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被災地での無料法律相談、法テラスの活動

法テラス(日本司法支援センター)が、被災地で無料相談を行っています(根拠法)。10月12日付の読売新聞が、活動状況を報道していました。
法テラスのまとめでは、宮城、岩手両県の4出張所でのこれまでの相談件数は、4,800件です。家族(相続や離婚などでしょうか)、不動産関連(土地相続、境界画定、ローンなど)が、半数を占めています。法律相談だけでなく、ちょっとした日常の困りごとや、行政に関する相談が多いとのことです。
最初は認知されていなかった活動(たぶん多くの人が法テラスを知らないと思います)が、戸別訪問など関係者の努力で、最近は困ったときのより所になっているようです。ありがとうございます。
これまで、岩手県大槌町、宮城県南三陸町、東松島市、山元町に出張所がありましたが、福島県二本松市にもできました。
また、昨年3月から今年8月までに、法テラスへ寄せられた震災に関連した問い合わせ全体では、住まいと不動産に関すること、生活上の取引に関すること、家族に関することが多くなっています。

NPOが使える国の予算

復興庁では、復興に携わっているNPOに、参考となる情報を提供しています。今回、平成25年度に向けて、NPOが使える各省が予算要求している事業を整理して、HPに載せました。事業の概要と問い合わせ先も、載せてあります。
「24年度で予算が打ち切られると、支援事業が継続できなくなる」との声もいただいていたので、いくつかの事業については担当省に継続をお願いもしました。これらはまだ「予算要求中」なので、査定によっては、実現しなかったり減額される事業もあります。ご注意ください。

復旧での企業の貢献

企業が、社会的貢献として、被災者支援や復興に協力してくださっています。義援金や基金の提供、物資の提供、社員のボランティア派遣などです。
そのような無償支援ではなく、本業を通じての貢献も大きいです。 昨日紹介したグーグルの安否確認や商店の営業確認サービスも、その一つです。
被災地でいち早く復旧して店を開いてくださったこと。ガソリンスタンドやコンビニをはじめ、各種の商業サービス再開は、地域の復旧に不可欠でした。工場などの事業所再開は、雇用の再開になります。
被災地での課題解決に協力してくださっている企業も、あります。
5万戸もの仮設住宅を、短期間に建設しました。これも、関係企業の協力のおかげです。今後は、復興住宅の建設が課題です。新日鉄住金は、釜石市で工期が短く経済的な工法で、災害公営住宅を作ってくださいます。
津波被災地では、ホテルが流された上に、工事関係者が宿泊する施設が不足しています。ホテルを建てていただきたいのですが、復旧事業が終わる頃には需要が減って、長期間の経営としては難しいものがあります。オリックス価値開発などがコンテナ型やプレハブ方式で、ホテルを建ててくださいます。工期を短縮し、建築費や運営費を抑える工夫をしています。
人材派遣会社のパソナは、被災者の就労支援に取り組んでくださっています。陸前高田市では、市内で就職し復興を支えたい人を集め、研修をして就職につなげる事業を行っています。企業と求職者とのマッチングです。パソナが市に提案し、市から事業を受託しています。
原発事故の避難解除準備区域で、ファミリーマートが移動コンビニを開いてくださったことは、このHPでも紹介しました(6月21日の記事)。
最近の新聞に取り上げられた事例を、紹介しました。これはごく一部なので、随時紹介しましょう。

災害時のIT活用

今日、職場に、グーグル本社のドラモンド(Drummond)上級副社長が、来てくださいました。グーグルは、そのIT技術を活用して、大震災の発生直後から、現在の復興においても、大きな貢献をしてくださっています。概要は、こちら
例えば、安否情報を簡単に登録、検索、閲覧できる「パーソンファインダー」を、発災後2時間で、立ち上げてくださいました。2011年5月頃には、登録件数が67万件を超えていたとのことです。このサービスは、ご自身も宮城県出身の河合さん(本社のグループプロダクトマネージャー)が、作ってくださったとのことです。
今回の大災害では、ITが大活躍したことでも、歴史に残るでしょう。これまで、災害時の情報と言えば、現地の情報を政府が取り寄せることに重点が置かれていました。しかし、政府の情報を、現地に伝えることも重要です。これまでは、それは、テレビや新聞に頼っていました。インターネットによって、格段に多くの情報を手軽に伝えることができるようになりました。パソコンだと、停電しているところはダメですが。
もう一つは、住民と住民との情報交換です。典型的なのは、安否確認です。これは、パソコンや携帯でできるようになりました。
そのお礼を伝えるとともに、今後の復興への支援をお願いしました。例えば、被災地の産品の紹介と販売です。小さなお店でも、インターネットで商品を売ることができます。まだ、このほかにも、いろんなことができそうです。アイデアを出すことを含めて、協力をお願いしました。

