カテゴリー別アーカイブ: 政治の役割

行政-政治の役割

松井孝治教授、国会改革のあり方

6月29日の毎日新聞オピニオン欄「国会改革のあり方」に、松井孝治・慶應大学教授(元民主党参議院議員、官房副長官)が「首相縛らぬ討論型に」を書いておられました。

・・・首相や閣僚が国会対応に多くの時間を取られ、外交交渉や政策面でのリーダーシップを発揮しづらいのが現状だ。首相や閣僚の国会での拘束時間は各国に比べて突出して長く、大きなハンディキャップを負う。首相や閣僚を時間的に拘束して追い詰めていく、昭和から続く「質疑型」の国会から、短い時間でより濃密な議論をする「討論型」に変えていくべきだ・・・

・・・各国首脳・閣僚は議会の拘束が少ない分、日々濃密な政策ブリーフを受け、海外を飛び回ってカウンターパートと日常的に交渉している。官僚時代の経験では、国会開会中は日程の合間を縫って閣僚らにいかに短い時間で政策を説明し、決裁を取るかに役所全体が追われる。省内で議論し、政策を研ぎ澄ますという他国では当たり前のことにかける時間は余りに短い。
国会で政策的な論争を交わしているならいいが、多くの場合、政府側は単に防戦に徹する。政府側の見解を述べ、問い返せば「そんなことは聞いていない。質問に答えろ」と言われる。重箱の隅をつつくような質問や揚げ足取りの質問も少なくない・・・

原文をお読みください。

参議院選挙、将来像を巡る議論の欠如

7月2日の日経新聞経済教室「参院選で何を問うのか」は、砂原庸介・神戸大学教授の「将来を巡る対立軸 意識せよ」でした。

ヨーロッパでは生活保障と社会的投資が対立軸になっていることを紹介し、それとの対比で、日本では中長期的な政策、社会保障と国民負担、そして経済発展をどのように持って行くのかといった議論が少ないことを指摘しておられます。
また、経済活動支える「新しい中間階級」が不在であることを指摘しています。
もっとも、これは私の関心からの要約なので、砂原教授の補足説明をお読みください。

国民の怒りが動かす政治

6月10日の朝日新聞別刷り特集は「怒りの正体」でした。その中から、「怒りは票になる 右翼も左翼も壮絶な「怒れる人々」の奪い合い」を紹介します。

・・・人びとの怒りをエネルギーにしようとする政治家。怒りは票になる。だがそれはうつろいやすい。左右の勢力が攻守所を変えるスペインやギリシャで、そんな怒りと政治の関係が見てとれる。

「今日の『怒れる人びと』は、極右の人びとなのかも知れない」。スペインの左派ポデモス系の前議員マノロ・モネレオ(68)は4月下旬、総選挙を前にそう話した。モネレオは元共産党幹部で、ポデモス党首のパブロ・イグレシアスも慕う。2011年5月、緊縮財政や体制に不満を募らせた若者らが首都マドリードの広場を占拠した「インディグナードス(怒れる者たち)」運動から14年のポデモス結成までを間近に見てきた人物だ。人びとの怒りはポデモス側にあったのではなかったのか?・・・

・・・移民排斥問題などで怒りや不満をあおるポピュリズムは右派の得意技だった。座視できなくなった左派も、若者や高齢者の怒りをすくい取り、一つの勢力にまとめて参加型の政治を促すことで民主主義を深化させようと戦術を転換している。政治理論家シャンタル・ムフが言う「左派ポピュリズム」だ。アプローチは異なるが、左右両派が人びとの怒りを奪い合う構図といえる・・・

民主政治が安定するのは、成長が続くとき、そして格差が広がらないときだけなのでしょうか。

マクロの産業政策とミクロの事業者支援の違い

6月10日に開かれた、福島相双復興推進機構(官民合同チーム)の成果報告会に行ってきました。400人の参加者で満員でした。企業コンサルタントの方などが多いようです。
相双機構は、原発被災地の事業者を戸別に訪問し、事業再開支援を行っています。これまで約5,300の事業者を訪問し、支援しています。「再開事例の紹介

ところで、産業支援には、大きな計画をつくり、補助金や減税などの施策によって対象になる事業者を支援する方法と、このように個別事業者ごとに相談に乗る方法があります。前者がマクロ政策で、後者がミクロ政策と言ってよいでしょうか。
これまでの行政の支援は、前者が主だったようです。マクロ政策は、霞ヶ関で立案でき、方法は方向の明示とお金による支援です。それに対し、ミクロ支援は、お金の支援もありますが、相談業務が主になります。現場に行って、一つ一つの事業者の相手をしなければなりません。手間がかかります。中には、帳簿もうまくつけられない家族経営の店もあります。そこから、支援しなければなりません。

ここに、産業政策の変化、新しい形が見えると思います。
新しい産業や元気な企業を育てるには、マクロ政策で可能でしょう。そのような事業者は、自ら応募し、それらの施策を活用します。
他方で、自分ではそのような施策に応募できないような、零細な企業や、困っている事業者は、マクロ政策では支援できません。個別に、相談に入る必要があります。そしてたぶん、そのような事業者は、自らの経営のどこが悪いのか理解していないと思います。復興庁が行っている「結の場」もそうです。

これまでは、元気な事業者を育てることに重点を置いていました。しかし、弱い事業者支援も重要です。これは、日本の行政一般に言えることです。民間や国民に対して「先導者」となることと、ついて行けない企業や国民の「安全網」になることとです。
その際に、元気な者を育てる場合と、それができない弱い者の支援をする場合とは、手法が異なるのです。

政治学の最前線

久しぶりに紹介します。砂原庸介・神戸大学教授による、政治学研究書の紹介です。
次々と若手研究者が、様々な分野、様々な角度から研究を続けています。とてもそれらを追いかけることは困難なので、この紹介は助かります。
ところで、これらの研究成果が、どのように政治学の教科書に反映されているのか、反映されるのか。そちらも、興味があります。

紹介されている本の中には、私もいただいたものがあるのですが。まだ読んでいないので、私のホームページでは、紹介できていません。すみません。