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地方行財政-三位一体改革

三位一体改革6

今年度の三位一体改革に関する国会での議論
その主な質問と答を、紹介します。もっとも、答には私の解説と主張も含まれていますので、公式見解ではありません。
1 三位一体改革といいながら、地方財源が大きく減っているではないか。
(答)
三位一体改革には、2つのものが含まれています。
①その1は、国庫補助金廃止とその一般財源化です。
②その2は、交付税の縮小です。
このうち、①では地方収入は減りませんが、②で地方収入が減っているのです。
「三位一体」改革と呼ばれていますが、私は「2+1」と解説しています。「国庫補助金廃止」と「一般財源化」はセットです。これが私の言う「2」の部分で、狭義の三位一体改革、①です。これは質的改革です。補助金廃止のうち地方が引き続き行うものは、税源移譲をします。16年度は、過渡的方法として、所得譲与税と税源移譲予定特例交付金です。
交付税の縮小は、この①とは別物です。量的改革です。
①は地方の自由度を高めるためのものですが、②は財政健全化が主な目的です。拙著「地方財政改革論議」でも、地方財政には2つの課題があるとして、まず②を述べ、次に①を述べてあります。
①の部分は、それに見合う地方財源総額を確保してあります。また、個別団体についても、地方交付税によって財源保障と財源調整をしています。所得譲与税や特例交付金が必要額だけ来なくても、交付税で埋めます。だから、これによって財源が減ったということはありません。しかし、②が大きかったので、「三位一体改革で収入が減る」と誤解があったのです。
もし、「税源移譲で収入が純増する」と思っておられたら、誤解です。私は、「国にそれだけの力がない」と繰り返し言っています。「地方税財源の充実強化」も同じです。税源移譲で地方税が増え、地方財源の自由度は質的には高まります。しかし同額だけ国庫補助金が減り、合計では量的には増えません。それを増やそうとするなら、「増税」が必要です。(3月21日)
2 地方財源の削減が大きく、また突然だったので、地方団体は予算編成に苦慮している。
(答)
交付税総額は、平成15年度も7.5%減っています。16年度(6.5%減)の方が、減り方は少ないのです。それなのに悲鳴が上がるのは、臨時財政対策債の減が大きいからです。交付税総額は、この4年間減少しています。しかし、臨時財政対策債が減るのは今回が初めてで、「交付税総額と臨時財政対策債合計」が減るのは初めてなのです。
これまで地方財政計画総額が減り続けているのに、「交付税と臨財債の合計」が減らなかったのは、簡単には、「税収が減り続けたから」です。今年度は、歳出が減って、税収も減らず、財源不足額が縮小したのです。三位一体改革その参照
「交付税が減るのは予想していた。しかし、臨時財政対策債が減るとは思っていなかった」とおっしゃる首長さんが多いです。総務省も、昨年の6月の「骨太の方針」や11月の「麻生プラン」で、「交付税が減りますよ」とPRしていました。しかし、臨財債が減ることは、十分理解してもらえてなかったようです。
予算編成に苦慮しておられる地方団体のために、「地域再生事業債」を用意しました。この地方債を建設事業に充て(充当率を上げ)、一般財源を「追い出すこと」で、予算を組みやすくしようとするものです。
また、「説明不足」との批判に対しては、新年度早々、ブロック会議などに出向いて、総務省から説明をすることとしました。
3 税源移譲は、ほとんどないではないか。
(答)
今年度、国庫補助金見直しは1兆円を達成しましたが、その内訳は
①一般財源化(所得譲与税化):0.2兆円
②暫定的一般財源化(税源移譲予定交付金化):0.2兆円
③公共事業等の削減(事業量の減):0.5兆円、です。
一般財源化等は①+②で、0.4兆円です。
16年度の一般財源化等は0.6兆円ありますが、その内訳は
④所得譲与税化:0.4兆円(①と前年度交付金化したものの合計)
⑤税源移譲予定交付金化:0.2兆円、です。
この批判には、2つのものが含まれています。
その1は、「1兆円の補助金削減に対し一般財源化が0.4兆円しかない」ことです。これはそのとおりで、残りは補助金の廃止だからです。
批判の2は、「税源移譲がないではないか」です。今回の一般財源化④と⑤は一般財源ですが、確かに地方税になったものはありません。ただし、④所得譲与税は、国が徴収する地方税です。ゆえに、国の一般会計にも計上されません。地方の財源としての性格を持っています。
政府は、平成18年度までに、地方税に本格的に税源移譲することを決めています。後3年見ていてください。

