カテゴリー別アーカイブ: 2017年~海外旅行

買うことと維持すること、手入れすることと買い換えること

鹿島茂著『クロワッサンとベレー帽』に、次のようなくだりがあります。p173
・・・何が好きといって、ガラスやグラスをピカピカに磨くことほどフランス人の好きなことはない・・・
・・・ではいったい、フランス人のこのピカピカ好きはどこからきているのだろうか? おそらくそれは、かつてフランスが貴族社会だった時代の名残なのだろう。つまり、貴族社会のころ、裕福さの度合は、所有しているモノの高価さよりむしろ、その高価なものを維持していくためにかける人件費によって計られたのである。
たとえば、バカラのような高価なクリスタル・グラスを所有していても、それを日常的に使用していることを示さなければ、本当に裕福とはいえない。しかも、そのクリスタル・グラスが購入時と同じ輝きを持って使用されていなければならないのだ・・・

納得します。カネがあれば、高価なものも買えます。しかし、それを維持する、手入れをして使い続けることは、もっとお金が必要ですし、その意志と時間が必要です。カネにものを言わせて、次々買い換えることもできますが、その人とは哲学が違うのです。

なお、これを考える際には、日本とフランスとの伝統文化の違いもあります。かの国では建物は石で造り、手入れをしながら長年使います。時には、外壁はそのままで、内部は作り替えるとか。我が国では、建物は木造なので、神社仏閣などを除いて、時間が経つと建て替えます。住宅において、この違いは大きいです。
維持する文化と更新する文化の違いです。
ところで、鉄筋コンクリートの建物は、どちらに入るのでしょうか。どうも更新派に属すると思われます。アパートも、壊して建て替える方が多いでしょう。タワーマンションも、30年も経つとどうなるのでしょう。

他者を引きつける魅力、国力とはなにか

フランス旅行中に、頭に浮かんだことがあります。「国力とはなにか」です。フランスが、現在なお世界の人を引きつける力です。

政治(学)では、力(パワー)は、相手にこちらの意向に従わせることです。その方法は大きく分けて、腕力(軍事力、暴力)、金力(経済力)、魅力(文化、憧れ、宗教など)があります。ここで取り上げたいのは、魅力です。
腕力は、相手が嫌々従います。金力も、仕方なく行動を合わせます。それぞれ力のある方が、それだけのコストをかけて、相手に働きかけなければなりません。しかし、魅力は、そんなことをしなくても、相手方が来てくれるのです。もっともスマートな方法です。

フランスは、軍事力と経済力では世界第一級ではなくなりました。しかし今なお、世界中から人を引きつけ、その動向は国際的に注目されます。かつての世界中の人が憧れたのは、華やかな都パリもありますが、その文化と芸術だったのでしょう。
美術、音楽、オペラ、立派な街並み、フランス料理・・・。しかしそれら以上に、フランスが輸出した(世界に範を示した)文化に、市民革命があります。象徴的に言えば、自由・平等であり、ナポレオン法典です。これは、世界を変えました。

このホームページでも、ハードパワーに対する、ソフトパワーは何度も取り上げています。「日本の魅力力」「国家のパワー再考・相手を動かす力と左右されない力」。
先日書いた「身につけた経済力を生かす」と合わせて、日本は何を遺すか、何を世界に売るかを考えています。
個人にも、適用できます。

あこがれのフランス

フランス旅行には、いつものように、固い本と軟らかい本を持って行きました。柔らかい方は、鹿島茂著『クロワッサンとベレー帽 ふらんすモノ語り』(2007年、中公文庫)を、積ん読の山から見つけて。

フランスで(フランスに滞在中は余裕はないので、正確には飛行機中で)、フランスに関係するエッセイを読むのは、ぜいたくなことですね。日本で読むより、「なるほど」と思うことが多いです。この本の原本は、1999年。さらに、収録されている個別のエッセイは、その前に書かれたものですから、結構時間が経っています。
いつもながら、先生の著作は、切れ味良く読みやすいです。

その中で、フランスとフランス語、フランス語学科が、かつてのようなあこがれでなくなったことを、嘆いておられます。
そうですね。私の時代は「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し・・・」(萩原朔太郎)の時代ではありませんが。かつては、海外旅行は簡単でなく、そしてフランスはその中でもあこがれでした。「おふらんす」と、漫画おそ松くんの中で、フランス帰りのおじさんイヤミは表現していました。
デパートでも、イギリス展、フランス展が毎年開かれていました。いつの頃からか、このようなフェアがなくなりました。売り場を覗いても、欲しいなあと強くひかれるモノもなくなりました。

フランスやイギリスに行っても、これは買いたいと思う品も、お土産に買って帰りたいという品も、なくなりました。もちろん、とんでもないお金を出せば買える「すばらしいモノ」はあるのですが。これは、私には手が出ないので。
日本が豊かになり、「舶来品」「舶来上等」が消えました。舶来といっても、若い人には通じませんかね。また、海外旅行が珍しくなくなり、彼我の差が縮まりました。おいしフランス料理もワインも、日本で食べることができます。
しかし、行ってみると、見るところは多いですね。

2018年8月フランス旅行

8月21日 成田発、パリ経由ニース。ニース泊
22日 モナコ、エズ、ニース観光、シャガール美術館。アルルへ移動、泊
23日 アルル旧市街、ゴッホの跳ね橋、ポン・デュ・ガール見物。アビニョンからTGVでパリへ。ベルサイユ泊
24日 ベルサイユ宮殿観光、バスで移動後、シュノンソー城見学。トゥール泊
25日 モンサンミッシェルへ移動、修道院見学。モンサンミッシェル泊
26日 パリへ移動、市内・ルーブル美術館見学。パリ泊
27日 パリ発。28日朝成田着

ホームページ再開、休暇報告

休暇を終えました。休載中も、たくさんの方がホームページを見てくださったようで、申し訳ありません。

キョーコさんのお供をして、フランスに行ってきました。旅行会社のツアーに参加しました。ホテルで6泊、機中1泊、8日間です。キョーコさんのママ友が、「よかったわよ」とおっしゃる名所旧跡を巡る旅です。ママ友たちは、世界中を旅行しておられるようです。
去年も書きましたが、結婚以来、海外旅行はもちろん、国内旅行もほとんどしませんでした。去年夏のアメリカ東海岸に続く、罪滅ぼしの第二弾です。
アメリカは、息子と婿が現地にいたので、様子を見に行く旅でした。2人の「現地駐在員」を頼りに、手作りの旅ができました。今回は、25人の団体ですので、自由はききません。その代わり、とても効率よくいろんなところを見て回ることができました。さすが、よく考えて作ってある行程です。少々詰め込みすぎですが。

パソコンを持って行ったので、ホテルやバスの中でも、インターネットに接続できました。ところによって、なかなかつながらないことがあったことを除けば、便利なものです。ホームページの加筆もできたのですが、休暇中に「仕事」をするのも興ざめなので、やめておきました。
もっとも、電子メールと携帯電話は、旅先まで追いかけてきました。メールの際に「おはようございます。こんばんわ」と挨拶を書いてくれた人がいます。日本との時差が7時間です。気が利いた台詞ですね(笑い)。
携帯電話は、朝の4時に鳴ったことがありました。「すみません、いまフランスなんですわ。・・・」と話したら、相手はびっくりしておられました。日本では、朝の11時ですからね。
旅行日程