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県外の避難所の解消見込み

復興本部の急ぎの課題の一つが、避難所の解消です。条件が悪い学校や体育館から、住宅に移ってもらうことです。各自治体の協力を得て、その見込みを調べました。
かなり解消できたのですが、まだ3県の外では、6県に14の避難所があり、約千人の避難者を引き受けてもらっています。それぞれ、解消の計画を立ててもらっています。ありがとうございます。見込みが立っていない約800人の方は、原発事故で避難しておられる方です。これは、避難解除の見込みが分かれば、対策が立てられます。申し訳ありませんが、しばらくお待ちください。
次々と課題を見つけ、対策を打ってくれる部下職員に、感謝します。ありがとう、諸戸班。

県外避難している人たち

今日は、復興大臣のお供をして、新潟県長岡市に行ってきました。一つは、福島県から避難しておられる方に、お話しを聞くことです。このホームページでも取り上げているように、たくさんの方が、町を離れて各地に避難しておられます。県内ならまだ近くで、情報も得やすいのですが、県外では風土も違いまた情報も十分伝わりません。今日はそれらのご苦労を、お聞きしました。
避難しておられる方の一番の関心は、いつ帰ることができるか、放射能の除染はどのようにするのかでした。小さなお子さんを連れたお母さんが、たくさんおられました。子どもさんへの影響を心配しておられるので、お父さんだけが帰ったご家庭もあります。
もう一つは、中越地震の後、集団移転した地区を視察することです。報道で有名になった山古志村です。現在は合併して、長岡市になっています。地滑りの跡やせき止め湖が、まだ生々しく残っています。市が造った公営住宅は、木造で住みやすそうでした。積雪が4メートルになる豪雪地帯なので、いろんな工夫がしてあります。

私たちが陥ってはならないこと、その2

9月3日に、「私たちが陥ってはならないこと」を書きました。その続きです。公務員が一生懸命に働いている。なのに、世間では評価されない。私が考えているズレの「その2」は、次のようなことです。
公務員がそれぞれの持ち場で、精一杯仕事をしています。たとえば予算を増やし、制度を拡充しています。残業もして、急いでがんばっています。しかし、公務員は既存の制度、自分が所管する制度を使って対応しようとします。当然のことです。決められたことを実行するのが、公務員です。ところが、これまでにない規模と性質の災害の場合、これまでの制度では対応できないことがあります。

小学校の建物が、津波で壊れました。その場所で再建するのは危険なので、移転して再建することになります。ところが、新しい土地の取得費は、復旧助成の対象ではありません。地震や火災の場合は、その場所での再建が通常なので、移転して再建することを想定していないのです。また、壊れた校舎を取り壊す必要があります。元の場所での再建ならば、取り壊し費用も復旧費の対象になりました。しかし、別の場所での再建なら、元の校舎の取り壊し費用は復旧費の対象になりません。これも、そのようなことを、想定していなかったのです。この問題を解決するとしても、学校再建として文科省の助成するのか、がれきの片付けとして環境省が担当するのか、市町村財政の観点から総務省が所管するのか。なかなかやっかいな問題です。これらは、今回解決しました。

また、以前にも書きましたが、避難所特に避難所の環境改善については、国にも県にも担当者がいませんでした。水、食料、電気といった個別事案であれば、それぞれの担当がいます。しかし、全体を受け付け、考える担当者がいなかったのです。これも、今回作りました。最近お願いしたのは、避難者を受け入れた県市役所での、担当者を決めてもらうことです。他県からたくさんの避難者が来て滞在が長くなることを、これまで想定していませんでしたから。
これらは、行政の中での問題です。これまでの制度では対応できない課題や、所管のない新しい課題に、どのように対応するかです。

さらに、行政の範囲を超える課題もあります。仮設住宅などに閉じこもりがちな住民を、どのようにして、近所や地域社会とつながりを持ってもらうか。個人の家の中に、行政が立ち入ることは、抑制されるべきです。しかし、手をこまねいていては、孤独な人が増え、孤独死も出ます。どの省が、あるいは市役所のどの部局が、どのように働きかけるか。「適切に対処されたい」といった通達を出すことで、こと足れりとするか。
行政だけでは対応できない、でも民間の力を借りることができる場合もあります。現在は、ボランティアの方に、声かけをしてもらう。その際に配るチラシは、行政が用意することとしています。
また、雇用を増やすことは、行政が頑張っても限界があります。企業が再開してくれることで、雇用の場が生まれます。その事業再開を後押しすることは、行政にもできることがあります。

それぞれの公務員が、自分が所管の制度で、そして行政の理論だけで対応すると、現場では漏れ落ちが出たり、矮小化されて十分な対応ができないことがあります。課題の全体を見渡し、各組織の対応で漏れ落ちがないか、目配りをすること。もし漏れ落ちがあれば、新しい担当者を決めること。さらに、行政の世界に閉じこもらず、お手伝いいただけるのなら、民間の力をお願いする。これが重要です。全体を、誰が見渡すか。私が気をつけなければならないことは、それです。
もちろん、すべての要望にお応えすることはできないでしょうが。なぜできないかを、説明しなければなりません。

反省と注意その2
「そのような制度がないので」とか「担当ではないので」では、納得してもらえない。自分の担当だけに閉じこもらず、行政の役割全体を見渡すこと。そして、行政の世界に閉じこもらず、民間の力を活用できないか考えること。さらに、組織として、それを見渡すこと。
「役所としては精一杯やっています」ではなく、被災者から「よくやってもらっています」「わかりました」と言ってもらえるように、しなければなりません。

仕事の仕方、瀬島龍三さんの教え

日経新聞「私の履歴書」9月は、元伊藤忠商事会長の室伏稔さんです。9月17日と18日に、瀬島龍三さんの思い出を、書いておられます。
・・重要な部署ほど少数精鋭が、瀬島さんの考えだった・・
・・総合商社にとって強さと弊害の両面性を持つ「部門縦割り」に、部門横断的な総合調整機能という「横ぐし」を通すことの重要性を、瀬島さんは耳が痛くなるほど強調された・・
・・戦略は戦術をカバーするが、戦術は戦略をカバーできない・・
・・日常業務で指導されたのは、①報告書は必ず1枚にまとめる、②結論を先に示す、③要点は3点にまとめる―の3点だ。3枚以上の報告書は絶対に受け取らず、突き返していた。また、「どんな複雑なことでも要点は3つにまとめられる」が口癖で、我々に物事の本質を見極め、整理する習慣を身につけさせた・・

被災地の元気を応援・政府広報

政府広報が、被災地で、元気が出る放送を始めています。復興に向けた住民の活動を、紹介する番組です。東北3県のテレビとラジオで、放送しています。インターネットでも、見ることができます。3分程度の短時間のものですので、どれか気になる番組をご覧ください。「ひろげたい。明日に笑顔を。未来に希望を。」です。
政府広報では、これまでも、避難所への壁新聞、避難者向けの「生活ハンドブック」「チラシ」などを、配ってきました。新しく「ニュースレター」も始めました。避難者の状況変化に従って、広報の内容と方法も、変えています。政府広報が、ここまできめ細かく行ったのは、今回が初めてでしょう。もちろん県や市町村も、広報に力を入れています。
被災地では、テレビや新聞も、関連情報を伝えてくれています。課題は、3県から外に出た方々への、広報です。