三位一体改革その4

【16年度地方団体の予算編成】
「交付税が大幅に減って予算が組めない」という悲鳴が、各地で上がっています。事情は次のようだと思います。(2004年2月8日)
1 地方財政計画
(1)交付税の減
16年度の地方財政計画では、
地方交付税総額:6.5%、1.2兆円減
臨時財政対策債:29%、1.7兆円減
臨時財政対策債は交付税の振替なので(交付税が足らないので発行を許可する、自由に使える赤字地方債。後年度各団体には、その償還額を交付税配分額に上乗せ)、この合計で12%、2.9兆円の減です。
これらが、国から配分される「一般財源」(地方団体が自由に使える金)です。この他に、地方譲与税・地方特例交付金も、同様に国から配分される一般財源です。
(2)一般財源
地方団体が自由に使える財源の第一は、もちろん地方税です。しかし、多くの団体では税収だけでは足らないので、これら地方交付税などを足して予算を組みます。(東京都や豊田市などは交付税の配分を受けていませんから、交付税が減っても予算編成に影響はありません。)
当然この他に、国庫補助金や使用料など「特定財源」(使い道が決められている財源)もありますが、財政課が予算を組む際の一番の要素は、一般財源総額です。
地方財政計画では、一般財源総額は3.7%減です。これで見ると、そんなに極端な減少ではありません。
ただし、今回は補助金の一般財源化が行われ、従来なら国庫補助金(特定財源)で配分されていた金が、譲与税などに振り替えられました。その分を考慮しなければなりません。その分だけ、一般財源が増えないと困るのです。
(3)歳出
地方財政計画では、歳出総額は1.8%減です。これもそんなに大きな減少ではありません。
2 現場と地方財計画との差
では、地方財政計画ではそんなに無理な数字ではないのに、各団体は、なぜ悲鳴を上げるのでしょうか。
(1)これまでとこれから
(臨財債の減少)
交付税総額は、平成15年度も7.5%減っています。16年度(6.5%減)の方が、減り方は少ないのです。それなのに悲鳴が上がるのは、臨時財政対策債の減が大きいからです。交付税総額は、この4年間減少しています。しかし、臨時財政対策債が減るのは今回が初めてで、「交付税総額と臨時財政対策債合計」が減るのは初めてなのです。
「交付税が減るのは予想していた。しかし、臨時財政対策債が減るとは思っていなかった」とおっしゃる首長さんが多いです。総務省も、昨年の6月の「骨太の方針」や11月の「麻生プラン」で、「交付税が減りますよ」とPRしていました。しかし、臨財債が減ることは、十分理解してもらえてなかったようです
(減ることは良いこと)
現在の仕組みでは、交付税総額と臨財債総額はリンクしています。そして、地方財政全体の収入不足額に連動して増減します。地方財政計画の収支不足額が減れば、交付税も臨財債も減るのです。去年まではこの仕組みへの過渡的手段をとっていたので、交付税が減っても臨財債が増えたのです。また、15年度までは、地方税総額も減ったので、財源不足額が増えたのです。
臨財債が減ったことは、それだけ歳出が減って、(16年度は税収も減らず)、財源不足額が縮小したのです。これは喜ぶべきことです。
(これまで通りには行かない)
しかし、いくつかの団体では、「これまでも臨財債は増えたから・・」という思いこみがあったのかもしれません。また、これまでも行政改革・歳出削減を続けてきていて、「かなり雑巾は絞った、これ以上絞るのは難しい」という思いもあるようです。
将来予測は、三位一体改革その5
(2)全体と個別
地方財政計画全体では、交付税の減は6.5%減、一般財源総額では3.7%減です。びっくりするような数字ではありません。しかし、この数字は、地方団体全体の数字であって、この中には3200もの団体が含まれています。
団体によっては、収入のうち税収は1割・交付税が4割という団体もあります。そのような団体では、交付税の減が大きく影響します。
全体と個別では、事情が異なるのです。
(3)計画と実際
地方財政計画は、あくまで計画です。実際の現場=各地方団体の予算とは違います。国の予算は、決められたとおり、その範囲内で執行されます。でも、地方財政計画は、国が期待する「地方団体の財政の合計」です。はじめから、実際とは違います。近年では、総額は実際の方が1割以上大きいです。各団体が自前で財源を見出して、仕事をしているということです。
また、投資的経費の、計画と実際との乖離も指摘されています。計画では、投資的事業を期待しているのですが、実際には(いくつかの団体では)、その金額は他の経費(たぶん、独自の福祉経費など)に使われています。地財計画では投資的経費を大幅に削減したのですが、現場では他の経費に使われていて、削減は難しい。こういう事情があるようです。
3 「赤字予算」
「収入額が不足する予算案を組む団体がある」との報道がありました。真偽のほどは不明ですが。
①法律違反
まず地方自治法は、第208条第2項で「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって、これに充てなければならない」と定めています。
②政治的責任
それ以前に(法律で縛る以前に)、歳入が不足して執行できない予算案を市民や議会に提出することは、無責任ですよね。まずは、やめることができる事業をすべてやめて、自分たちの給料を無給にして、と努力をすべきでしょう。それでもだめなら、その時はそのような制度にしている国の責任もでてくるでしょう。
③国との比較
ここで、地方団体の財政制度と国との違いが、見えてきます。
地方団体の予算の「赤字」には、次のような場合が考えられます。一つは、通常の歳入では不足し、「赤字地方債」を発行する場合です。現在、地方財政は全体で収入が不足し、「臨時財政対策債」を発行しています。これは、国が発行を認めた「赤字地方債」です。でもこの場合は、「赤字予算」とはいいません。
もう一つは、各団体で(臨時財政対策債を発行しても)収支が不足する場合です(このほか、予算は赤字でなくても、決算が赤字の場合があります)。
ひるがえって、国の場合は、毎年大幅な財源不足が発生しています。それを埋めるため、大量の赤字国債を発行しています。16年度も、30兆円(82兆円のうち37%)にのぼっています。
国の場合は、自ら法律を制定して赤字債を発行しています。地方団体の場合は、法律に基づき、国の許可がないと、赤字債は(地方債そのものが)発行できないのです。地方団体に比べ、国はより甚だしい状況になっています。

