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被災地での孤立死防止

6月12日に仙台市で、孤立死防止の会議を開きました。そこでの議論を元に、「被災地へのメッセージ」と「資料集」をつくりました。被災地での孤立死は阪神淡路大震災の時に、大きな問題になりました。今回の被災地はさらに高齢化や高齢単身世帯の進んだところが多いです。地域の皆さんが、ともにつながりを持ち続けることが、一番の特効薬です。
取りまとめにご苦労を頂いた橋本参事官、吉田補佐、ありがとうございました。

異動・復興本部事務局次長になりました

6月27日に、東日本大震災復興対策本部事務局次長に就任しました。被災者支援チームの次長も、兼務したままです。気持ちを引き締めて、被災地の復興のために、引き続き頑張ります。
これまで3か月間、被災者支援の仕事をし、現地にも何度も入っていますので、今度の仕事もこれまでの仕事の延長にあります。松本龍大臣、平野達男副大臣も一緒ですし、上田健審議官も次長として一緒に移ります。既に50人を超える職員が発令されています。各省から集まった優秀な職員と一緒に、これまで同様に素早い仕事、被災地の立場に立った仕事を心がけます。
場所は、首相官邸の前の坂を下った、アメリカ大使館の前の民間ビルです。適当な庁舎がなかったので。
28日には、第1回の復興本部会合が開かれ、私たちは構想会議の「提言」を具体化する作業に入っています。

新しい組織の立ち上げ、直ちにトップスピードの仕事に入るために、この数日、またもやとんでもなく忙しい生活を送っています。職場では、次々としなければならないことが出てきますし、布団の中でも、こうした方が良いなというアイデアが出てきます。すると、睡眠時間が削られて。新しい仕事を立ち上げる、各省から職員が集まった組織で仕事をするというのは、なかなかないことです。
前例のない仕事の難しさです。下からの積み上げだけでは仕事は進まず、どうしても全体を考えたトップダウンが必要となります。もちろん私はアイデアを考え、漏れ落ちがないかを探し、指示を出すまでで、実際に内容を考え実行してくれるのは職員です。官僚制の特色の一つが、前例通り、決められたとおりに仕事をする、です。しかし、ここではそんな「常識」は通じません。
たくさんの方から、「はまり役ですね」といった激励の言葉(?)をいただきます。う~ん???でも、ありがたいことです。

ボールペン

職場では、万年筆とサインペンを使っています。外出時は、かつては2色ボールペンを使っていました(2006年11月13日の記事)。半年ほど前から、ボールペンを変えました。伊東屋で「2色ボールペンで、人前で品が良くて、書きやすいのはどれですか」と質問したら、直ちに「三菱鉛筆のジェットストリームが書きやすいです。よく売れています」と答が返ってきました。「そのピュアモルトが、品がよいです」とのこと。
確かに外見も良く、なんと言っても書き味がよいです。かすれもなく、すいすい書けます。一つ買いましたが、この難点は、2色のほかにシャープペンがついていることと、胴体が太めなことです。私はシャープペンは使わないので。よって、これは職員にプレゼントしました。
今は、3色ボールペンを胸の内ポケットに挿しています。これも胴体はやや太めで、見栄えはいまいちなのですが、それは辛抱しています。2色で良いのですが、職員の資料に手を入れる時に、たくさん加筆することがしばしばあります。加筆したものにさらに加筆する際に、赤と青の両方を使っています。
もう一つの難点は、書きやすくて、ペン先がすべってしまうのです。それくらいなめらかです。

現地職員の休息

この仕事に就いて、いろんなことを勉強しました。その一つに、R&R(Rest and Recreation)があります。これは、被災地や紛争地で支援活動を行う際に、職員が一定期間の活動した後、少し離れた土地で休息や気分転換をする制度です。NGOや国連などで、採用されています。もとは、アメリカ軍が始めた制度だそうです。
被災地などでは生活環境が悪い上に、休息が取れません。休日というのが無く、休みを取ってもゆっくりできませんよね。そこで、近くで安全な場所に強制的に引き上げさせ、休息を取らせるのだそうです。そうしないと、職員の疲労がたまり、活動水準が落ちるのです。
海外の例では、スーダンでの紛争地で活動する場合は、ケニアのナイロビに引き上げさせる。アフガニスタンでの活動の場合は、タイのバンコクに引き上げさせる例を教えてもらいました。8週間、現地で活動すると、8日間の休暇をとらせます。そのために、交通費や宿泊費を出すのだそうです。

NGOの人たちと意見交換をした時に、教えてもらいました。それは、被災市町村の役場職員の健康を、気遣ってのことです。職員は、住民のために休みを取らず仕事をしています。聞くと、休みを取ると、住民から批判される場合もあるのだそうです。そして、職員も多くは被災しています。自宅が流された場合は、役場に泊まり込んでいます。最初の頃は着替えもなく、風呂も入れず、大変な環境でした。
その状況を、NGOの方が心配してくださったのです。「県庁や東京に呼び出して、3~5日の休暇を与えられないか」という提案もありました。現地説明会では、私も提言したのですが、実現しなかったでしょうね。日本人はきまじめですから。でも、長い目で見ると、この制度は合理的ですよね。精神主義だけでは、長続きしません。

政党の役割

朝日新聞6月25日朝刊オピニオン欄は、佐々木毅先生と宇野重規先生の「地に落ちた政治、求心力を取り戻せるか」でした。
佐々木:選挙とか支持率とか、目先のことを優先して政治権力をつくってきた。その結果、政権、権力が摩滅するプロセスが4、5年続いていますね。「権威」はかなり前になくなっているが、「権力」もすぐに不安定化、弱体化することが繰り返されている。与党であれ野党であれ、選挙以外ほとんど何もしない政党の限界だと思います。
・・・制度改革の中で「政党」はブラックボックスでした。楽観していたわけではないが、立ち入らないでいました。でも、ここまでくると、外部がどこまでかかわるのか議論はあるが、政党にお任せだとおかしくなってしまいかねない・・
宇野:民主党はまさに政治改革の結果、生まれた政党といえますが、いかなる価値や理念を目指す政党なのか、いまだに分からない。右から左までまとまりがなく、自民党がもう一つできたようなものだという人もいます。
佐々木:「自民党に代わる政権政党」が民主党のアイデンティティーでした。政権につかなければ、党内秩序のうえでも党を成熟させるうえでもそれで十分だった。しかし、政権を取っちゃった以上、それでは不十分です・・
宇野:民主党は政策を煮詰める前に政権につき、迷走した。社会保障はその象徴ですね。

宇野:グローバル化が進むなかで、雇用が流動化し社会不安定化している。それにどう向き合うかというときに、日本政治はリアリティーを欠いたまま迷走している、と。
佐々木:最近の政治家はすぐに処方箋の話をするけど、その前に診断がない。「こうだから、こうしたらこうなる」と詰めて議論する習慣が失われ、「こうすればいい」とだけいうのが目に余る。これはやぶ医者です。丸山真男さんは「現実は可能性の束」と言ったが、どういう可能性がどこまであるかを追求するというのは、ぎりぎり頭を使う作業です。そうした現実にしつこくこだわり、それを変えていくという政治的習俗が弱体化している。ちょっと気が利いたことを言って終わりという、根無し草的な政治になっています・・
詳しくは、原文をお読み下さい。