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行政-再チャレンジ

家庭内事件

読売新聞が、4月2日から「孤絶 家庭内事件」を連載しています。初日の記事には、子供の障害や病気に悩んだ親が、子供を手にかけてしまう殺人・心中事件が相次いでいることを紹介しています。
2010年からこれまでに起きた50件を分析したところ、加害者の7割が65歳以上です。子供(といっても成人、かなりの年齢です)の引きこもりや暴力に悩み、しかし周囲の支援を受けられず、介護疲れや将来を悲観して、親が子供を殺すのです。読んでいて、悲しくなります。そして、もし自分もそのような状況になったら、どうするか。
相談するところがない、どこに相談したらよいかわからないのです。
これまでは、各人の各家庭の問題だと片付けられていました。しかし、社会が考えなければならない新しいリスクです。行政による相談窓口をつくる必要があります。

官の役割、民の役割。「支援を必要としている人」への支援2

「ストレーター」という言葉を知っていますか。公式の定義はないようですが、高校を卒業し、大学や専門学校を出て就職し、その後も会社を辞めずに働き続ける人(3年以上)を呼ぶようです。
インターネットに載っている「高校生が100にんいるむら」では、中退、退職などする人を計算すると、「ストレーターは、100人のうち、44人。つまり実際の社会では、ストレーターではない人の方が多い」と述べています。3割以下だという計算もあるとのことです。
世間が想定している「単線的人生」は、半分もいないのです。もちろん、中退して就職する人や退職して転職する人もいますし、フリーターやアルバイトで頑張っている人もいます。
そして、ここでも指摘されているように、学校では、ストレーターを前提にしたキャリア教育が行われています。世間もそれを「常識」としています。すると、ストレーターではない56人は、「自分は標準ではないのだ」と思ってしまうこともあるでしょう。
人生は、これまでの教育や「世間の標準的目標」が想定していたような、順調で単線的なものではないこと。それが現実であり、それを前提とした教育や社会の仕組みをつくらなければなりません。

第一次安倍内閣で、私は再チャレンジを担当しました(残念ながら、政府のホームページからは資料が削除されているようです)。その際に、「支援を必要としている人」に対する行政の対応の欠如を実感しました。刑を終えて刑務所から出てきた人、フリーター、引きこもりの人たち。「落ちこぼれた人」はわかりやすい表現ですが、必ずしも適当でないので「支援を必要としている人」と呼びましょう。
行政はこのような人たちに対し、もっと支援をすべきです。その手始めとして、生活に関する相談についての「行政の窓口」をつくる必要があるのです。そして様々な活動をしている民間団体と連携をして、支援をするのです。
さらに、より大きな視野から、社会の変化が行政の基本に変化を迫っていることを、「行政の変化」として簡単な表にしました。ご覧ください。

官の役割、民の役割。「支援を必要としている人」への支援

先日(1月31日)書いた「官の役割、民の役割。養子縁組」の続きです。
明治以来日本の行政は、国家に有意な人材と健康で優秀な職業人を育てることを、主たる目的としてきました。そして、そこから漏れ落ちた人への対応は、十分とは言えなかったようです。
学校教育を考えてください。東大を頂点とした教育の一方で、高校を中退した若者には、ほぼ何の公的支援もありません。彼らが次に接触する行政窓口が、ハローワークと場合によっては警察では、さみしすぎますよね。挫折した場合のセイフティネットの教育も、十分ではありません。犯罪を犯した場合、誘いに乗って法を犯した場合、どのようにして応援をもらい、立ち直るかは、学校では教えてもらえないのです。「すべてよい子に育てる」という方針の下で、落ちこぼれは置いてきぼりになります。
拙著『新地方自治入門』p175で、スウェーデンの中学の教科書『あなた自身の社会』を紹介しました。そこでは、ちょっとしたいざこざで相手を傷つけ警察に逮捕された少年を例に、その後の手続きを説明しています。同棲や結婚とともに離婚や、失業や病気になった場合の支援も書かれています。
もちろん「よい子」に育てる必要はあります。しかし、みんながみんな優等生にならないのが、現実です。すると、落ちこぼれた場合のことを教えておく必要があるのです。
不本意な妊娠をした場合、それも未成年の場合はどう対処してよいかわからないでしょう。親に言ったら叱られる、どこに相談したらよいかわからないのです。他方で、子供に恵まれない夫婦は、どこに相談したら養子縁組ができるか。あなたは、知っていますか。