三位一体改革その3

2003年12月
一般財源化と地方の自由度
三位一体改革が、進みつつあります。今回の補助金廃止削減には、いくつかのものが含まれています。それを解説しましょう。

まず、地方の仕事がなくなるものと、地方に仕事が残り補助金がなくなる代わりに、一般財源で賄うことになるものがあります。後者(一般財源化)の場合は、国に対して補助金の申請をしなくてよくなり、結果についての国による検査もなくなります。その財源は、地方税か地方交付税あるいは一般財源としての交付金となるので、国の指図無しに自由に使うことができます。

しかし、その事務の仕方が地方団体の自由になるかは、別のことです。義務教育職員給与費の国庫負担金がなくなり、地方税に振り替えられても、教職員を設置する基準を定めた法律がある限りは、地方の仕事の自由度は高まりません。
「地方団体の自由度」には、二つの軸があります。
①お金の自由度(縛り)軸
 A:国庫補助負担金で国の縛りがある
 B:一般財源で地方が自由に使える
②仕事の自由度(縛り)軸
 a:国による法令の縛りがある
 b:法令の縛りがなく、地方が自由に仕事ができる
もっとも、aからbには、いろんな段階があります。
ⅰ:事務の実施が義務付けられている(戸籍の受付)
ⅱ:やり方が決められている(道路の幅の基準)
ⅲ:仕事量も決められている、あるいは仕事量が自由にならない(義務教職員の配置)です。
ここでは、簡単にⅲをaとしておきます。

