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市町村長の復旧評価

3月8日の読売新聞は、被災42市町村長へのアンケート結果を載せていました。
復旧・復興が「ある程度進んでいる」は、岩手、宮城両県では9割ですが、福島県では3割です。原発周辺市町村ではまだ警戒区域が解除されていないので、復旧に入れないのです。
特に遅れているものは、集団移転・街づくりです。これは政府の認識と同じです。
住民の生活再建のめどについては、半数近い市町村が、「まったく立っていない」「ほとんど立っていない」でした。これも、原発周辺市町村が多いです。
批判を受けている復興交付金については、「評価できる」が23人、「評価できない」が18人です。復興特区制度は、「評価できる」が36市町村でした。

企業活動が復旧の要、復興庁による橋渡し

昨日8日、ある企業に呼ばれて、お話しに行ってきました。12月に経団連で行った私の講演を聴かれて、ぜひその会社の幹部に話してほしいとの依頼でした。喜んで行ってきました。
このホームページでもしばしば書いているように、①インフラが復旧しただけでは、街は復旧しません。②公私のサービスが再開されないと、暮らしは不便で、賑わいも戻りません。そして、③働く場が再開されないと、暮らしていけないのです。②と③は、企業や個人の事業が、再開される必要があります。
また、社会で各種のサービスを提供する主体には、官(行政)、共(ボランティア、NPO)、私(企業)があります。街の賑わいを取り戻すためには、そして行政では行き届かない分野では、企業やNPOの役割は大きいのです。
企業には、社会的責任として「無料奉仕」をしていただくこともありがたいのですが、事業を再開して儲けていただくことで、地域に貢献してもらえるのです。どんどんサービスを提供し、職員を雇ってください。無料奉仕は企業の本業でなく、また限界があります。本業を広げることで、企業は儲かり、地域は復興する。これは、お互いに嬉しい話ですよね。
復興現場には、たくさんのビジネスチャンスがあります。欠けているのは、情報のつなぎ(どこにどのようなニーズがあるのか)と、リスクを取る覚悟です。

私一人では議論が抽象的になるので、企業連携担当の参事官と、NPOと企業の連携担当の職員の3人でおじゃまして、お話ししてきました。彼らは、具体例を引いてわかりやすい説明をしてくれました。このような担当職員もおいています(組織図の住民支援グループの「ボランティア・公益的民間連携班」と、産業振興グループの「企業連携班」です)。
私は、これからの復興には、企業とNPOの役割が大きく、復興庁はその橋渡しをすべきだと考えています。まだ、復興庁の取組も始まったばかりですが、これから実例を蓄積して、企業や地元のお役に立とうと考えています。「新しい行政の役割」の実験です。NPOや企業からのお問い合わせや、情報提供をお待ちしています。

大震災対応の反省

中央防災会議の防災対策推進検討会議が、中間報告をまとめました。東日本大震災における政府の対応を検証し、教訓の総括を行うとともに、首都直下地震や東海・東南海・南海地震等の大規模災害に備えるためのものです。
第2章2で、「応急対応はうまく機能したのか」や「生活再建や復旧復興はスムーズに進んでいるのか」が整理されています。ぜひ今回の経験を、次回に活かしてもらいたいものです。できれば、活かすような機会(大災害)は、ない方がよいのですが。

福島特別法が衆議院を通過

今日、衆議院復興特別委員会で、福島復興再生特別措置法案が、修正の上、可決されました。引き続き、衆議院本会議で可決されました。全会一致です。24年度予算案と同時に通過しました。これは極めて速いスピードです。
ところで、昨日と一昨日の晩に、答弁資料案作成のために、職員とやりとりしたメールは、200通を超えていました。便利になったものです。メールがなければ、電話かファックスでやりとりしなければ、なりませんでしたから。

鎌田先生の新著

京都大学の鎌田浩毅先生が、またまた本を出されました。『地震と火山の日本を生き延びる知恵』(2012年、メディアファクトリー)です。
今回は、各章のはじめに、室井滋さんとの質疑が付いています。「普通の人代表」の室井さんが、地球科学者の先生に質問をする、突っ込みを入れるという仕掛けです。
先生によると、今回の本は、「生きのびる」がポイントで、「生きのびる」には今までと違う 「知恵」が必要というメッセージだそうです。