カテゴリー別アーカイブ: 地方財政改革

地方行財政-地方財政改革

地方財政の仕組みと現状

1 地方財政の仕組みと現状
日本の地方財政は難しいといわれます。地方財政には、2つのものがあるからです。

1つは、各市町村の財政です。これは約3,300あります。それぞれが、大きさも内容も違います。だから、簡単には言えないのです。
これらが集まって、もう1つの地方財政=日本全体の地方財政を作っています。そして、単に3,300の各団体の財政が集合しているだけでなく、国家財政との間で「調整」をしています。

この地方交付税の仕組みが、わかりにくいとおっしゃる方が多いです。一度、拙著「地方交付税-仕組みと機能」をご覧下さい。
3,300の自治体がどのような仕事をしているか、日本全国、税収の多いところから少ないところまで、同じように教育・消防・救急・清掃・福祉などを実施できる仕組みを解説しています。

このHPでの解説は、次のように執筆中です。
1 地方財政の仕組み・マクロ
2 地方財政の仕組み・ミクロ
次のリンク先(自治財政局のページ)をご覧下さい。
1 地方財政の仕組み(自治財政局のページ)
2 地方財政の状況(自治財政局のページ)
3 地方交付税の仕組み(自治財政局のページ)
4 15年度地方交付税制度の改正
2 関係機関等
次をご覧下さい
1 地方行財政刊行物案内
2 地方行政研究機関など
3 日本地方財政学会
私が所属している地方財政学会です。
平成15年度の総会では、基調講演をしました。

地方財政改革の方向と交付税の未来

1 これまでの経緯
最近の動きは、「地方財政改革の動き」をご覧ください。
三位一体改革(平成13年から17年まで)は、地方財政改革の経緯」を見てください。

2 それまでの動き
(1)最近の地方財政改革
大きな流れや歴史的な位置づけは、「地方財政改革論議-地方交付税の将来像」(ぎょうせい、2002年)に、私の考えを書きました。
なぜここに来て、地方財政・地方交付税が改革議論の対象になったのか、それら改革論についての考え方を述べ、地方財政・地方交付税の将来像を議論しています。平成14年度の地方交付税の見直し(段階補正削減、事業費補正削減)の他、税源移譲などなどについても解説しています。
(2)最近の交付税の算定
その後の動きを、「平成15年度地方交付税法の改正と最近の議論」(月刊『地方財政』2003年4月号)に載せてあります。今回は、「県分留保財源率の引き上げ」を行います。これで、経済財政諮問会議から提言を受けた事項と大臣から提案した項目すべてを、行うことになります。
もっとも、これで済んだ訳ではないので、今後の見通しについても述べておきました。地方行政関係者が、最も気にしている、①交付税による財源保障の行方、②財源不足、③市町村合併と交付税などについてです。
(3)ここ10年(バブル期以降)の交付税の変化
月刊『地方財政』(地方財務協会)2004年1月号に、「近年の地方交付税の変化」を書きました。地方交付税制度が、16年度で50周年を迎えます。そこで『地方財政』では、これから特集を組みます。その第1回目として、近年の交付税の変化を述べました。
この10年間、正確にはバブル期からの交付税制度の変化は、今から振り返ると極めて大きなものがありました。総額の変化、財源不足の補てん方法の改正、赤字地方債への振替、ふるさと創生の支援、事業費補正の活用と縮小、三位一体改革へと、大きな変化が続きました。財源が、国税3税から5税にもなりました。
この間に、担当補佐と課長をさせていただきました。その間の変化を記録するのは務めと思い、書きました。もっとも、私が担当したのは一部ですが。「交付税の歴史」といえば、大先輩が出てこられるべきでしょう。それら先輩の談はこれから書いていただくとして、「前座」として私が書きました。でも、10年経ったら、私がやったこと、書いたことも、「歴史」になるでしょう。「後世の批判に耐えるか」、それを考えていました。交付税を研究しておられる方には、読んでいただきたいと思います。
【訂正】196ページに間違いがありました。右段上から3行目「税源保障範囲」とあるのは、正しくは「財源保障範囲」です。
この記述は、2004年1月で止まっています。私が、交付税課(自治財政局)を離れたからです。すみません。
新聞のインタビューに答えた記事もあります。「交付税の見通し
3 資料
三位一体改革による交付税の改革は、三位一体改革・交付税改革(総務省発表による)をご覧ください。
簡単な資料は各年度の「地方交付税のあらまし」(地方財務協会、税込み800円、毎年4月中旬刊)にまとめてあります。この資料集は、自治体関係者・地方財政研究者の間では重宝されている、毎年のベストセラーなのです。

