カテゴリー別アーカイブ: 地方行政

地方行財政-地方行政

地域での起業支援、コミュニティで

11月11日の日経新聞東京版に、「起業都市への道 コミュニティー形成で起業家を多面支援」が載っていました。
・・・東京都内各地で自治体や企業によるスタートアップ支援が活発化している。起業や成長を支えるコミュニティーづくり、事業アイデアを試せる実験の場の提供など起業家を引き付ける取り組みを競っている・・・

アメリカのスタートアップ支援企業が都内につくった、スタートアップ支援施設が紹介されています。アメリカで、起業家のほか、ベンチャーキャピタル、NPO法人、大学、行政機関が同居して、起業家を支えるコミュニティができているそうです。詳しくは、原文をお読みください。
なるほど。補助金などの財政支援だけでは、起業家は立ち上がることができません。このような、さまざまな悩みに答える情報の支援が必要なのですね。
「コミュニティ」という言葉を使っていますが、ややわかりにくいですね。

大阪都構想否決、大阪維新の会は?

11月3日の朝日新聞オピニオン欄「維新の会どうなる」から。
・・・大阪都構想の是非を問う住民投票は、2015年に続いて僅差で反対多数となった。構想を政策の「一丁目一番地」として掲げてきた維新の会は、どうなるのか・・・

「大阪集中こそ、生き残る道」砂原庸介・神戸大学教授
・・・住民投票で反対が上回ったのは、維新の実績を評価した有権者がいたからという側面もあるでしょう。大阪府と大阪市という行政機構の外側で維新の会が政策や利害を調整している。だから「現実問題として二重行政の問題はかなり解消されているので、大阪市の廃止まで行う必要はない」と考え、住民投票で反対票を投じたり、棄権したりした。そういう維新支持の有権者も少なくなかったのではないかと思います。

今回の結果で、自らが負っていた都構想という「くびき」から逃れることになるとも言えます。都構想実現となれば、結党目的を達成した政党として存在意義を失いかねませんでした。制度が変わらないことで、大阪の地域政党として選挙で支持を集めれば、利害調整の役割を果たすことが可能です・・・

万城目学さん、松沢裕作さんの発言も、興味深いです。

砂原庸介教授、自治体間連携の枠組み必須

8月10日の日経新聞経済教室「新型コロナウィルス 国と地方、浮かんだ課題」は、砂原庸介教授「自治体間連携の枠組み必須」でした。

・・・新型コロナウイルスの感染拡大への対応で注目されるのは、国だけでなく地方自治体、特に知事が最前線に立っていることだ。この感染症は、人々が密集する都市という局所的な単位で問題になる傾向が強い。
だが同様に局所的な対応が求められる地震や水害などの場面では、必ずしも知事が注目されたわけではない。知事にはある程度状況が落ち着いた後で復興をリードする役割が求められ、地元の要望を中央省庁に伝えるものの、縦割り行政の壁で思うような意思決定ができない、というのが見慣れた光景ではなかったか・・・

・・・しかし権限付与だけで組織が積極的に動き出すわけではない。1990年代の政治改革以降の日本政治の変動が新しい動きの底流にあると考えられる。
その一つは国政レベルでの「政治主導」の強まりだ。しばしば指摘されるように第2次安倍政権以降、各省間の調整が後景に退き、首相周辺の政治家・官僚を中心としたトップダウンの意思決定が強調されている。
感染の懸念も後押しする形で知事が直接政治に要求を届けると、それを受け取った大臣も何らかの反応を求められる。要請を受けた政府・与党内の意思決定過程では依然ブラックボックスとされる部分は残るが、知事の側がオープンに発言する以上、受け取った政治の側もオープンに責任を問われる。その結果として、全国知事会での対策を主導した知事からは、国が地方からの要求に対して非常に応答的であり、ときには期待を上回る形で要望が実現したとの評価もなされる。

次に知事を含める形で政治リーダーの競争関係があらわになったことがある。従来は次期首相をうかがう政治家など、政権党内での政治家同士のけん制や競争関係が注目されることが多かったが、今回は感染症対応を直接担うリーダーたちの発言が注目され比較されている。さらに感染者数や医療供給体制に関するデータが出されていることで、比較や格付けすらなされている。互いに全く意識しないのは難しいだろう・・・

