
日本の30年 http://www.geocities.jp/sundayvoyager/index.html

(GDPの軌跡と諸外国比較)
次は、日本、アメリカ、韓国、中国の4か国のGDPの軌跡です。「新地方自治入門」p6の図表「日本の国民一人当たりGDPの軌跡と諸外国の比較」を更新したものです。この図は、縦軸が対数目盛になっています。一つ上は2倍でなく10倍です。等間隔目盛にすると、とんでもない急カーブになります(縦に100枚つないだ状態を想像してください)。
これを見ると、かつてなぜ日本が一人勝ちできたのか、そして近年そうでなくなったかが、わかります。上に掲げた、日本の経済成長の数字だけでは見えないものが見えてきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらの図表は、昔から使っていたものです。なかなかの優れものです。日本の社会と行政を規定する経済要因を、2つの図表で示すことができます。
今回は、小黒桂君の助けを得ました。旧サイトの「戦後日本の経済成長と税収」のページ(引っ越しの際にリンクがうまく移行できなかったらしく、新しいサイトでは、一部の図表が出てきません。よって、ページを作り直しました)。

経済を支える社会資本

3月6日の日経新聞オピニオン欄、ファイナンシャルタイムズ、マーティン・ウルフさんの「インド、経済大国への課題」から。インドが経済発展を続けていること、さらなる発展が期待できることを指摘した後に。
・・・だが、白書は他の新興国との違いも明らかにした。民間部門の活用や土地所有権の保護が不十分なこと、特に教育と医療分野の国の制度の不備、非効率な所得再分配の3点だ。これはインドの民主化に経済発展が追いついていないことが原因だと白書は述べている。
重要な課題が長期的には3つ、短期的には1つある。
長期的課題の1つは教育だ。教育は州が責任を持つもので、モディ政権は各州が改革を競い合う「競争的連邦主義」を打ち出している。しかし、教育に関してはこの施策がまだ十分機能していない。
2つ目は環境だ。今後50年にかけ、実質GDPは5倍に拡大する可能性がある。都市化も急速に進み、人口集中が進む。インドは化石燃料の利用を大幅に増やさずに発展していく必要がある。
3つ目は外部環境だ。無理のない条件で試算すると、世界のGDPに占めるインドの財・サービスの輸出の割合は、現在の0.6%から10年間で倍増する。ただし、先進国で現在、起きている反グローバル化の動きを考えると、スムーズにはいかないかもしれない・・・

経済、そして経済発展を考えるとき、経済取引の世界で考えているだけでは、理解できません。それを支えるさまざまな社会の仕組み、国民の意識、慣行があるのです。その点では、近代経済学は視野が狭いと思います。原文をお読みください。