カテゴリー別アーカイブ: 生き方

生き様-生き方

鹿島茂先生の古書集め

鹿島茂著『子供より古書が大事と思いたい 増補新版』(2008年、青土社)を読みました。
いや~、感激しますわ。表題から、その内容を推測できます。で、私も読んだのです。

先生が集めておられるのは、ヨーロッパ19世紀の挿絵本です。中には、とんでもない値段が付いている本もあります。それらを扱う専門店があるのです。日本の街角にある古本屋とは、全く違う世界です。
フランスの古書、古書店の事情がよくわかりました。私の立ち入る世界ではないということも。

先生が、どのようにして、目当てのものを手に入れられるか。この本の元となった文章が書かれた頃は、インターネットがなく、ファックスでやりとりされています。
さらに、お金の問題です。先生は、大金持ちのお坊ちゃまでなく、大学教員です。どのようにして、費用を工面されたか。借金をして、その借金返しのために原稿を書き続けたとの趣旨が書かれています。

さて、表題にもなっている「子供より古書が大事と思いたい」は、フランス滞在中の出来事を書いた部分です。どのようにお子さんが「かわいそうな目」に遭ったか。それは本をお読みください。奥さんも子供さんも、えらい。

石毛直道著『座右の銘はない』

石毛直道著『座右の銘はない あそび人学者の自叙伝』(2019年、日本経済新聞出版社)を読みました。2017年に、日経新聞「私の履歴書」に連載されたものに加筆して本にしたものです。
石毛先生は、「鉄の胃袋」と呼ばれるほどの、何でも食べてきた人です。座右の銘は、「何でも食べてやろう」ではないでしょうか。もちろん、小田実さんのベストセラー『何でも見てやろう』のもじりです。

P129に、次のような内容の記述があります。
石毛先生が海外に出かけるようになった1960年代、世界で日本料理店があったのは、旧植民地の朝鮮半島、台湾と、日本人移民が多く日本人街が作られたロスアンジェルス、ホノルル、サンフランシスコ、サンパウロなどの都市に限られていました。
先生は、日本食が世界性を獲得するのは難しいと考えていました。理由は、世界のほとんどの地域で、肉や油脂、香辛料を多用した料理がごちそうとされていたのに対して、日本食は魚と野菜を主役とし、寿司や刺身などの生魚料理をごちそうとするからです。
「私の予想は見事にくつがえった。1970年代末に、ニューヨークとロスアンジェルスを拠点に、アメリカでスシ・ブームがおこったのである」

1980年に、ロスアンジェルスで50軒ほどの日本料理店で、約500人のアメリカ人にアンケートを実施します。日本食から連想される言葉に、健康的、軽い、ナマ、単純、清潔、美しいが上げられました。他方、アメリカ食からは、脂っこい、太る、重いという言葉が連想されます。日本食が健康によい食事と評価されたのです。
2007年ニューヨークには、約900軒の日本食のレストランがあるのだそうです。

先生の若き頃の交流に、京大人文研や民博の先生方がでてきます。私も大学時代から、これら先生方の著作を読みました。懐かしく思い出しました。「加藤秀俊先生」「梅棹忠夫先生」「高橋 潤二郎先生との対談

山は登るものでなくつくるもの

8月25日の日経新聞、石井裕・米MIT教授の「山は登るものではなくつくるもの」から。

・・・石井裕・米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ副所長(教授)が米国計算機学会(ACM)のコンピューター・ヒューマン・インターフェース(CHI)会議で最も著名な「生涯研究賞」を受賞した。ヒトとコンピューターの接し方について従来にないビジョンを提示しまったく新しい研究領域を創出したことが高く評価された。「100年後にも廃れないビジョンこそ大事だ」と石井さんは力説する。

生涯研究賞は、単一の発明や研究成果を対象に贈られるものではない。多くの研究者を魅了し研究に駆り立てるような新しいビジョンを示し長きにわたって先駆者として活躍してきた研究者に与えられる。過去にはマウスやグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)の先駆けとなる技術を発明したダグラス・エンゲルバートら時代を画する研究者が受賞している。石井さんは日本を含むアジアから初めての受賞だ・・・

・・・「MITに来たとき、これから頂上の見えない高い山に登るものだと思っていた。しかしそれは間違いだった。山に登るのではなく、山をつくるのが仕事だと気がついた」と石井さんは述懐する。だれも気がつかない領域を見いだし後進の研究者が挑戦し続ける大きな研究分野をつくりあげる。エンゲルバートら、石井さんが尊敬するコンピューター科学の先達たちが歩んできた道を自分もまた歩まねばならないことを自覚したそうだ・・・

豊かな余暇を楽しむ

日曜日の日経新聞には、別刷りのカラーページが折り込まれています。「こんな日曜日が待ち遠しい。The STYLE」です。
新しい生活スタイル、少々お金を持っている企業人向けのようです。値の張る料理やお酒、服装などが紹介されています。活躍中の企業人の趣味なども。
仕事に没頭している社会人に、仕事を離れた生活の情報を提供しているのです。

私は、月曜の朝、福島に向かう新幹線の中で読むことにしています。
若いときは、仕事一筋で時間の余裕もなく、お金はもっと余裕がありませんでした。
最近ようやく、キョーコさんのお供で旅行することができるようになりました。食事とお酒も(このあと楽しめる回数も多くないと思い)、少しはましなものを選ぶようになりました。もっとも、そんな高価なものは無理ですが。

8月18日の紙面は、瀬戸内海クルーズの「ガンツウ」を紹介していました。2泊3日で、40万円から100万円だそうです。
船の形からして、日本らしいです。エーゲ海のクルーズをうらやましがるのではなく、日本でも、このような船旅ができる、そして乗る人がいるようになったのですね。

偉人たち、人生の快楽

島地勝彦著『そして怪物たちは旅立った』(2019年、CCCメディアハウス)を本屋で見つけて、読みました。島地さんは1941年生まれ、『週刊プレイボーイ』編集者として有名です。近年は、バーテンダー、エッセイストとして活躍しておられます。

この本は、雑誌に連載された文章を、一冊の本にまとめたものです。作者が興味のある歴史上の人物100人を選んで、その人の葬式に出席して読む弔辞という形を取っています。「寝る前に2、3人ずつ読むと良い」と書かれています。

もちろん、歴史上の偉人を、公式の活躍ぶり、正面からは取り上げません。島地さんの物差しで、切り込みます。酒と女とたばこ、とおっしゃいます。
人生の楽しみは、このほかに、名誉とお金、美食でしょうか。へえ、と思うことがたくさん載っています。かなりの読書をなさったのでしょうね。また、それを覚えておられる。すごいことです。
短いコラム、本の形にしても一人3ページの短いものです。できればこの2倍の分量があれば、さらに面白いものになったと思うのですが。
近年は、英雄の伝記ははやらなくなったのですが、人生の道しるべとしては、意義があります。凡人は、そのようなまねはできないと思いつつ、夢を持ったり、少しまねてみたり・・・。

官僚という職業を選んだので、私は、そんな面白いことを楽しめませんでした。キョーコさんからは、「お酒を飲んだじゃないの、飲み過ぎ」とおしかりをうけていますが。
「仕事で楽しんだじゃないか」と、ヤジが飛んできそうです。