①を縦軸と②を横軸の表にして、4区分にするとわかりやすいのですが、うまくHPに書けないのですみません。
Aa(左上)の例:義務教職員、生活保護
Ab(右上)の例:道路建設(補助事業)、
Ba(左下)の例:高等学校職員、警察官
Bb(右下)の例:独自の福祉、単独の公共事業

すると、左上のAaから右下のBbに持っていくと、地方の自由度がもっとも高まるのです。義務教育費国庫負担金をなくしても、それだけでは①軸でAaからBaになるだけです。②軸の方は変化ありません。(拙著p133)(12月14日)

三位一体改革:初年度の成果
12月18日に平成16年度地方財政対策が決まり、三位一体改革の概要も決まりました。→16年度地方財政対策の概要

三位一体改革評価:始めの一歩
新聞などで、来年度予算での三位一体改革の評価が出始めています。私は、次のように考えています。

「一般財源化の金額が少ない」「税源移譲になっていない」という批判について。その批判は一部当たっています。
(1)今年度国庫補助金削減は1兆円を達成しましたが、その内訳は
①一般財源化:0.2兆円
②暫定的一般財源化:0.2兆円
③公共事業等の削減(事業量の減):0.5兆円
です。確かに本格的一般財源化は0.2兆円でしかありません。
(2)一般財源化等は0.6兆円ありますが、その内訳は
④所得譲与税化:0.4兆円(上記①と前年度に交付金化したものの合計)
⑤税源移譲予定交付金化(暫定):0.2兆円
です。これらは一般財源ですが、確かに地方税になったものはありません。さらに、地方の自由度が高まったかについては、上に書きました。

今年度は「始めの一歩」なのです。
政府の方針は「今後3年間で補助金4兆円削減、基幹税で税源移譲」です。まずは1年目の課題を果たした、と言っていいでしょう。これが3年間続き、そして地方税に本格的に税源移譲されれば、公約達成です。
「一年目が十分でない」という批判はあるでしょうが、進んだことを評価してほしいと思います。これまで永年、関係者が叫びつつも、ちっとも進まなかったことが進んだのです。
批判よりも、来年再来年を「厳しい目で監視」してください。批判だけでは何も生まれません。それよりも、今回の成果を後2年間で立派なものにするように努力すること(させること)の方が大切だと思いませんか。

今回の成果を「だめだ」といえば、喜ぶのは税源移譲反対派です。「だから、これ以上の税源移譲は止めよう」と言い出します。一月ほど前には、「税源移譲をすると、地方団体間の財政格差が拡がる」という当たり前のことを、さも大事件かのように1面で書いた新聞もありました。
マスコミの方にお願いです。皆さんは、税源移譲を推進したいのですか、それともその動きを壊したいのですか?厳しい批判でいいですから、将来の成果につながるような批判をして、応援してください。(12月20日)
【三位一体改革評価:誰が勝ったか負けたか】
今回の三位一体の経緯と成果について、「誰々が勝った、誰々が負けた」といった新聞の解説記事があります。そのような記事に、惑わされてはいけません。そのような記事が出るのは、勝った方がそれをカモフラージュするために、「私の方が負けたんです」と流す「陽動作戦」です。
今回は、「これまで続いた中央集権をお金の面で変えよう」という、政府の方針を実行したものです。それを、「勝った負けた」という次元に落とし込むこと自体が、変ですよね。もしそのような次元で見るなら、次のように見ることができるでしょう。

