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日中韓人事シンポジウム

今日11月8日、人事院での「日中韓人事シンポジウム」で、基調講演をしてきました。中国、韓国と日本の国家公務員人事担当部局が、毎年持ち回りで会議を開いています。今年が第8回目、日本が開催国です。今年のテーマは、「不測の事態に備える公務の対応」で、私の努めは、東日本大震災での公務員などの動員についてでした。この1年半の経験を、お話ししてきました。
中国からは、国家公務員局の蔡啓明(サイ・チミン)局長、韓国からは高位公務員政策課のユン・ビョンイル課長が出席されました。冒頭、大震災の際にいただいた支援に、お礼を申し上げました。
いつも早口の私も、同時通訳の時は、ゆっくりお話しします。今日も、イヤホンで通訳さんのことばを聞きながら、早さを調節しました。もっとも、中国語と韓国語を同時には聞くことができないので、片方だけでしたが(苦笑)。

ちょうど4年前の秋、麻生総理のお供をして、北京を訪問したり、国際会議に出席したことを思い出しました。リーマン・ショック直後の経済混乱期で、どのようにして1929年の世界大恐慌を防ぐかが、課題でした。アメリカは、ブッシュ大統領からオバマ大統領に代わる時期で、機動的な対応ができず。ヨーロッパは金融危機の震源地で、これまた対応できないときでした。日中韓の3か国が財政出動して、世界経済を救おうという道筋をつけました。日中韓3か国のGDPは、当時、英米仏の3か国の合計より大きかったです(うろ覚えです)。麻生総理が、人民大会堂で胡錦濤主席と、青瓦台で李明博大統領と話し込まれるのを、見ていました。
初めて日中韓首脳会議を定期的に開催することとして、福岡県で開催しました。それまで、この3か国首脳が定期的に集まらなかったことが、私には不思議でした。世界に貢献する日本、アジアとともに発展する日本。欧米ばかりを見るのではなく、この重要な隣国とともに発展しなければなりません。経済だけでなく、いろんな分野での交流が必要ですし、できると思います。

企業による被災学生への奨学金

11月2日の毎日新聞が、企業による奨学金を書いていました。いろんな企業が、被災3県の学生を対象に、奨学金を作ってくださっています。カゴメ、カルビー、ロート製薬が作った「みちのく未来基金」、家具のニトリ、ローソン、三菱東京UFJ銀行、旭硝子、ソフトバンクの孫社長などです。サントリーは、缶飲料を1缶売るごとに1円を積み立てて、40億円を用意しました。大阪府宅地建物取引業協会北支部は、アパートを無償提供してくれます。ありがたいことです。
日本学生支援機構(かつての日本育英会)が、東日本大震災の被災学生等に対する奨学金の一覧表を作っています。これは、大学生などが対象です。文部科学省のホームページには、小学生などを対象とした奨学金も載っています。

仮設住宅での悩み

東北復興新聞第17号に、藤沢烈さんが、岩手県が実施した「応急仮設住宅周辺調査」の報告書について、「住宅再建・就労問題の解決へ向け、ソフト施策の強化を」書いています。
報告書は、9月21日に公表されているようです。この調査は、応急仮設住宅に住んでいる世帯ごとに、生活の状況を聞き、生活課題を明らかにし、改善につなげることを目的としています。重要な調査だと思います。しかも、施設に関する質問だけでなく、人とのつながりなどの質問項目が多いです。仮設住宅を造っただけでは、被災者の生活の不安はなくなりません。買い物が不便だといった条件問題だけでなく、つながりや悩みなど心の問題も重要です。
いくつか特徴的なことが出ています(要約は報告書p3)。
・70代以上女性の44%が単身世帯で、60代以上の世帯の半数以上は、単身もしくは配偶者のみです。
・男性は約4割が、プライベートな相談をできる人がいません。
・単身者のうち15%は、団地内においても会話をしていません。
・集会所・談話室を利用している人ほど、支援への満足度、生活満足度、施設への満足度が高いです。
宮城県でも、昨年10月から今年1月にかけて、同様の調査をしています。こちらは時期も早いので、施設に関する項目が多くなっています。

民間連携事例と女性の参画事例

11月5日に、次の2つの事例集を、復興庁のホームページに載せました。
1つは、「多様な担い手による連携事例」です。復興の現場で、行政機関と企業やボランティア団体が手を携えて取り組んでいる例を紹介しました。生活支援、雇用や産業支援、まちづくり支援、情報発信などの分野に分けて、事例を載せてあります。具体例を見ていただくと、「こんな工夫もあるのか」と、参考になると思います。昨日、「NPOとの連携を進めたい」と書きましたが、その実践の1つです。
NPOや企業は、いろんなかたちで、復興を支援してくださっています。それらを分類して紹介したいのですが、あまりに多様で整理し切れていません。そこで、今回は行政が、そのほか2者以上と連携を取っている事例に絞って、載せました。「もっとこんな事例もあるぞ」とお気づきの方には、ぜひ復興庁にお知らせください。順次、追加します。
もう1つは、「男女参画の事例」です。避難所の運営の際にも、女性の力が認識されました。復興の過程でも、女性の視点、女性の参画は重要です。まちづくり計画過程での参加、女性の仕事づくり、暮らしでの支援などに分けて、事例を載せました。緊急雇用を活用して働く場を作った例、女性外来診療室を作った例などがあります。他の地域でも、参考にしてください。
それぞれ、職員が、事例を集め、知恵を絞ってわかりやすい様式で解説を書きました。ぜひ、個表をごらんください。

大熊町の住民意向調査

11月6日に、福島県大熊町の住民意向調査結果を公表しました。今回は、世帯別調査で、回収率は64%でした。大熊町は第1原発に近く、放射能汚染がきつい地域です。
帰還意思については、「戻りたい」が11%、「判断がつかない」が42%、「戻らない」が45%と、厳しい結果が出ています(p10下)。戻らない理由は、「放射線の不安」が81%、「原発の安全性に不安がある」が70%、「家が汚損され住める状況ではない」が68%、「商業施設が元に戻らない」が63%などです(p11、複数回答)。