また、副社長には、「ぜひ被災地を見て、日本がいかに早く復旧したかを確認してほしい」とお願いしました。日本のマスコミは、とかく復旧が遅いと批判します。確かに、津波被害地や原発事故避難区域では、まだ復旧が進んでいません。それは、それなりの理由があるのですが。
私が見てもらいたいのは、そこを含めて被災地全体の姿です。それは、鉄道や道路などの復旧と、日本経済の復旧です。新幹線も高速道路も復旧しています。昨年の夏や秋には、日本のものづくりと経済はどうなるのか、悲観的な見方が支配的でした。自動車などの部品工場が被害を受け、サプライチェーンが寸断されたからです。それが、1年少しで、復旧しました。これには、諸外国の方は驚かれます。日本のマスコミは、「自虐的に」悪いところだけを取り上げますが、それだけを見ていると間違います。
グーグルは、「ITは、何ができて何ができなかったか」の検証もしています。
私も、グーグルの検索だけでなく、このホームページの表紙の下に、グーグルのサイト内検索をつけて活用しています。ページ数が増えて、どこに何を書いたかわからなくなっているので、このサイト内検索は便利です。手書きの日記帳では、こうはいきません。しかも、無料です。ありがとうございます。

高齢先進国日本、その2

オショティメイン氏は、次のようにも、話しています。
・・UNFPA(国連人口基金)の大きな使命は、人口爆発を防ぐことだった。過去60年間で、合計特殊出生率は、6.0から2.5へと半分以下になった。私たちは、産む、産まないは女性が選択すべきだという考えを広め、女性差別をなくすように求めて、出生率を低下させてきた。だが、それが高齢化社会をもたらしたわけではない。
高齢化は、衛生、環境、栄養、医療、保健のすべてを改善してきた結果、我々が勝ち取ったものだ。まさに祝福すべき成果なのである。
とはいえ、各国政府が必要な社会制度を整えなければ、たちまちさまざまな問題が噴出するだろう。素晴らしい制度を持っている日本でさえ、不断に努力する必要がある・・
日本は、世界のお手本になると期待している・・

出生率が、6.0から2.5へとなったのは、すごいですね。お母さんが産む子どもの数が、6人から2.5人に減ったのです。日本では、2人以下になっています。それでも人口が爆発的に増えているのは、寿命が延びたからです。特に、子どもの死亡率が減りました。
それを成し遂げた条件は、オショティメイン氏が述べているとおりです。日本も、戦後半世紀で(実際はもっと早く)それを達成しました。拙著『新地方自治入門-行政の現在と未来』で、解説しました。昭和30年代の保健婦さんの活動や、農水省が進めた生活改良普及員の貢献などは、今の若い人は知らないでしょうね。

交付税課の課長補佐の頃、1990年代ですが、中国共産党の視察団に、お話をしたことがあります。話題は、「日本はどのように地域間財政格差を緩和しているか」でした。
私の答えは、「工業再配置、公共事業による地方振興、それに国庫補助金と地方交付税による財政補填」です。
すると、幹部の方が質問しました。「日本では、人口移動を規制していないのか?」と。私は、「日本では、規制していない。その結果、都市部への人口集中や太平洋ベルト地帯への人口移動は起きた」と答えました。
彼の反応は、交付税制度に対する高い評価と、「中国とインドでは、人口爆発を防ぐこと(一人っ子政策)と、都市部への人口集中を緩和することが、人口政策の2大課題である」とのことでした。