カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

コーチング、職員の能力とやる気を引き出す

3月10日の日経新聞夕刊「Bizワザ」は「若手も学ぼう「コーチング」対話重ね、能力引き出す」でした。
・・・まもなく4月。新入社員の能力とやる気を引き出すには、若手でも「コーチング」を学ぶのが有効だ。相手の自発的な行動を促すコミュニケーション術は、自身の成長にも応用できる・・・
・・・コーチングとは相手の能力ややる気を引き出し、課題解決などにつなげるためのコミュニケーションスキルだ。相手との対話のなかで、効果的な質問をしたり助言をしたりすることで、目標達成のために必要な行動を促す。指導者に恵まれたスポーツ選手が、成績を大きく伸ばすことからヒントを得たとされる・・・

5つのステップが、別図で示されています。
1 相手を認める
2 話を聞く
3 質問する
4 相手に見えていない部分を指摘する
5 行動を促す

拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』では、ティーチとコーチの違いをお教えしました。p89

・・・もう一つは、旧来型の職場内訓練(OJT)の限界だ。若手社員を短期間で成長させるには、先輩の背中を見せるだけでは不十分。指導側の意向を一方的に押しつけたり、できないことを責めたりすると、モチベーションの低下を引き起こしかねない。対話を重ねてやる気を高めることが、人材育成の現場で求められるようになった。
「何かを教え込むという姿勢はコーチングではない。話をよく聞いて質問することで、相手の能力を引き出すことが重要だ」・・・

・・・親近感を高める際に有効なのは「おうむ返し」のスキルだ。後輩社員から「最近あまり眠れていなくて」と相談されたら、「そうか、眠れていなかったんだね」と同じ言葉を繰り返すことで、安心感を抱いてもらえるという。
その上でコーチ役が質問を投げかけ、後輩社員の頭の中を整理して考えを具体化していく。さらに当事者以外の視点をフィードバックすれば、新たな気づきにつなげられる。「ここまでで信頼感を構築できていれば、ネガティブな意見も受け入れてもらいやすくなる」(大石氏)
最後は「それでは今週末までに企画書を仕上げてください」などと、具体的な行動をリクエストする。対話のなかで後輩社員の考えも十分に引き出した上での結論であれば、単なる命令とは受け取られずに相手の背中を押せる・・・

「取りやめさせていただきます」

インフルエンザ対策で、いくつも催し物が中止になっています。先日、私にも、登壇を予定していた討論会を中止するとの連絡が来ました。
今日の話題は、その通知文です。「××の開催を取りやめとさせていただくことにしましたので、ご連絡致します」とあります。

主催者が責任を持って判断したのですから、「開催を取りやめとさせていただくことにしました」は、ないでしょう。なぜ簡潔に「××の開催を取りやめます」と言わないのでしょうか。「××の開催を中止致します」もよいでしょう。
「させていただきます」が、丁寧な表現だと思っているのでしょうか。丁寧に言うなら「××の開催を取りやめることと致しましたので、その旨ご連絡いたします」で、よいでしょう。

文化庁文化審議会答申の「敬語の指針」によると、次の通り(p40。一部省略)。
【解説1 】「( お・ご)……(さ)せて いただく」といった敬語の形式は,基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。したがって,ア ),イ)の条件を どの程度満たすかによって ,「発表させていた だく」など , 「…(さ)せていただく」を用いた表現には,適切な場合と,余り適切だとは言えない場合とがある。

【解説2】次の①~⑤の例では,適切だと感じられる程度(許容度)が異なる。
①相手が所有している本をコピーするため,許可を求めるときの表現
「コピーを取らせていただけますか。」
②研究発表会などにおける冒頭の表現
「それでは,発表させていただきます 。」
③店の休業を張り紙などで告知するときの表現
「本日,休業させていただきます。」
上記の例①の場合は,ア ) ,イ)の条件を満たしていると考えられるため,基本的な用法に合致していると判断できる 。
②の例も同様だが  , ア ) の条件がない場合には,やや冗長な言い方になるため ,「発表いたします 」の方が簡潔に感じられるようである。
③の例は,条件を満たしていると判断すれば適切だが,②と同様に,ア)の条件がない場合には「休業いたします 」の方が良いと言えるだろう。

参考「させていただく症候群
あなたは、変な日本語を使っていませんよね。

午後5時半からの会議

先日のことです。午後6時から、マスコミの方と意見交換会を予定していました。2人のうち、予定時刻には一人(記者A)だけ現れ、もう一人(記者B)は少し遅れるとのこと。

私:何か急な事件が起きたの?
A:ある役所の説明会が、5時半から入ったので。部下であるBを出席させて、私はこちらに来ました。
私:そんな緊急な案件なの?
A:いえ、3日後の公式会議の事前説明です。
私:あんた、それに対して、文句言わなかったの。5時過ぎからの会議なんて、働き方改革違反やで。
A:そうですね。私たちは、遅くまで仕事をするのに慣れてますから。
私:それは、だめだわ。記者Bさんが、子育て中だったらどうするの。誰か代わりに、保育園に迎えに行く必要があるで。緊急な案件なら仕方ないけど、その案件なら、明日の朝にしてもらったらよかったのに。

働き方改革、意識改革の道遠し。

人を傷つける天才

日経新聞私の履歴書、今月は、鈴木茂晴・大和証券会長です。株の営業一筋から、突然、社長秘書に移動します。そこで、いろんなことを勉強されます。
16日の文章から。

・・・部下の説教でも、ちょっとした配慮があれば全然違う。私が知る支店長の中に、人の心を傷つけるボキャブラリーが天才的に豊富な人がいた。この人に怒られると、自分の存在価値がゼロのような気分になり、働く気がうせた。
一方で、ミスをしたとき「君のような優秀なやつが、どうして……」などと言われると、素直に反省し、挽回するぞと思ったものだ。

部下からみて、仕えたい上司とはどんな人か。私が思う優れた上司とは、ずばり決断できる人だ。どんなに厳しい人でも決断してくれる上司はいい上司だ。一方でやさしく人柄もいいのだが、決めてくれない上司には仕えたくない・・・

生活のリズム

今月も、もう23日です。いつの間にか、22日も過ぎてしまいました。「今月は何をしたのか」と悩んでしまいます。毎日いろいろと忙しいのですが、振りかえると、これと言ったこともしていないのに。時間だけは、過ぎていきます。そして、もう1週間で、今年も終わります。さて、今年は何をしたか。

かつて、休日もなく忙しかったときに、「リズムに欠ける、節目の少ない仕事の仕方をしているから、時間が経つことを忘れる」といった趣旨のことを書きました。
最近は、その頃に比べれば、それほど忙しくはありません。毎週、福島と東京を行き来し、その中で毎日リズムのある生活をしているのに、時間が早く経ってしまいます。

そのときも書きましたが、1週間、1か月という単位で、「何をしたか」を振りかえらないと、充実した時間を感じることはできないのでしょう。
学生時代は簡単でした。勉強が進むことが、自分でも分かりましたから。公務員になると、期首と期末の自己申告と上司との面接で、その期間に何をしたかが明らかになります。

管理職にも自己申告はあるのですが、何をするか何をしたかは、より自分で考える必要があります。「何をしたか」を評価するには、事前に「何をするか」を決めておく必要があります。
そして、事前に書き出した来週の予定、今月の予定、今年の課題を達成して、「よっしゃー」というかけ声とともに、書いてある項目を赤鉛筆で消していくのです。『明るい公務員講座』p40以下、『明るい公務員講座 仕事の達人編』p20

充実した生活を送るには、リズムとともに、節目節目の成果とその確認が必要ですね。