・・・問題は早期発見・封じ込めが困難になるほどに感染者が増大していく局面だ。そうなると既に不特定多数の人々が感染しているという前提の下に、自己検疫による外出の自粛や経済活動の抑制、そして緊急事態での医療資源の管理といった「災害モード」が前面に出る。当初の感染者数が少ない状況では、対策があくまでも特定の都道府県・市町村の中で完結することが想定されるのに対し、災害モードでは国や周辺自治体を含めた広範な連携が必要になる。多くの人々が自治体の境界を越えて大都市の中心を利用しているからだ。
3月から5月にかけての感染拡大で、東京・大阪で災害モードの管理を中心的に担ったのは知事だった。知事には、経済活動の抑制や抑制解除の条件などで国と交渉しつつ、近隣の自治体との連携が求められていた。国との間に一定のコンフリクト(摩擦)があったのと同様、自治体間連携にも困難は生じる。日本の大都市圏には自治体を越えて連携するような仕組みが制度化されておらず、指揮系統や情報管理を一元化するのは極めて難しいからだ。

神奈川県・埼玉県や京都府・兵庫県といった大都市圏周辺に位置する府県は違う意味で難しい立場に置かれたと考えられる。これらの府県は大都市と連なる政令指定都市を抱えており、それらは東京・大阪の動向に影響される。他方、府県知事はかねて政令市以外の地域に注力する傾向にあるため、対策としては医療モードをまず重視することになる。そうした配慮が大都市を中心とした対応を遠心化させる可能性もあるだろう・・・

参考「砂原庸介教授 国の政治主導、地方の政治主導

全国知事会、コロナ対策での役割

8月6日の読売新聞解説欄は、「知事会 コロナ積極提言…オンラインで意見集約」でした。
・・・新型コロナウイルスの対応をめぐり、全国知事会の動きが活発化している。機動的にオンライン会議を開いて各知事の意見を集約し、繰り返し政府に提言している。ただ、かつての「国との対決姿勢」は影を潜め、国への依存が強まることを危惧する声もあり、地方分権のあり方が問われている・・・

・・・知事会で全国の知事が顔を合わせるのは通常、年2、3回の会議のみ。だが、新型コロナの感染拡大を受け、2月下旬に飯泉会長を本部長とする対策本部を設置し、これまでに10回もの会議を開く「異例の対応」(事務局)をとる。5回目以降は全面的にオンラインでの開催となり、地元にいられる便利さから知事本人の出席が一気に増えた。
新型コロナ対応では自治体が主導的役割を担わざるを得なくなり、最前線に立つ知事に脚光が当たった。改正新型インフルエンザ対策特別措置法では、緊急事態宣言下での外出自粛の要請や施設使用制限の要請・指示など、知事に強い権限が与えられた。知事会も、現場の声が集まる場として注目されたことで知事の参加意欲も高まった。
知事会は会議のたびに政府への提言を取りまとめ、機を逃さず担当閣僚らに要望。提言は「対策本部」名義だけで11本に上る。感染拡大を防ぐための休業要請に応じた事業者への補償をめぐっては「休業要請と補償はセット」と訴えた結果、地方創生臨時交付金を休業への協力金に充てることが認められた・・・

新しい形での、全国知事会の役割が見えてきました。詳しくは記事をお読みください。

最近の地方活性化

7月23日の読売新聞解説欄は、阿部文彦編集委員の「東京一極集中 止まらない…コロナ時代の地方創生 地域の雇用増 効かず」でした。

・・・17日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針」は、地方の活性化に向けて、テレワークの推進や地方大学への支援強化などを柱としている。どう具体化するのか。過去5年間の東京圏への転出入や雇用創出数などの実績を基に、「ウィズコロナ」時代の地方創生の課題を探った・・・
・・・政府が2014年末に決定した地方創生の総合戦略は、今後加速する人口減少を背景に、2060年に1億人程度の人口の維持を目指し、出生率の上昇と東京一極集中の是正を二つの柱に掲げた。長期間の施策のため、15~19年度を第1期と定め、政策ごとの数値目標を掲げ、進捗状況を検証してきた。
20年を目標年とする第1期の主な目標の達成状況を見てみよう。

まず、最重要目標の東京一極集中の是正は、成果が上がっておらず、むしろ悪化した。19年の地方から東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)への転入者数は約49万8000人で、15年に比べて約1万人の増加。東京圏から地方への転出者数は約35万2000人で、約1万6000人減だった。この結果、東京圏への転入超過は、15年の1・2倍にあたる約14万6000人に拡大した。

一方、創生本部は、地方での若者の定着に欠かせない職場の確保などの分野について「目標達成に向けて進捗している」と合格点をつける。地方での若者の雇用創出数は、15年から24万人増の34万人で目標を達成。都市部の若者らが地方で働く「地域おこし協力隊」の参加者は15年度の2倍の5466人だった・・・

詳しくは、原文をお読みください。日経新聞やさしい経済学は、牧瀬稔・関東学院大学准教授の「地域活性化の新たな潮流」が始まりました。