官の役割、民の役割。養子縁組

笹川陽平・日本財団会長のブログ、1月27日は「養子縁組あっせん法の成立」でした。詳しくは原文を読んでいただくとして。これを読んで、官の役割と民の役割を考えました。生みの親が育てることができない子どもを、誰がどのように支援するかです。
・・・日本の養子縁組の制度には、普通養子縁組と特別養子縁組がある。普通養子縁組は、古くから家の跡取りなどを迎えるために行われてきた。これに対して特別養子縁組は30年ほど前に創設され、生みの親が育てることのできない子どもに、あたたかい家庭を提供するための児童福祉としての制度である。諸外国では、養子縁組は子どもが家庭で健やかに育つための重要な児童福祉と捉えられているが、日本では、これまで児童相談所などの行政機関は積極的に取り組んでこなかった。
そのため、民間の養子縁組団体が、予期しない妊娠で悩む女性の相談にのり、子育てを希望する夫婦への仲介を担ってきた。不妊治療をしても子どもを授からず、養子を希望する夫婦は多く待機しており、赤ちゃんは安全で愛情にあふれた家庭ですこやかに育つことができる。日本の虐待死で最も多いのは0歳0ヶ月の赤ちゃんで、10年間で111人が死亡しており、その9割は実母によるものである。特別養子縁組は赤ちゃんの虐待死を防ぐ上でも重要な役割を果たすことが可能である・・・

これまでは、民間の団体が斡旋していましたが、中には営利目的で問題を起こす団体もありました。日本財団が支援している「ハッピーゆりかごプロジェクト」によると、次のようになっています。
・・・様々な家庭の事情で、生みの親と暮らせない子どもたちがこの日本にも約4万人います。こうした子どもたちは、国連のガイドラインによると養子縁組や里親制度を通じて家庭で暮らすことが望ましいとされていますが、日本では、社会的養護下にある子どものうち、約85%が乳児院や児童養護施設などの施設で、約15%が里親家庭やファミリーホームで暮らしています。諸外国では里親家庭で暮らす子どもの方が多く、日本でも子どもが家庭で暮らせるようにする取り組みがさらに必要です。
また、生みの親の元に戻ることができない子どもについては、養子縁組により新しい家庭を得ることが望ましいとされ、日本では公的機関である児童相談所と民間団体が、子どもの福祉を目的とした養子縁組を行っています。日本で特別養子縁組される子どもは年間540人程度ですが、アメリカでは毎年5万人以上、イギリスでは4,500人以上の子どもたちが養子縁組されています・・

このような恵まれない子どもたちへの支援を、誰が責任を持って行うか。これまでは民間に任せていましたが、それでは問題が出ることがわかってきました。また、なかなか養子縁組が進みません。「赤ちゃんポスト」も、様々な意見があります。しかし、恵まれない子供たち、困っている母親たちをどのように救うか。民間の力を、行政がどのように引き出すか。法的規制だけでなく、財政面やノウハウ面での支援も行うべきでしょう。
この項続く。

NPO3人組の活躍

このホームページにしばしば登場するNPO3人組が、それぞれに活躍しています。
田村太郎さんは、毎日新聞に「社会起業家」について連載しています。本業のダイバーシティ研究所については、ホームページをご覧ください。
青柳光昌さんは、9月末に「ソーシャルイノベーションフォーラム」を開催します。
藤沢烈さんは、このホームページ9月3日に「社会起業家が新公益連盟、分野の枠超え政策提言」を紹介しました。その他の活躍については、烈さんのブログをお読みください。
それぞれに、民間の立場から、社会の課題を解決するべく、奮闘中です。いつものことながら、その熱意と行動力に脱帽します。行政も、負けてはいられないのですが。