カテゴリー別アーカイブ: 災害復興

行政-災害復興

大熊町民意識調査、7割の人が「除染廃棄物の県外最終処分、信用できず」

NHKによる、大熊町の有権者の意識調査です。

・・・原発事故による除染廃棄物を福島県外で最終処分する国の方針について、「信用できない」と答えた人が68%にのぼりました・・・

・・・また、有権者自身が、どこに最終処分するべきと考えているか聞いたところ、大熊町と双葉町にまたがる「中間貯蔵施設の敷地」が最も多く39%、次いで「大熊町・双葉町以外の福島県内」が24%で、県内の選択肢を選んだ人は6割を超えました。
一方、「福島県外」は18%、「その他」は17%でした・・・

大震災の被災地産食品、残る輸入規制

11月10日の日経新聞が、「被災地産食品、進む規制緩和 輸入停止、残るは5カ国・地域 中国への働きかけ強化」を伝えていました。

記事に着いている図が、わかりやすいです。原発事故後に輸入規制をかけた国は54です。現時点では、完全撤廃したのが33、検査証明書添付などの限定規制が16です。
輸入停止を含む規制をかけているのは5カ国、韓国、台湾、中国、香港、マカオです。

外務省のホームページ資料

台風19号、想定されていた浸水

今回の台風19号は、予想以上の大雨を降らし、河川堤防が壊れて市街地に水があふれました。想定以上の雨と水量になったようです。すべての豪雨を、堤防で防ぐことは不可能です。津波についても、巨大津波に対しては、防潮堤と逃げることを組み合わせることにしました。
ところが、浸水が想定されていて、被害を抑える方法があったのに、それを怠ったところもあるようです。10月16日の日経新聞「台風19号、想定された浸水 活用途上のハザードマップ」によると。

・・・長野市は2007年3月に洪水ハザードマップを作成し、19年3月に更新したばかり。従来の「100年に一度」の想定に「1000年に一度」も加え、同年夏に広報紙と一緒に各家庭に配布していた。台風19号による浸水地域の周辺は、19年版では最大10~20メートルの浸水が想定されていた。
今回の浸水地域内には県立病院、大型商業施設のほか、JR東日本の長野新幹線車両センターがあり、北陸新幹線の車両120両も水に漬かった。同社は氾濫時に浸水の恐れがあることを認識していたが、車両を「避難」させていなかった・・・

これが事実なら、天災ではなく人災ですね。

台風被害、復旧の難しさ

風による大きな被害をもたらした台風15号に続き、台風19号が、各地に大雨による大きな被害をもたらしました。気象庁が、狩野川台風以来と予告した通りになってしまいました。被害に遭われた方に、お見舞い申し上げます。
被災者を救助し、避難所に入ってもらい、生活の支援をします。次に、復旧の段階に入ります。被災者にとっても、自治体にとっても、大変なことです。

ところで、私の経験では、一般の方、自治体の職員、報道関係者が、意外と気づかない「課題」があります。それは、大きく報道されることと、被災者にとって重要な課題が、ズレていることがあるのです。
道路や堤防などの公共施設は、国土交通省や自治体の土木部が経験と能力を持っています。農業被害の把握も、農水省と農政部が取り組んでくれます。それも大変なのですが。

課題は、つぎのようなものです。
・各家庭への支援。どのような支援策があるかの相談や、何に悩んでいるかの聞き取り。これは、最近までは家庭のことは「自己責任」とされ、自治体の業務ではありませんでした。しかし、公共施設の復旧も重要ですが、住民の生活再建の方がより重要なのです。
・がれきの片付け。分別しておかないと、後の作業が大変です。これについては、環境省が経験を積みました。
・ボランティアの受け入れと、配置。これも、近年経験を積み重ねてきましたが、多くの自治体と社会福祉協議会にとっては、初めてのことです。
・そして、これらの対応に当たる市町村役場への職員の応援です。

なぜ、これらの項目を、ここで挙げるのか。それは、
・これまで、各家庭の責任と町内での助け合いで対応していたことが、行政の責任になったからです。
・道路や農地は、県庁にも市町村役場にも担当部局があります。しかし、ここに上げた項目は、担当部局がないのです。危機管理課や防災課は、ここまで手が回りません。庁内で対策会議を開いても、これらの項目は担当課がないので、上がってきません。
・県庁にも、このような視点で市町村役場を応援することが、これまでなかったのです。

公共施設の被害状況は、比較的早くまとめられます。担当部局があるからです。しかし、個人の家がどの程度被災したかは、すぐには報告されません。これは、ふだんそれを担当している部局がありません。役所の目で見るのと、被災者の目で見るのとでは、すべきことが違って見えます。
また、激甚災害に指定するかどうかが報道されますが、これは公共施設の被害額が算定の基礎になります。極端なことを言えば、家屋がたくさん倒れていても、道路や堤防に被害がないと激甚災害にはならないのです。

原発被災地での新たな農業参入

東北農政局の「震災復興室だより」9月号は、被災12市町で新たに農業をはじめた方の特集です。
詳しくは、それぞれの記事を読んでください。皆さん、厳しい条件の下で、頑張っておられます。

ここでわかることは、園芸作物には技術が必要で、米作りには大規模化が必要だということです。
かつての農業は、農家の息子が、田んぼとともに親の後を継ぎました。そして、受け継いだ農地で米を作ったのです。しかし、この半世紀の間に、大きく様変わりしました。稲作は生産効率が上がり、また相対的に価格が下がったので、昔ながら小規模農家では食べていけません。稲作で食べていくなら、大規模化が必須です。家業から事業に転換する必要があります。
他方で、園芸作物は高く売れます。しかし、片手間仕事でできる稲作と違い、技術、資本、そして毎日の労働が必要です。簡単な作業ではないのです。

毎年の新規営農者は、とても少ないです。家業を子供が受け継ぐという旧来の意識では、成り立たなくなっています。ここに、日本の農政の失敗があります。
事業として、従業員を雇って経営するという、発想と仕組みに変えていく必要があります。この半世紀に、日本が経験した「社会の転換」の一つの要素です。そして、手当てが遅れました。
家業から事業への転換が必要だということは、商工業でも同様です。商店街の個人営業の店がなくなり、チェーン店に変わっているのです。