勝った人は総理です。負けた人がいるなら、その総理の方針に楯突こうとしたか、サボタージュをしようとした人でしょう。それは、3回の局面で出てきました。
①11月18日に総理が、諮問会議の場で「16年度予算で国庫補助金1兆円削減、税源移譲」と指示したこと。
もしそこであわてた人がいたら、?ですね。閣議で6月に「3年間で4兆円」と決めました。誰だって、それなら1年目は、その3分の1と考えますよね。
②12月10日に、「生活保護費負担金の率を削減する案」を官邸が拒否した(という報道がある)こと。
補助率削減は改革の趣旨に反すると、官邸(総理)が明確に指示されたのです。補助率削減では、地方の自由度は増えないからです。12月1日に官邸で開かれた全国知事会議で、各県知事が総理に「それは止めるべき」と意見を述べました。
③12月15日頃に、ほぼ、たばこ税でと決まりかけていた(政府税調案)税源移譲が、自民党と総理との連絡で所得税(譲与税)でと、変更になったこと。
これも、たばこ税では総理の公約に合わないことが、決め手になったと思われます。

こう見ると、「負けた負けた」という発言があること自体が、変ですよね。ということは、そのような発言をするのは、勝ったことを隠すためでしょう。あるいは、「勝った人」を作り上げて、それをたたくためでしょう。だんだん読めてきますよね。それにしても、なぜ記者は、そんな作戦に引っかかったり、そのような話のお先棒を担ぐのですかね。(12月22日)

三位一体改革その2

2003年11月~12月
2003年11月18日の諮問会議から、三位一体改革が再び動きはじめました。民間委員の発言を受けて、総理から「16年度予算で1兆円の補助金削減・縮減や税源の移譲を目指す」との強い指示がありました。
私の見方】(「新地方自治入門補足と追加」のページと重複)
私は、2003年11月9日に行われた衆議院選挙は、後世「マニフェスト選挙」と呼ばれるものになると考えています。それは、「今回、有権者がマニフェストによって投票したか」ということではありません。
私が今回の選挙を「マニフェスト選挙」というのは、今回のマニフェスト、特に与党のものが今後の政治を「縛り」、そのことが日本の政治を変えると考えているからです。
躍進はしましたが負けた民主党は、マニフェストを実行する必要はありません(できません)。しかし、勝った与党は、約束を実行しなければなりません。そして、野党は、与党の実績を追求します。
その中でも注目されるのは、「三位一体」です。これは、他のマニフェストと違い、時期と量が明示されています。しかも、「3年間で4兆円」というと、多くの人は初年度にある程度の成果を期待するでしょう。そして、このマニフェストは次回の総選挙はもちろん、来年7月に行われる参議院選挙が「中間試験」になると考えられます。それを考えれば、16年度予算ではなんらかの結論を出さなければならない、と関係者は考えると思います。
交付税改革
11月28日の経済財政諮問会議に、麻生大臣が三位一体改革の中で、「交付税改革」を発表しました。その骨子は、
①総額の削減加速
②算定方法の大幅簡素化
③地方団体の不安解消です。

このうち②は、
ⅰ県分の補正係数を半減
ⅱ県分公共事業の事業費補正(災害等を除く)を原則廃止
ⅲ市町村分の段階補正を引き続き合理化
ⅳアウトソーシングによって単位費用を引き下げ、です。
来年度から、順次実行することになります。

補助率カット
今回の補助金削減で、補助率を引き下げると回答した省があるそうです。私は、順次補助率を引き下げ、3年後に補助率0%(一般財源化)にする第一歩なら、良いと思います。でも、それが生活保護費なら、いかがでしょうか。生保は、中央政府が責任を持つ仕事の代表だと思います。なぜ、厚生省は、真っ先に生活保護を「放棄」するのでしょうか。
また、他の補助金については、「国が責任を持たなければならないので、補助金堅持」という主張もあります。それなら、なぜ補助率2分の1で堅持するのですか。それほど重要なら、10分の10国が持てばいいのです。国の責任といいながら、半分しか金を出さないから、交付税が必要になるのです。

