カテゴリー別アーカイブ: 官民協働

NPOによる被災者自立支援

3月24日の日経新聞に「被災者の伴走続ける 岩手・大槌の仮設住宅、今月末閉鎖 転居後の生活民間支援」が載っていました。

・・・東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町などで、孤立や生活の困窮など様々な問題を抱える被災者らを支援し続ける民間団体がある。公益財団法人「共生地域創造財団」(本部=宮城県石巻市)は3月末で応急仮設住宅を閉じる町から、災害公営住宅などへ転居する住民を支援するよう委託された。転居後の生活を見据え、文字通り生活全般に伴走する・・・

この財団は、大槌町や石巻市の委託を受けて、被災者の転居を支援しています。転居先の物件探しや引っ越しの相談にとどまりません。被災によって、家族が抱えていた引きこもり、貧困、病気が深刻になります。役場にも、福祉、教育、健康などの窓口はあるのですが、縦割りです。また、これまでの行政は、本人からの申告を待って動きます。困って声を出せない人は、漏れ落ちるのです。
これからの行政の姿を先取りしていると思います。

自治体による認知症事故保険。民間活用

12月26日の朝日新聞1面は「認知症の事故補償、広がる 自治体、保険料肩代わり」でした。
・・・2025年には認知症の高齢者は約700万人に増えると見込まれる。「認知症になっても安心して暮らせる街」への壁になるのが、賠償責任が問われるような万一のトラブルや事故のリスクだ。本人や家族の不安を軽減するため、民間の保険を使った事故救済制度を独自に導入する自治体が増えている・・・

・・・2017年11月に神奈川県大和市が全国に先駆けて導入し、18年度に5市町が続いた。19年度に自治体数は急増した。
神戸市は個人市民税引き上げ(1人400円)で年約3億円の財源を確保、新たな認知症支援策を打ち出した。このうち事故救済制度(賠償責任保険+被害者への見舞金)は4月運用開始。賠償責任保険の申込数は8月までに2893人。市によれば「他人の自転車を壊した」「店舗を汚した」などで3件の支給(約9700円~約13万8600円)があったという・・・

・・・認知症の人の事故の補償について検討した関係省庁による連絡会議は16年、「ただちに制度的対応を行うことは難しい」として、公的補償創設を見送った。こうしたなか、認知症の人や家族が安心して暮らせる街にするため、独自の補償制度導入に踏み切る自治体がでてきた・・・

官と民とで垣根が低くなっていること、協働することの例です。このうち、神戸市の事例はこのホームページでも取り上げました。

保険は、個人では負担できないリスクの被害を、大勢で負担しようとするものです。火災保険や自動車保険は分かりやすいですね。みんなに関わるものとして、健康保険、年金保険、介護保険もあります。民間会社によるもの(火災保険など)、政府が制度を決めて民間が運用するもの(自動車保険など)、政府が運用するもの(介護保険など)があります。
その点で、政府は究極の保険です。健康保険、年金保険、介護保険、失業保険などのほかに、生活保護や災害時の救助など、困った人を助けるのが政府の役割です。税金という「保険料」によってです。現在連載中の「公共を創る」では、詳しく解説しようと考えています。

企業のノウハウを取り入れた住民健康づくり

10月3日の福島民報新聞に、「民間と連携健康推進事業 2019年度は23市町村」が載っていました。企業のノウハウを取り入れ、住民の健康づくりを行う市町村を、県が支援しています。23市町村の具体事業が、表になって載っていました。
県の発表資料は、「民間企業とコラボした健康づくりの実施について」「事業一覧」です。

食品会社や健康づくり会社に、運動や食事指導を委託します。事業内容も、企業が提案しています。企業はその道の専門家ですから、これは効率的ですね。このような官民協働事業もあります。
施設の建設も、自治体が案を作り企業に発注するほか、企業に案を考えてもらいその中からよい案を採用して建設してもらうのですから。ほかの事業にも応用できますよね。

企業の地域貢献、具体例

連載「公共を創る」第18回「哲学が変わったー成長から成熟へ 公共を支える民間」の補足です。記事の中で、自治体と企業との連携協定を紹介しました。その例として上げたものを、補足説明を含めてここに載せておきます。

1 福島県の例。企画調整課「企業等との包括連携協定
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/11015a/hokatsurenkei.html

2 神戸市。神戸市 認知症の人にやさしいまち「神戸モデル
(1)認知症の人にやさしいまち『神戸モデル』トップ認知症事故救済制度とは?
https://kobe-ninchisho.jp/accident-relief-system/

(2)神戸市認知症の人にやさしいまちづくり推進委員会 事故救済制度に関する専門部会 「事故救済制度素案」及び「事故救済制度運用支援業務委託」提案募集の選定結果について
http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/health/nintisho/img/30.07.20_05.pdf

3 三井住友海上火災保険
(1) 上の2(2)で、市に対し制度案を提案し選ばれた側である、三井住友海上火災保険のホームページ(すみません、原稿に載せるのを怠りました)
地方創生への貢献」のページ中、「1.地域課題解決に向けた支援 (2)商品・サービス・ネットワークを活用した支援(認知症神戸モデル、大阪府里親制度)」(欄右の+記号をクリックしてください)
https://www.ms-ins.com/company/region/

このページには、地方自治体への協力として、次の3つに分けて活動が載っています。
① リスクソリューションサービスを活用した支援(働き方改革、BCP策定、企業の経営課題解決)=会社が持つ技能を提供しているもの。
② 商品・サービス・ネットワークを活用した支援(認知症神戸モデル、大阪府里親制度)=会社の商品を活用したもの。
③ 社会貢献支援(物産展の開催等)=一般的な社会貢献

神戸市の認知症事故救済制度は、このページで紹介したことがあります。
官民協働施策、神戸市の認知症事故対策」「その2

自治体と企業との連携、「自治体通信」

自治体通信』という専門誌を紹介します。
ホームページには、「自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。自治体関係者の方に無料配布しております」とあります。全国の自治体に、28,000部が無料で配られているとのことです。
詳しくは、そのホームページをご覧ください

業務の改善から地域の課題解決まで、企業が自治体と一緒に取り組んでいる事例を紹介しています。それら企業の「掲載料(広告費)」で、費用が賄われているのでしょう。各記事の下に、その企業の紹介が載っています。なかなか良い仕組みです。
このような媒体で、先進事例やうまくいった事例を調べることができると、便利ですよね。もちろん、企業の紹介を兼ねているという限界はあるのでしょうが。

私も、2月6日に登壇した自治体向け働き方改革セミナー(三井住友海上火災保険)が、第17号(2019年3月)に載ったので、教えてもらいました。「抜粋」で読むことができます。無料の雑誌なので、できることですね。

これまでの行政と企業との連携は、事業の発注であり、事務の委託でした。行政が決めた業務内容を、企業に引き受けてもらうのです。
しかし、最近の動きは、どのような業務を担ってもらうのか。そこから企業と一緒に考える点が、これまでの民間委託とは異なっています。大震災の際も、様々な協力や協働をしてもらいました。
行政と企業との新しい関係が、進み始めています。このホームページでも、「官民協働」という分類を作りました。