東北復興新聞21号に、私のインタビュー「住まいの変化にともなう移行戦略の始まり」が載りました。今後、本格的な住宅再建が始まります。自力による再建や公営住宅の建築です。
編集長の質問は「仮設住宅から本格住宅に移ると、NPOの役割はどう変わりますか」でした。多くの地域で、住宅の建設はまだ先のことですが、記事のようなことをお話ししました。
・・・今の被災地は、20年後の日本全国の地域の姿だ・・
多くの方が、考えておられることと思います。NPOには、期待することが大きいです。
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公共財としての火葬
日経新聞夕刊社会面で、昨日から連載「公共財としての火葬」が始まっています。
宮城県名取市では、900の遺体の50%は市営斎場で、25%を山形県で、25%を東京都と仙台市で火葬しました。その陰には、火葬場を緊急に復旧した関係者と、他の自治体に協力を求めた働きがありました。多くの市町村では、それはできませんでした。
大震災の発災直後、困ったことの一つが、葬式と埋葬です。たくさんの死者が出て、一方で葬祭場や火葬場も壊れ、葬式ができないこと、棺桶や遺体袋が足りなくなったこと、遺体を運ぶ方法に困ったこと、仮埋葬をしたことです。埋葬する際に、僧侶の読経を望まれたが、できなかったことも、このホームページで書きました。
連載の27日は「市民の弔い、僧侶課長仕切る」でした。市役所の課長、木村さんは僧侶でもあります。
・・・公務員として政教分離は肝に銘じている。が、現場で2度、法衣で読経した。検視場所の閉鎖時と、身元不明の遺体を火葬のため安置所から搬出した際だ。人目につかぬよう、祈った・・・
経験とともに怖くなる
日経新聞夕刊の「人間発見」は、25日から俳優の加藤剛さんです。加藤さんは、俳優生活50年のベテラン。テレビの「大岡越前」で、おなじみです。
・・・ところが、長く俳優をやっていながら、人前に立つ自信がありません。舞台初日の開幕までの心細さ。終演までの「魔の時間」を前に、鏡の中の自分の扮装姿を眺めると、映った相棒は何とも頼りない。開幕ベルが鳴り響き、背中を押されて舞台へ出ていきますが、常に自信がない。少年時代の学芸会も「役が付きませんように」とひそかに祈ったほどです。そんな私がなぜ俳優になったのか、実に不思議です。
思えば駆け出しの頃は、この仕事がそれほど恐ろしくなかった気がします。「人間の条件」(俳優デビュー作)をはじめ若い時分の映像を眺めていると、よくあんなことができたな、と驚きます。若さがそれをさせたな、と。だが、どんな仕事も完成はなく、どこで完成なのかがわからない。年とともに役を演じる怖さがわかってきたのでしょう・・
あの堂々とした大岡越前守の演技の裏(本当の姿)です。達人や名人というのは、こういうことなのでしょうね。
自分の命を、役所任せにしてはいけない
朝日新聞2月26日、「釜石の奇跡」で指導的な役割を果たした、片田敏孝さんのインタビューから。
国や自治体による被害想定作りに関して。
・・・こう言っては何ですが、ハザードマップを信じてはいけません。想定を否定しているわけではありません。頼り切ることが問題なのです。マップの安全圏を信じて安心しきって、その結果、命を落とす事態が起きるのです。相手は自然だから、時にはずっと大きな災害もある。
危険な場所を地図に示すことを過度に求める、行政依存の体質が問題です。行政の肩を持つわけではないが、防災だけでなく何かにつけて行政責任を言う、日本の社会構造みたいなものに、根源があると思えてなりません。自分の命を守るのを、他人任せにしてはいけない。自己責任ですよ・・
上司の役割
今日は、仕事の関係で、12:20頃に職場に戻って、弁当を広げました。今日はなぜか、静かに食べることができました。しかし、13:00になったとたんに、次々と職員が決裁やら相談にやってきました。
どうやら、Y秘書が私のブログ(ゆっくりさせてくれない職員たちと黒幕)を読んで、次の対策を考えたようです。
でも、部下の言うとおりに動くのが、上司の務めですね。Y秘書の指示に従いましょう。
金曜日に、×を2つもらった職員(若手職員卒業試験)は、今朝早く、修正した案を持ってきました。完璧にできていました。でも、100点を与えると慢心する恐れがあるので、あえて問題点を探して、「95点」と採点しました。満足せずに、さらに向上してもらうためです。きっと、将来有能な職員になってくれるでしょう。
上司の楽しみは、将来有望な職員を鍛えることです。復興庁には、各省のほか民間企業やNPOからの職員がいます。それぞれ有能な職員ですが、これまで「狭い職場」で生きてきました。
彼らに、復興の現場を見せ、内閣と与党はどう動いているかを見てもらい、どのように企画して段取りをつければ仕事が進むかを勉強してもらっています。若手職員では、なかなかそんな機会は、ありません。でも、復興庁では、これまでにないことをしていること、職員が少ないこと、仕事が忙しいので、若手職員でもいろいろなことが経験できます。
良いアイデアがなければ、進歩はありません。しかし、アイデアだけでは、企画は実現せず、世の中は動きません。その勉強ができます。
放課後には、元部下職員と一緒に「異業種交流会」に出ました。私は、「今日も、ホームページを加筆するので、先に帰るわ」と、皆より早く退席しました。去り際に、彼曰く「S省のS君は、よく仕事ができたが、さらに磨きがかかった、と書いてください」と。で、その注文を、こうして実行しています(苦笑)。