岡本全勝 のすべての投稿

復興の現状と取り組み

定例の「復興の現状と取組」を、更新しました。今回新しくなったのは、次のようなページです。
p11、「災害廃棄物の処理工程表」を載せました。平成25年3月と26年3月の目標に向けて、どの程度進んでいるかを、グラフで示しました。
p12、廃棄物だけでなく、津波堆積物を含めた処理状況を載せました。
p13、14、木くず、不燃混合物、コンクリート・金属などが、どの程度再生利用され、県外で広域処理されるか、わかりやすい図を載せました。
ご利用ください。

8月15日

今日は、終戦記念日、お盆でした。職場で、「12時に黙祷をするように」と再確認したら、結構な数の職員が出勤していました。夏休みも取ってくださいね。
一昨日、私の部屋に相談に来た某参事官曰く、「お盆明けに大臣に報告したいので、資料を見てください。ところで、岡本統括官は、休みを取らないのですか」。
私の返事は「あんたが、このように相談に来るから、休めへんのやないか」。M参事官は、笑ったままでした・・。
今日は、大臣が午後から出勤。その件を含めて、早速説明。さらに夕方、帰ろう(出撃しよう)と用意を始めたら、大臣が私の部屋に「攻撃」に来られて・・。結局、たまった資料の整理は、半分も進まず。去年は休みがなかったので、それに比べれば・・。
夜は、この日しか空いていないという民間の方と、「意見交換会」。これでは、普段と何も変わりませんね

東日本大震災に対する特別交付税の対応

月刊『地方財務』2012年8月号(ぎょうせい)に、黒田武一郎・総務省財政課長(現・審議官)が、「特別交付税の機能についての考察―東日本大震災に係る対応を中心として―」を書いておられます。55ページにわたる大論文です。
地方交付税の解説というと、多くは普通交付税について書かれています。この論文では、とかく忘れられがちな特別交付税の機能について書かれたものです。
さらに、今回の東日本大震災に際しては、これまでにない対応を、いくつもしてもらいました。通常なら基礎数値の報告を待ってから算定するものを、それを待たずに行ったこと(町役場が流された町は、それどころではなかったです)。災害復旧の場合は、地方債でひとまず手当てして、その元利償還金を後に交付税で措置するものを、現ナマの交付税で手当てしたこと。国庫補助事業の地方負担分をほぼすべて手当てしたこと(被災地では自己財源がありません)。東京都にも配ったこと(これは制度ができて以来、初めてのはずです)。単年度でなく、複数年度を考慮した配分にしたことなど。
担当課長として、その際の考え方を整理した論文です。後世に残るものでしょう。ありがとう。
「とかく官僚や行政は、前例通りで融通が利かない」と批判されますが、これを見ていただくと、そうでないことがわかってもらえます。このような大胆で臨機応変な措置をしていただいた総務省と財務省に、感謝します。でも、マスコミって、こんなことは書いてくれないのですよね。

低線量放射能への不安、足を踏みつけた場合の対応

8月15日の朝日新聞「ニッポン前へ委員会」、神里達博大阪大学准教授の発言から。
震災がれきの広域処理をめぐって、拒否反応があることに関して。
・・実は、この問題の背景には、現代社会におけるリスク問題に特有の「二つの不在」が作用していると考えられる。
まず一つは、「知識の不在」である。現代の行政は原則として、科学的事実に基づいて客観的に遂行される。ところが、あるレベルを下回る放射線の健康影響については、科学的知見そのものが不足している・・
もう一つは、「責任論の不在」である。たとえば電車内で足を踏まれたとき、相手からの「すみません」の一言があるかないかは、大きい。もし、謝罪の言葉よりも先に「あなたの足にかかった圧力は弱いので、けがの恐れはありません、ご安心ください」などと言われたら、かなり温厚な人でも怒るだろう。だが、今回の原発事故に伴う放射能汚染の問題では、まさにそのような状況が続いている。程度の差はあれ、「足を踏まれた人」は間違いなく大勢いるのに、謝罪する者は事実上、現れていない。人々はきっとそのことに、どうにも納得がいかないのである・・

科学者の知見の活用

イギリスやEUには、政府に首席科学顧問(Government Chief Scientific Adviser)が置かれているとのことです。イギリスのThe Government Office for Scienceのホームページ。どのような仕事をしているかは、リンク先をご覧ください。
8月2日の朝日新聞オピニオン欄は、EUの首席科学顧問のアン・グローバーさんのインタビューを載せていました。

原発事故について。
・・私は英国の首席科学顧問のジョン・ベディントン氏と一緒に対応にあたりました。情報収集はきわめて困難だった。理由の一つは、日本に首席科学顧問がいないから。もしいたら、即座に科学者のネットワークができ、情報交換や情報の批判的検討もできた。日本にとっても、助けになったと思います。世界中から最良の知識を持った科学者を探し出し、力を貸してもらえたでしょう・・

ベディントン氏が、事故直後に東京の英国学校長に学校閉鎖の必要はないと明言したことについて。
・・私たちは誰もが意見を言える場を作り、影響について議論しました。ベディントン氏がその情報を政府に持って行き、首相が証拠に基づいて決断したわけです・・

英国で狂牛病が広がったとき、政府は当初、人には感染しないと言ったが、後になって間違いだとわかった。このときは、英国の科学者も信頼を失った。どうやって、信頼を取り戻したのかについて。
・・私は、間違いを認めることによってだと思います。正直さがとても大事です。そして透明性です。当初は人に感染する証拠がなかった。それは事実です。その後の研究で、感染しうるとわかった。それで、我々は間違っていたと正直に伝えたわけです・・