カテゴリー別アーカイブ: 再チャレンジ

行政-再チャレンジ

社会的孤立が生む認知症

7月4日の朝日新聞オピニオン欄「認知症の予防どうする」、西田淳志・東京都医学総合研究所心の健康プロジェクトリーダーの発言から。

・・・世界的な医学誌、英ランセットに昨夏、「認知症の3分の1は予防可能かもしれない」という趣旨の論文が載りました。
青年期の教育機会の不足や、中年期の聴力低下、高齢期の孤立など、九つの要因を取り除ければ、認知症の発症を35%減らせるかもしれないという内容です。期待される認知症根治薬開発が難航する中、英国でも大きく報じられました。
しかしこれらの要因を減らすことで認知症の発症が実際に予防できたという介入研究による報告は限られており、現状では因果関係についての慎重な解釈が必要だと思います・・・

・・・ただ、この論文が「社会的孤立」を認知症のリスク要因と位置づけた点は、興味深いです。
今年1月に英国で誕生した閣僚ポスト「孤独担当相」のきっかけとなった報告書には、「38%が認知症になったことで友人を失った」とあります。認知症の予防という観点からだけでなく、認知症になっても孤立を生まない社会的な仕組みを、作ることが大事なのだと思います。
孤立を「自己責任」の範疇としている限りは、多くの公衆衛生的課題、健康課題の解決には結びつきません。
その意味で、英国の取り組みは参考になる部分が多いと感じます。英国民保健サービス(NHS)は数年前から、「社会的処方」という取り組みを試行しています。
例えば「寂しく、生きがいがない」と孤独を訴える患者に、地域の絵画教室や運動教室に行く「処方箋」を出し、そうした機会への参加を具体的に手配するのです。
こうした取り組みによって、地域の保健医療費の支出が減るなどの報告も出てきています。
社会的に排除されやすい人々、孤立しやすい人々を地域社会に包摂する具体的な仕組みが認知症予防の観点からだけでなく、総合的な健康政策としても位置付けられるべきだと思います・・・

社会的孤立は、このようなリスクにもつながるのですね。イギリスに「孤独担当相」ができていたのは、知りませんでした。

引きこもり支援の実例

NHKのウエッブニュースに、「不器用でもいいじゃない 元エリート会社員の“ひきこもり”支援」が載っています。引きこもりの人を支援する活動の実例です。
慶應大学の授業で、これからの行政の例として、再チャレンジ施策を講義したので、参考に紹介しておきます。

あわせて、「引きこもりクライシス 100万人のサバイバル」のサイトも紹介しておきます。

弁護士、福祉と連携して出張相談へ

4月30日の日経新聞に「法テラスの出張相談 福祉と連携、利用広げる」が載っていました。

・・・お年寄りや障害者ら、生活面で支援が必要な人が直面する法的トラブルをうまく解決してもらえるよう日本司法支援センター(法テラス)が力を入れている。こうした人たちの被害は法的なサービスにつながりにくい実態があるためだ。今年1月からは、認知症などで被害の自覚がないお年寄りらの自宅での相談に応じる新たな取り組みが始まった・・・
・・・法テラスは開業後、お年寄りや障害者ら福祉支援が必要な人たちの法的課題を巡り「被害が当事者にも認識されず、情報も届いていない」といった反省点が浮かび上がった。その結果、福祉分野で広がる「アウトリーチ」を導入。「相談待ちでなく、援助者の側から積極的に問題を見つけ出す」(法テラス本部)手法で、福祉機関と連携した出張相談などに取り組んできた・・・

記事には、判断能力が低下したと思われる高齢者が金銭の被害にあっていて、それを弁護士が救った事例が紹介されています。
困っている人をどう救うか、自分では判断できない人、行政の窓口に相談できない人をどのように救うか。様々な取り組みが広がっています。

引きこもりの長期化、高齢化

6月3日の朝日新聞オピニオン欄「長引く引きこもり」、山本耕平・立命館大学教授の発言から。
・・・山梨県では、民生委員や児童委員に聞き取りしたところ、ひきこもりの人の6割が40代以上でした。KHJ全国ひきこもり家族会連合会の調査では、平均年齢は2004年の27・6歳から、今年は33・5歳に上がりました。ひきこもっている期間は平均で7・5年から10・8年に延び、いずれも過去最高、最長になっています。
現在40歳前後の人は、およそ20年前に就職するときが就職氷河期と重なりました。非正規雇用を続け、キャリアを積めないことでひきこもる人もいます。
不登校が長引き、自室に閉じこもってゲームばかりする若者のイメージが強いかもしれませんが、こうした調査からは、長期化、高齢化の実態が見えてきます・・・

・・・一度社会に出て働いてからひきこもる中高年齢層への支援は、若年層に比べて手薄です。長期化、高齢化を招いている大きな要因の一つだと考えています。
要因は実に様々で、ひきこもるのを防ぐ、あるいは抜け出す単一の妙手はありません。発達障害や精神障害、中年以降に多いとされる内臓疾患など、直接的な原因が明らかな人は、医療面から解決につながる可能性が高まります。一方、自己責任論が蔓延(まんえん)する世の中で、自身の存在感を否定され、生きる価値を見失ってひきこもる人がはるかに多い。解決に時間がかかりますが、居場所づくり、一般企業とは違う代替的な働く場の提供など、いろいろな対策を総合的に組み合わせる必要があります。
行政はおしなべて「窓口に相談してくれたら、支援します」という姿勢です。外出できずひきこもらざるを得ないのに、ハードルが高くないですか。支援策が「現実社会への適応」に偏っているのも問題です。例えば相手の目を見て話す訓練があります。「同僚と会話が続かない人」向けの就労支援の一つですが、「自分には生きる価値がない」と感じている人に、根本原因を取り除かずに技能訓練だけを行っても、効果は薄い・・・
原文をお読みください。

フランス流バカンスの取り方

5月21日の日経新聞、フロランス・ゴドフェルノーさん(フランスの出版社広報部長で駐日大使夫人)の発言から。
・・・もう5月下旬。私が広報部長を務める出版社では、みんな夏休みの取得予定を申告済みです。5月に入るとすぐにオフィスの壁に夏休みの日程表を貼りだし、希望日を全員が記入します。子どもがいる社員は学校の夏休みに合わせて7月や8月に3週間ほど休暇を取ることが多く、独身の人はその間を避け、6月に休む人もいます。早めに調整すれば、各自が長期間、休みを取っても夏の間オフィスが無人になることはありません・・・
・・・こうやってなんとか確保する8月の3週間の長期休み、私はひたすら「何もしない」ことに徹します・・・

原文をお読みください。