地方財政の仕組み・ミクロ

小規模過疎県の方が、1人あたり一般財源(経費)が大きくなることについて。

朝日新聞平成15年12月6日の記事「置き去りの改革・下」の補足です。図表で、県民1人あたり一般財源収入額の比較が示されています。財政力の強い(税収が多い)県の方(図表では上)が、一般財源が大きくなっているのは、簡単には次のような理由です。
①上の県の方が人口規模が大きく、規模の経済が働いて、県民1人あたりでは「安上がりになる」こと。人口1千万人を超える東京都も、人口80万人に満たない島根県でも、知事は1人です。
②道路・港湾・農業などの経費は、人口に比例せず、面積などに左右されること。それを人口1人あたりで比較すると、過疎の県ほど割高になります。
③政令市を抱えている県は、仕事の多く(道路の管理や保健所など)が政令市に移管されていて、県の仕事が少なくなっていること。神奈川県では、横浜・川崎と2つも政令市があり、それだけ県の仕事が少ないのです。(12月6日。続く)
(地方団体の財政状況が一目で)
昨日から、全地方団体の主要な財政指標が、類似団体と簡単に比較できるようになりました。総務省が作った様式で全団体が作成し、インターネットでリンクされました。「財政比較分析表」のページから、全国の市町村を見ることができます。あなたの住んでいる市町村がどの位置にあるか、クリックしてみてください。数字の見方も解説されています。
全地方団体「財政比較分析表」の特徴
1 類似団体や県内市町村との比較が一目で
「財政比較分析表」は、団体間で比較可能な財政情報を開示するものです。その市町村の主要な財政指標が、類似団体と比較してどのような位置付けにあるかを図示します。これまでも、これらの数字は公表されていましたが、それだけでは、住民が見ても良いか悪いかすぐには分かりません。そこで、類似の団体との比較をするとともに、それを見やすくすることにしたのです。
2 主要指標の他団体比較とレーダーチャート
(1)まず、地方団体の主な財政指標として、「財政力指数」など6つの指標をとりあげました(画面の左右に6つ並んでいます)。そして、人口・産業構造の似通った類似団体の最大値・平均値・最小値と、その団体の数値をグラフに図示しました。あわせて、全国市町村と県内市町村の平均値も明示することで、比較しやすいようにしたのです。
この6つのグラフは、それぞれ上の方が良好になっています。その団体の数値は赤丸で示してあるので、それが下にあるほど他団体に比べ悪い状態にあることになります。
(2)これを指数化して、真ん中のレーダーチャートに図示してあります。この図では、各財政指標が良好なほどレーダーチャートの六角形が大きくなり、類似団体との比較がひと目でわかる仕組みになっています。
3 自己分析欄
分析表のもう一つの特徴は、「団体による自己分析欄」を設けたことです。ここには、各団体が財政指標の「良し悪し」についてその理由を自己分析し、説明したうえで、指標の改善に向けた具体的な取組を記述するようにしてあります。
4 全国リンク
全団体がこの分析表を公開し、それを総務省のHPでリンクさせました。これで、住民にとって自分の住んでいる団体の財政状況が、簡単に把握でき、また評価できるようになりました。
わかりやすい財政分析表の見方を、長谷川君が作ってくれました。次のページに貼り付けてあります。
(この解説は、長谷川 淳二君の協力を得ました。2006年4月1日)
早速、「「財政比較分析表」の見方 が開けない」との声がありました。だめなときは、一度あなたのパソコンに(デスクトップにでも)保存してください。この部分を右クリックして、「対象をファイルに保存」をクリックしてください。そして保存したファイルを開いてみてください。このHPの読者は、私同様デジタルディバイドな人が多いので・・。
実は、このpdfファイルの貼り付けも自分ではできず、お師匠さんの玉岡雅之神戸大学助教授の手取り足取りでできました。ありがとうございます。(4月3日)