カテゴリー別アーカイブ: 再チャレンジ

行政-再チャレンジ

引きこもり支援の実例

NHKのウエッブニュースに、「不器用でもいいじゃない 元エリート会社員の“ひきこもり”支援」が載っています。引きこもりの人を支援する活動の実例です。
慶應大学の授業で、これからの行政の例として、再チャレンジ施策を講義したので、参考に紹介しておきます。

あわせて、「引きこもりクライシス 100万人のサバイバル」のサイトも紹介しておきます。

弁護士、福祉と連携して出張相談へ

4月30日の日経新聞に「法テラスの出張相談 福祉と連携、利用広げる」が載っていました。

・・・お年寄りや障害者ら、生活面で支援が必要な人が直面する法的トラブルをうまく解決してもらえるよう日本司法支援センター(法テラス)が力を入れている。こうした人たちの被害は法的なサービスにつながりにくい実態があるためだ。今年1月からは、認知症などで被害の自覚がないお年寄りらの自宅での相談に応じる新たな取り組みが始まった・・・
・・・法テラスは開業後、お年寄りや障害者ら福祉支援が必要な人たちの法的課題を巡り「被害が当事者にも認識されず、情報も届いていない」といった反省点が浮かび上がった。その結果、福祉分野で広がる「アウトリーチ」を導入。「相談待ちでなく、援助者の側から積極的に問題を見つけ出す」(法テラス本部)手法で、福祉機関と連携した出張相談などに取り組んできた・・・

記事には、判断能力が低下したと思われる高齢者が金銭の被害にあっていて、それを弁護士が救った事例が紹介されています。
困っている人をどう救うか、自分では判断できない人、行政の窓口に相談できない人をどのように救うか。様々な取り組みが広がっています。

引きこもりの長期化、高齢化

6月3日の朝日新聞オピニオン欄「長引く引きこもり」、山本耕平・立命館大学教授の発言から。
・・・山梨県では、民生委員や児童委員に聞き取りしたところ、ひきこもりの人の6割が40代以上でした。KHJ全国ひきこもり家族会連合会の調査では、平均年齢は2004年の27・6歳から、今年は33・5歳に上がりました。ひきこもっている期間は平均で7・5年から10・8年に延び、いずれも過去最高、最長になっています。
現在40歳前後の人は、およそ20年前に就職するときが就職氷河期と重なりました。非正規雇用を続け、キャリアを積めないことでひきこもる人もいます。
不登校が長引き、自室に閉じこもってゲームばかりする若者のイメージが強いかもしれませんが、こうした調査からは、長期化、高齢化の実態が見えてきます・・・

・・・一度社会に出て働いてからひきこもる中高年齢層への支援は、若年層に比べて手薄です。長期化、高齢化を招いている大きな要因の一つだと考えています。
要因は実に様々で、ひきこもるのを防ぐ、あるいは抜け出す単一の妙手はありません。発達障害や精神障害、中年以降に多いとされる内臓疾患など、直接的な原因が明らかな人は、医療面から解決につながる可能性が高まります。一方、自己責任論が蔓延(まんえん)する世の中で、自身の存在感を否定され、生きる価値を見失ってひきこもる人がはるかに多い。解決に時間がかかりますが、居場所づくり、一般企業とは違う代替的な働く場の提供など、いろいろな対策を総合的に組み合わせる必要があります。
行政はおしなべて「窓口に相談してくれたら、支援します」という姿勢です。外出できずひきこもらざるを得ないのに、ハードルが高くないですか。支援策が「現実社会への適応」に偏っているのも問題です。例えば相手の目を見て話す訓練があります。「同僚と会話が続かない人」向けの就労支援の一つですが、「自分には生きる価値がない」と感じている人に、根本原因を取り除かずに技能訓練だけを行っても、効果は薄い・・・
原文をお読みください。

フランス流バカンスの取り方

5月21日の日経新聞、フロランス・ゴドフェルノーさん(フランスの出版社広報部長で駐日大使夫人)の発言から。
・・・もう5月下旬。私が広報部長を務める出版社では、みんな夏休みの取得予定を申告済みです。5月に入るとすぐにオフィスの壁に夏休みの日程表を貼りだし、希望日を全員が記入します。子どもがいる社員は学校の夏休みに合わせて7月や8月に3週間ほど休暇を取ることが多く、独身の人はその間を避け、6月に休む人もいます。早めに調整すれば、各自が長期間、休みを取っても夏の間オフィスが無人になることはありません・・・
・・・こうやってなんとか確保する8月の3週間の長期休み、私はひたすら「何もしない」ことに徹します・・・

原文をお読みください。

社会的孤立状態にある世帯

全国民生委員児童委員連合会が、「社会的孤立状態にある世帯への支援」を調査し、その結果を公表しています。「朝日新聞の記事」。
今日の大きな社会問題の一つが、社会的孤立です。近年顕著になった問題であり、明確な所管がなく、対処方法も確立していません。問題を抱えた家族が、どこに相談してよいかわからない。あなたがそのような状況になったら、そうでしょう。行政としては、それが一番の問題なのです。

今回の調査は、福祉の第一線で苦労しておられる民生委員さん、23万人に対する調査結果です。詳しくは、調査結果をお読みください。
民生委員の4人に1人が、社会的孤立の人に対応した経験があります。年齢は高齢者が多く、40歳台、50歳台も多いです。
認知症、近隣住民とのトラブル、外出が困難、うつ病、知的障害、引きこもり、ゴミ屋敷などのほかに、親の年金頼みで子が無職、働く意思や教育を受けようとする意思がない、アルコール依存症、不登校、家庭内暴力、高齢者虐待、児童虐待などもあります。
民生委員は、このようなケースを見つけたときは、しかるべき所につなぐのですが、これが難しいのです。対象者は様々な事情を抱え、かつ複数の原因があります。

かつての福祉は、生活保護が中心でした。経済的貧困などです。しかし、人とのつながりがうまくできないという、新しい型の困難が見えてきました。
経済的支援は手法としては比較的に簡単です。しかし、社会的孤立は他者との関係がうまくできないことで、支援者・支援組織との関係も難しいのです。「放っておいてくれ」と言われたらどうするか。「公権力は家庭に踏み込まない」という制約もあります。かつては、個人や家庭の問題だったのが、社会の問題になったのです。

私は、市町村役場に「包括的窓口」をつくる、国にも窓口になる専門部署をつくるべきだと考えています。まずは、そこがすべてを受け付けるのです。そこから、それぞれの専門部署につなぎます。
現状では、民生委員さんに、過重な負担をかけているように思えます。

私は今、大学の授業「公共政策論」で、これら「新しく生まれた社会の問題」を取り上げるところです。かつて、それを含め「社会のリスクの変化と行政の役割」として、連載をしました。一冊の本にまとめておけば良かったのですが、途中で東日本大震災対応に駆りだされ、連載も中断しました。今回は、再度考え方を整理する良い機会です。
このテーマは、私の行政論の柱の一つです。このホームページに「再チャレンジ」という分類があります。第一次安倍政権で、再チャレンジが主要政策になり、私が担当になりました。そこで、この新しい社会の問題、それに行政がどのように対応するかを考えることになりました。その際は、「再チャレンジ支援施策に見る行政の変化」月刊『地方財務』2007年8月号に、まとめておきました(もう10年も経つのですね)。