教育の水準論
「教育の水準を確保しなければならない」という意見について。
今、父兄が教育に期待している水準は、何でしょうか?それは、先生の給料の水準でしょうか。私は違うと思います。私が、子供が通っている学校に期待する水準は、教育内容の水準です。それは、いじめがないことや学級崩壊がないこと、必要な知識や生き方を教えてくれることです。
しかも、今回の一般財源化は、教員の数を減らしたり、給与を減らすことを目的とはしていません。先生の給与の財源を、県2分の1から、2分の2にしようとしているのです。
今、教育に求められている喫緊の課題は、「教育の内容の水準の確保」でしょう。それを、「先生の給与の財源を誰が持つか(金額は変えずに)」という問題に「矮小化」しているとしたら、それは「行政と政治の罪」と後世批判されると思います。あなたは、どう思いますか?(11月28日)
朝日新聞一面
12月4日の朝日新聞第1面に、私の発言が載りました。
「破綻の聖域 地方交付税」という表題で、「『地方交付税制度は破綻状態に近く、今のままでは制度として維持できない。官僚だけでは処理できなくなっている』総務省の岡本全勝・交付税課長が地方自治体職員ら約140人を前に、制度の窮状を明らかにした。東京・新宿で11月11日に開かれた地方自治講演会。交付税の責任者が吐露した本音に、参加者は驚いた。」という書き出しです。
その補足と「訂正」です(朝日新聞のHPは有料なので、リンクは張れません)。

「交付税制度は破綻状態に近く・・」 という記述について。
正確には「交付税制度は、制度としては機能的な制度です。しかし、現在は財源が大幅に不足して、持続が難しいのです。そして、その財源は税であり、その総量を官僚は決めることができません」ということです。
新聞記事だと、「交付税制度が破綻」と読めます。担当課長としては、「もし破綻になるような制度だったら、それを改革する」のが務めです。私は、それを放置するような無責任な官僚には、なりたくありません。
記者も私の志を理解して、わざわざ私の名前を出してくださったのだと思います。でも、この文章では誤解されそうなので、この点は朝日新聞に「抗議」します。

「交付税の見直しは手つかずのままだ」という記述について。
この点は、大きな事実誤認です。例えば経済財政諮問会議「骨太の方針2001」で述べられたことを、もっともよく実行したのは交付税です。総額の削減は国の歳出削減率よりはるかに大きく、段階補正・事業費補正の削減も「忠実に」実行しました。その他の提言と、検証してみてください。この点も、抗議します。

これまでのこの種の新聞報道に比べると、今回の記事は「正確かつバランスが良い」と思います。その点では、辻記者と宮崎記者にお礼を述べたいと思います。しかし、正確を期すために、この二点を述べておきます。(12月4日)

三位一体改革について

ここからは、三位一体改革の日記です。三位一体改革までの地方財政改革(平成14年春以前)については、拙著「地方財政改革論議」をご覧ください。また、ここに書いた経緯は、「進む三位一体改革ーその評価と課題」「続・進む三位一体改革」として、論文にまとめてあります。そちらをご覧ください。
2003年5月~6月の動き
この間の三位一体改革については、次の拙文をご覧下さい。
①「三位一体改革についての座談会」神野直彦東大教授や柏木孝大阪市財政局長らとの座談会(月刊『地方財務』(ぎょうせい)2003年7・8月合併号
②「第11回地方財政学会の基調講演と概要」月刊『地方財務』(ぎょうせい)2003年9月号

1 骨太の方針2003
三位一体改革を含んだ「骨太の方針2003」が、6月27日に閣議決定されました。三位一体改革の部分は、原案通りです。別紙の「国庫補助金整理方針」は分量が減りましたが、骨格はそのままです。
期限を切った数値目標が閣議決定されたことは、大きな前進です。これから各年の予算編成で、どのように実現されるかが課題になります。
「歯止め」
今回の決定は、
①総理が指示されたこと(官僚が作った玉虫色の作文でない重み)
②経済財政諮問会議の場で、今後監視がされること(公開公式の場)
③今回の「騒動」をめぐる連日の報道で、広く国民が関心と理解を持ったこと(世論の監視)
が、今回の方針を骨抜きにしない歯止めになると期待されます。地方団体も、先送りにされないように働きかけをする必要があるでしょう。
(6月28日)

