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社会

アメリカの経済格差

1月21日の各紙は、バイデン大統領就任を伝えていました。日経新聞1面「米、分断克服へ経済再生 バイデン大統領就任」に、アメリカの経済格差が紹介されています。
・・・トランプ政権によるコロナ禍の米経済対策は、格差をむしろ助長してきた。資産価格の上昇で超富裕層の上位1%の純資産は36兆ドルと半年で5兆ドルも増加し、全世帯の下位半分(2.4兆ドル)の15倍になった・・・
3面には、所得階層別の純資産推移が載っています。

知人に聞くと、FRBの推計とのこと。「Distribution of Household Wealth in the U.S. since 1989」。その「Wealth by wealth percentile group」の「Levels 」には実数字が、「Shares」には割合が出ています。色分けしてありグラフに、パソコンのカーソルを合わせると数字が出ます。
直近では、上位1%が30.8%を持っています。上位2%から10%で38.4%です。合わせると、1割の金持ちが約7割の富を持っています。下位半分は、合わせても2%しか持っていません。

他国のことを心配する前に、日本の状況は見る必要があります。この調査と同じものは、見つけることができませんでしたが、貧困率の調査があります。
厚労省の「国民生活基礎調査」の「貧困率の状況」では、2018年の貧困線(全国民の等価可処分所得の中央値の半分)は 127 万円で、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は 15.4%です。
世界比較では、アメリカ17.8%より下(平等)ですが、ヨーロッパ各国(例えばイギリス11.7%、フランス8.5%)より上(不平等)にあるようです。日本はもはや、平等な国ではありません。

リチウムイオン電池の回収

年末に、電気カミソリの調子が悪くなりました。充電しても、すぐに電池がなくなるのです。電気屋さんに相談して、買い換えました。使っていたのは2011年製なので、9年近く使いました。もちろん、回転刃の部分は、この間に何度か買い換えました。店員さん曰く「長く使いましたね」ということで、電池も寿命が来たようです。

問題はここからです。
「この古いカミソリの電池は、捨てたらダメなんでしょう」と聞くと、「リチウムイオン電池なので、リサイクルに出してください」とのこと。
「じゃあ、お宅の店に置いていくわ」というと、「うちでは回収していません」との返事。「え~、あんたのとこ、大手の会社じゃないの」。大手家電量販店の新宿店での会話です。
インターネットで調べて、回収してくれる場所を探しました。

これには、続きがあります。
捨てに行く前にスイッチを入れたら、元気よく動きます。
???
キョーコさん曰く、「捨てられると知ったら、捨てられないように頑張るのよ」。
う~ん。それなら、買いに行く前に、古いカミソリに話しかけるべきでした。「頑張らんと、捨てるぞ」と。カミソリは答えるでしょう「あんたも、気をつけないと・・・」と。

新宗教

島薗進著「新宗教を問うー近代日本人と救いの信仰」(2020年、ちくま新書)を読みました。
創価学会、霊友会、大本、黒住教、金光教、立正佼成会、PL教団、天理教、真如苑、生長の家・・・さらに、オウム真理教もありました。いくつも名前が挙がりますが、私も多くの人たちも、その実態は知りません。既存宗教は、歴史で習ったり、葬式などで付き合いがあります。この本は、それら「新宗教」の概要を教えてくれます。

それらを4期に分類して、どのように受け入れられたかを説明します。
第1期 幕末維新から明治中期までに教団の基盤ができた新宗教
第2期 明治後期から大正期に発展し、戦前社会に大きな影響を及ぼした新宗教
第3期 戦後に発展し、大教団となった新宗教
第4期 1970年代以後勢力を伸ばした新宗教(新新宗教)

なぜ、既存宗教ではなく、これらの新宗教が庶民の心をつかんだのか。社会の背景と、各教団の布教の仕組みを解説します。納得です。
既成秩序が揺らぐ、経済成長が始まる、地縁血縁が薄くなる、貧富の差が進むなどなど、近代日本社会の変貌がその基盤にあります。
つらいかつ変えることが困難な中世社会では、あの世の信仰が庶民を救います。しかし経済が動き出すと、あの世ではなくこの世での利益を願い、また他者とのつながりを求めます。
経済成長を達成すると、その役割が小さくなります。現代では、大教団が信者数を減らしています。

増える教員の精神疾患

12月22日の産経新聞が「公立校教員の精神疾患休職が過去最多 業務の増加、複雑化が一因か」を伝えていました。それによると、令和元年度に鬱などの精神疾患で休職した公立学校の教員数が5478人に上り、過去最多になりました(文部科学省、人事行政状況調査)。
精神疾患による病気休職者数は男性が2382人、女性が3096人。約92万人の全教員に占める割合は0.59%です。年代別では50代以上が最多で1789人で、30代や40代も1400人前後に上っています。若い教員だけでなく、経験豊富な先生にも多いのです。

平成30年度に精神疾患を理由に退職した公立小中高校の教員は27年度と比べ、いずれも増加しています(3年に1度の調査、学校教員統計調査中間報告)。
小学校の病気による離職者は661人、その中で精神疾患は457人です。中学校では、病気離職者は360人、うち精神疾患は242人です。

日本社会の低迷、経営者の高齢化

12月26日の朝日新聞「けいざい+」「脱・おじさん企業文化下 マトリョーシカ現象に警鐘」から。

・・・「日本社会はなぜ低迷しているのか」
明治維新にもヒントを求めた。新しい国づくりを担ったのは、西郷隆盛や大久保利通ら30~40代だった。しかし、次第に組織の形が整うようになると、全体の利益よりも組織の利益が優先された。戦後から現在までの歩みと重ね合わせ、「再び組織の力が強まっている」と結論づけた・・・

・・・メンバーは経営者の年齢に着目した。
大企業の社長・最高経営責任者の平均年齢は、日本が63歳なのに対し、米国は58歳、欧州は55歳。若手はなかなか重要な役職につくことができない。金融庁などによると、東証1部上場企業の取締役のうち50歳未満は10%。女性も7%にとどまる・・・