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復興交付金の決定

今日3月2日に、第1回の復興交付金の交付可能額を発表しました。「可能額」というのは、この後、市町村から申請が出てくるということです。なお、誤解があるようですが、これは復興事業の補助金です。復旧事業についてはこれとは別に、これよりも先に何兆円もの事業が行われています。
また、復興特区の追加認定(青森宮城)も発表しました。

政治と経済

AIJ投資顧問が預かっていた、2,000億円もの年金資産の大半が消失していたことが、大きなニュースになっています。3月2日の日経新聞が、アメリカでも同様な事件が起きていることと、投資家を保護するための動きを伝えています。
一つは官による規制の強化です。米商品先物取引委員会が、先物業者が顧客資金で海外の国債に投資することを規制する方針を決定しました。また、議会では銀行預金を一定額保護する「預金保険」に似た制度の創設を検討しているとのことです。
もう一つが民間主導の動きです。シカゴ・マーカンタイル取引所グループが約5億5000万ドルの資金を破産管財人に拠出し、同様の事件の被害に備え1億ドル規模の基金設立を決めました。
また、証券取引委員会は、2003年に投資信託会社の情報開示強化などを進め、今回は不正の内部告発に多額の報奨金を支払う制度の導入を決めました。
不正な行為が起きないように予防策を打つこと、また起きた場合には取り締まること、被害が生じたときの救済策を準備しておくことが、対策でしょう。それを、民間の同業者で行うか、政府が行うか。政治と経済の関係を分析する良い事例です。

市町村長の震災対応への評価

産経新聞が、被災140市町村長(対象167市町村長のうち回答のあったもの)のアンケート結果を載せていました。
震災後の政府対応に関する質問では、「評価できない」が68人、「どちらともいえない」が65人。「評価できる」は、5人です。評価できない理由としては、「スピード感がない」が目立ち、「どちらともいえない」と回答した首長は、復興交付金制度や復興庁の創設を評価する一方、原発事故対応のまずさを問題視する意見が多かったとのことです。
復旧復興状況に関する質問では、81人が「予想以下」と回答。「予想通り」が52人で、「予想以上」としたのは1人だけです。「予想以下」の理由では、福島県内の首長を中心に28人が除染や風評被害の回復が困難なことなど、福島第1原子力発電所事故の影響を挙げています。
復興計画策定で国、県との連携はうまくいっているかという質問には、「思う」が55人、「思わない」が61人、「わからない・無回答」が24人でした。
全体として厳しい指摘をいただいていますが、何人かの首長さんには評価もしてもらっています。何が良くて何が悪いのか、反省しながら仕事を進めます。

産業の復興と雇用の回復

3月1日付け読売新聞は、1面で復興についての連載を始め、また「被災企業と雇用」について特集を組んでいました。
3県で被災した商工業者は2万7,149業者で、うち22%、5,947業者が事業を再開できていません。1,754業者が廃業を決めています。
街の復旧、インフラの復旧が進んでいないこともありますが、新たな借金を抱えて事業を再開することが困難な上に、人口減少が続く高齢過疎の町が多く、将来の見通しが難しいことも大きな理由です。
求職者数と求人数のズレも,大きな課題です。がれき処理など,短期で臨時の雇用が多く、安定した仕事が少ないのです。
自治体などが被災者を雇用する「雇用創出基金事業」は、これまで約3万人を雇いました。もっともこれは、短期の雇用です。

空き屋対策

「日経グローカル」1月23日号が、空き屋対策を特集していました。
総務省の調査では、人の住んでいない空き屋は、全国で757万戸、住宅全体に占める割合は13%だそうです。かつて土地と家屋は、第一の財産でした。しかし、地方では過疎化が進み、都会でも相続人がいなくて、空き屋が増えています。
今年の冬は積雪が多く、雪下ろしをしないと、積もった雪の重みで家が倒壊することも起きています。防犯や防火の観点からも、危険です。もちろん、景観も損ねます。
各地の自治体が、知恵を出して対策を講じています。土地を寄付してもらう代わりに、自治体が古家を取り壊すとか。時代が変わると、地域の課題も変化するという例の一つです。