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世界のルール作りの舞台

朝日新聞3月17日経済面「波聞風問」原真人編集委員の「TPP交渉参加、G7ラウンドの幕が開く」から。
・・安倍政権が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を決めた。日本のコメや自動車といった個別の利害得失はともかく、世界貿易にとって意味ある出来事だ。なにしろ、20年ぶりとなる新しい世界の通商ルールを作る舞台の幕開けとなるのだから・・
一昨年末、新しい世界の通商ルールをめざしていた世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドが10年間のマラソン交渉の末に失敗した。150に及ぶ国々の利害調整もたいへんだったが、失敗の最大の理由は、米国がまとめようとした合意案を中国やインドがのまなかったことだった。
おかげで、WTOの立法機能は完全に機能不全におちいり、もはやWTOの新ラウンドは永久に立ち直れない、とさえ語られている・・
そこで米国は、中国ぬきのG7ラウンドで世界ルールを決める道を選んだ。それが世界標準となれば中国も無視できず、いずれその輪に加わらざるをえない。米国はおそらく、そんな大きな戦略を描いているのではないか・・

2008年のリーマンショックのあと、世界が協調して、大恐慌になることを防ぎました。1929年の轍を踏まないようにです。そして、自由貿易体制を堅持しさらに拡大すること、他方、リーマンショックの原因となった金融について国際規制をかけることが、当時の合意事項でした。その際には、G8だけでなくG20が舞台でした。麻生総理のお供をして、国際会議に行き、世界の経済とそのルール作り、さらには国際政治が動く現場を見ました(例えば2008年11月のG20、10月30日の経済対策(国内・国際)、合わせて当時の施策体系)。
熱いうちに打たないと、状況はどんどん変化し、提唱は実現しないうちに尻すぼみになります。次に、どのようにアイデアを提唱し、実現していくか。先進国が作ったルールに従うだけでなく、日本もルール作りに関与しなければなりません。それは、日本が繁栄するという観点からであり、世界が繁栄するという観点からです。

経済ルール、守るから作るへ

3月16日の日経新聞社説「TPP交渉 「守る」から「築く」へ」から。
・・人口が減る日本が将来にわたり経済成長を続けるためには、世界に打って出なければならない。米国と連携を深め、世界の成長の中心となった東アジアと結合を強めてこそ、日本は本来の力を発揮できるようになる・・
日本経済の発展を真剣に考えるなら、外に向かい目を開かなければならない。工業製品だけでなく農産物を含む日本の産品と、日本の人材、投資資金が自由に動ける舞台をつくることこそが国益である。発想を「守る」から「築く」に切り替えるときではないか・・
交渉の焦点は、モノの関税撤廃だけではない。知的財産権、技術の基準・認証、投資、国有企業の改革、サービス貿易、競争政策、環境、労働など、さまざまな分野がある。いずれも、現在の通商秩序の土台である世界貿易機関(WTO)の協定に、十分に盛り込まれていない領域だ・・
日本は駆け足で追いつき、これらのルール策定の作業に一日も早く参画しなければならない。日本にとって関税撤廃による輸出拡大の経済効果は大きいが、新領域のルールづくりには、それ以上の大局的な意味があるからだ・・

日経新聞「私の履歴書」、カーラ・ヒルズ元アメリカ通商代表、3月16日「車の輸出制限」から。日本が、経済摩擦を回避するために、自動車の輸出自主規制をしたことについて。
・・これは経済的な観点に立てば、大きな誤りだった。輸出を制限すれば競争も制限され、それだけ価格は上昇してしまうからである。
実際、日本による対米乗用車輸出自主規制は、米国の自動車産業を怠惰にしただけだった。ビッグスリーの経営者たちは競争力に何の心配もしないまま、市場によって正当化されない高禄をはみ、年金の増額も許してしまった。そうした意思決定は後に、米国の自動車産業が壊滅的状態に陥るという形で跳ね返ってきたことは、歴史が証明している・・

いつもの休日

昨日土曜日、今日日曜日と、たまった資料整理と頭の整理に出勤。この2週間は、3月11日をはさんで、仕事が忙しかったのと、各紙が特集を組んだので、読んでいない資料や新聞切り抜きが大量にたまっていました。さらに、一段落がついたので、次の仕事の段取りを考える必要があります。
今週末は、復興庁は執務室の模様替えでした。職員増員に備えて、会議室をつぶし、職員の机を動かしたり。私の部屋も工事対象なので、空いているところを見つけて移動しつつ、作業を見守りました。
机の移動と言っても、昔のように、若い衆が集まって力仕事で、というわけにはいきません。まず内装業者が、壁などを取り払います。次に床のカーペットをはがして、電気屋さんが電線を、通信業者がインターネットの回線と電話線をつなぎ替えます。そして机と書棚を移動させてと。当然、事前の金曜日夕方には、職員はパソコンを外し、書類を段ボール箱に詰めて番号を振ってと、その準備が必要でした。明日月曜朝には、箱から書類を出して・・。

国家公務員、心の病

人事院の調査によると、2011年度の長期病休者(病気やけがで1か月以上休んだ)国家公務員は、5,370人、全職員274,973人の約2%でした。うち、男性が4,186人(全男性職員229,601人の1.82%)、女性は1,184人(全女性職員45,372人の2.61%)です。
原因で最も多いのは、「精神及び行動の障害」の3,468人で、約65%を占めています。この数は、1か月以上休んだ職員ですから、職場にはこの数倍の「心の病の職員」がいます。

被災地での企業とNPOの連携

3月12日の朝日新聞社説は、「被災地の復興、スモールビジネスを力に」でした。被災地の復興には、働く場が重要です。その際に補助金頼りでは、補助金がなくなると事業は終わってしまいます。小さくてもビジネスとして定着させる試みが、NPOの支援によって広がっています。そして、企業の持っている「能力」を活用することも、試みられています。
これは、官と企業と地元をNPOがつなぐ、新しい社会の試みでもあります。私たちが進めようとしている、官と企業とNPOと地元の連携です。
記事の中で、藤沢烈さんが、紹介されています。ぜひ、原文をお読みください。紹介が遅くなりました。