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非常時と法治主義

東京大学法学部の森田朗先生が、今回の震災対策に関して、「法治主義と非常時体制」を書いておられます。参考になります。ご一読下さい。
私は、「明るい係長講座」などに、次のようなことを書いています。
「決められたことをするのが、普通の公務員、部下の務め。決められたことが実情にあわず、おかしいと思ったら変えるのが、良い公務員、上司の務め」と。
今回の大災害では、現場から「実情にあわないから、ルールを変えてほしい」という悲鳴や要望が上がってきます。それにどこまで応えるかが、私たちの支援本部の、大きな仕事の一つです。そして私たちは、東京で決まりを変えるのですから、各現場での個別の弾力運用でなく、関係自治体に共通して、決まりを変える必要があります。
例えば、本来県が行う緊急物資の調達と配送を国が代わって行うこと、大量の被災家屋を簡易な被災証明ですますこと、民有地の廃棄物を自治体が処理すること、壊れた自動車を持ち主の了解を待たず一定期間後に処理すること、民間賃貸住宅を借り上げた場合の公費負担・・。今回適用した特例や変更したルールは、かなりの数になるでしょう。
また、時間との闘いでもあります。現場では、一刻も早く物資を送って欲しい、人が足りない、ルールを変更して欲しい。しかし、私たちも、たくさんの課題を抱えています。どの課題から片付けるか。逆に言うと、どの課題を先送りするかです。
森田先生は、別の日のブログで、「安全と危機管理」についても書いておられます。私も、今回の経験からいろんなことを考えました。一段落したら、学んだことを整理したいと、考えています。

避難所の環境改善

東北3県の避難所実態把握の、第3回結果がまとまりました。徐々に、改善しています。また、「被害の大きかった地域・A地域」と「そのほかの地域・B地域」に分けた分析では、B地域では、厳しい状況にある避難所はなくなりました。関係者のご努力に、感謝します。まだ厳しい状況にある避難所を改善することが、次の課題です。

自衛隊の活躍

今回の大震災で、自衛隊が大活躍しています。被災者支援では、緊急物資の輸送でも、大きな役割を果たしてもらっています。徐々に、自治体が手配し、民間業者が運ぶように、移行しています。しかしまだ、末端の避難所への配送を、担ってもらっています。
現時点での、自衛隊の活動ぶりを、簡単な絵にしてもらいました。この絵の中で、二種類あるトラックのうち、後輪が二つあるのが、自衛隊のトラックです。
また、避難所での荷下ろしも、避難所の人やボランティアの方が行ってくれています。その際に、避難所におられる失業した方を、市町村が雇って働いてもらう仕組みもあります。

日本がくしゃみをすると

4月30日の日経新聞「世界景気、回復は続くか」に、次のような記述がありました。
・・みずほ証券リサーチ&コンサルティングの試算によれば、日本の名目経済成長率が1.5ポイント低下した場合、東南アジア諸国連合(ASEAN)の成長率を0.43ポイント押し下げる・・
かつて日本の経済がアメリカに依存していた頃、「アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪を引く」といった表現がありました。確かに、日本経済の規模が大きくなり、海外との交易が多くなると、日本経済が世界経済に及ぼす影響も大きいのですね。
今回の大震災で、日本の部品メーカーが生産を中断することで、日本国内だけでなくアジアやアメリカの会社や工場が、部品が調達できず、減産に追い込まれた例も多かったとのことです。