2 三位一体原案
6月18日の経済諮問会議で、三位一体改革の方向が決定しました。骨太の方針2003(案)の19ページからです。
「ポイント」
ポイントは、次のとおり。
今後3年間で、国庫補助金を4兆円廃止縮減する。
これに見合った財源を、国税から地方税に移譲する。義務的経費は10割、その他は8割。
交付税は、歳出規模を削減することで縮小。

「ベルトコンベアー論」
具体的な補助金削減や税源移譲は、これからの毎年の予算編成時の作業になります。いわば、「ベルトコンベアが決まった。それに乗せる量も決まったが、何を乗せるかはこれから」ということです。
しかし、数値目標が決まり、税源移譲がしかも基幹税でと決まったことは、画期的なことです。基幹税とは、国の場合所得税・法人税・消費税を指します。
もっとも、これから具体の補助金廃止になると、困難が予想されます。各自治体も、例年のように「××補助金確保」と要求するようでは、「なんだ、地方団体は補助金存続を要求しているじゃないか」と言われ、進まないでしょう。(6月18日)
3 分権改革推進会議の「迷走」
これに先立ち、5月中旬に分権改革推進会議の「水口私案」が表にでて、大論争を巻き起こしました。それについてのコメントです。
(1)分権改革会議の使命
地方分権推進会議の水口試案が、ようやく公表されました。会議を非公表にする進め方については、前回批判しました。次に、その内容の問題点です。
私は、「地方共同税構想」は将来の選択肢の一つと考えています。もっとも、今回の案は私の考えているものとは違います。それについては、別途批判します。

問題はそこにあるのではなく、分権会議の「使命」です。分権会議の仕事は、前身の「諸井分権委員会」が残した課題を進めることです。財政について言えば、地方の自立に向けた改革を提言することでしょう。
そのために、国庫補助金の廃止・税源移譲が必要ということは、関係者の共通認識です。それらに手を着けず、交付税だけを縮小しようとするのは、使命を忘れています。交付税を減らすためには、国による事務の義務付け廃止と税源移譲が前提条件です。

国全体が多額の借金をしており、財政再建が必要なことは、私も発言している通りです。それは忘れてはなりません。しかしそれは、経済財政諮問会議の責任、財務省財政制度審議会の場でしょう。なぜ、国が義務付けている義務教育・福祉・公共事業の水準(予算額)を削減しないのでしょうか。それを(国が)削減しないで、交付税(地方)を削減しようとするから、理論的に成り立たないのです。また、「責任放棄」と取られても仕方ありません。(5月25日)

(2)水口私案の問題
地方分権改革会議で、地方財政改革の報告書案が議論されているようです。新聞でも報道されています。批判的記事が多いようです。「どこが三位一体」「税源移譲先送り」と書いたものもありました。私は次のように考えています。
「秘密主義」
まず、審議の進め方です。この会議は秘密会で進められています。記者は入れず、会議後記者会見もなされていません。
審議会は原則公開と、閣議決定されています。非公開にする場合はその理由を示す必要があります(平成11年4月27日「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」)。
国と地方のこれからの関係を議論する会議が、なぜ非公開なのでしょう。国家利益やプライバシーがある場合は分かりますが、今回の会議では、何が隠さなければならない「秘密」でしょうか?隠す相手は誰でしょうか?

「国家財政優先」
もう一つは、当然その中身です。秘密になっているので、詳細は分かりませんが、新聞報道を読む限りでは、次の問題があります。
交付税の改革は述べられているようですが、歳出について触れられていないようです。私がいつも述べているように、交付税は独立変数ではなく、法令で決まった事務の「従属変数」なのです。義務教育を義務付けておいて、国庫負担金は半分しか出さない。だから、交付税で財源保障をしているのです。それを無視して、「交付税による財源保障は廃止する」といった議論をしても、無茶な話です。
そもそも、分権会議なのに、いつの間にか「国家財政再建のための地方歳出削減会議」に転化しているように見受けられます。(5月15日)