カテゴリー別アーカイブ: 経済

行政-経済

改革指向型論文

前川聡子先生らの編著になる「社会保障一体改革への途」(2007年5月、清文社)が、出版されました。
年金、医療、介護、社会福祉、公的扶助について、現状・課題・改革への青写真が論じられています。日本の社会科学は、過去の分析と仕組みの解説に偏していますが、このように社会保障など経済財政政策分野は、改革指向型の論文が増えてきています。

日本の労働生産性

11日の日経新聞は、日本の労働生産性が、アメリカの7割であることを伝えていました。この数字は、OECD平均より劣ります。サービス分野が低く、産業別では、飲食・宿泊が4割、卸・小売りが5割以下です。

少子化対策予算

10日の日経新聞は、「少子化対策、財源論議へ政府試算」を紹介ししていました。フランス並みの少子化施策を導入すると、年間10兆円となり、現在の3倍もの予算が必要になるとのことです。
前にこのHPで、公共事業予算は西欧各国を上回っていることや、公務員数は西欧に比べ少ないことを紹介しました。西欧をまねする必要はありませんが、彼らに比べ、日本はどこに多くのカネと人をつぎ込み、どこにつぎ込んでいないかを調べるのは、有意義だと思います。これまでは、各省・各部門が「私の分野は少ない」と主張することは、ままありました。それらも利用して、全体的詳しくに知りたいのです。どなたか、やってくれませんかね。

財政赤字は子どもを抵当にした借金・カナダの例

9日の日経新聞「月曜経済観測」、カナダのフレアティ財務大臣のインタビューから。
カナダは、今では財政の優等生と呼ばれるが、過去には歳出が膨張し続けた時期がある。1970-80年代は巨額の政府支出が内需を支え、国も州も借金地獄に陥った。国民は財政拡大と赤字を気にせず、むしろ支持していた、なぜなら国民は、政府債務の増大が、将来の増税につながると想像しなかったからだ。国の財政と自分の日々の生活を、直感的に関連づけて考える人などいない。ここに政治家や政策当局者が陥る落とし穴がある。
だが、借金はいつかは返さなければならない。支払いを先送りしても、将来は税収で埋めるしかない。つまり、自分の子どもを抵当に入れて、借金をするのと同じだ。そこで、子どもの将来を真剣に考えるよう、国民に訴えた。財政赤字の本質とは、世代間の不公平なのだと明言した。親が子の生活水準の向上を願うのは当然だ。90年代にかけて、財政問題に関する国民の認識が、徐々に変わっていった。もし今、財政赤字を容認すれば、その政権は国民に政治的に排除されるだろう。日本ではどうだろう・・・

全要素生産性

日経新聞経済教室は、4月2日から5日まで、TFP(全要素生産性)を特集していました。聞き慣れない言葉ですが、生産性=経済成長(投入量に対する産出量の割合)のうち、労働要素(労働時間数)と設備要素(機械や工場などの資本)を除いたものです。
すなわち、「その他何でも」なのですが、技術革新だけでなく、労働者の質ややる気、技術や資源・人をどう有効に活用できるかといった社会制度や慣行も含まれます。ただし、TFPは引き算で出てくるので、その内容は数量的には正確には分かりません。
労働・資本・TFPの3つが上昇すれば、経済が成長するということです。労働時間が増えなくても、資本が増えなくても、TFPが上昇すれば生産性は上がるのです。JRなどは良い例ですね。従業員は減ったのに、売り上げは増えたのですから。
すると、政府・社会としては、どのようにしてTFPを引き上げるかが、重要な課題になります。工学的な技術革新だけでなく、それを生産・流通・消費に応用することが重要なのです。また、労働力の質を引き上げ、より必要なところに回すこと、資金をより成長する分野に投資することも、重要です。人や資金が従来型の生産性の低い分野にとどまることなく、成長分野に移すため、規制改革・社会の枠組み改革は、この意味からも重要なのです。
経済学での「需要と供給」では、供給の議論ですが、これが需要にも影響を及ぼすことも指摘されています。TFPは、経済財政諮問会議での、重要な議論の一つになっています。