岡本全勝 のすべての投稿

ロケットを持つ国、商売にする国

8月9日の読売新聞解説欄に、「ロケット開発方向定まらず」が載っていました。その主旨とは違いますが、読んでいて次の点に関心を持ちました。
ロケットを持つ国は、ロシア、アメリカ、欧州、中国、インド、イスラエル、ウクライナ、イラン、韓国と日本だそうです。まだまだ限られた国しか、打ち上げることができない先端技術です。さて、記事には、欧州の打ち上げ事業会社アリアンスペース社の高松聖司・東京事務所代表の言葉が載っています。
・・不思議なのは、日本の打ち上げ事業の議論が、どんなロケットを造るか、というハードの面に偏っていることだ。その奇妙さは、航空事業に置き換えると、よくわかる。同じ機体を使っていても、航空会社によって運賃は違う。各社が工夫して競争している。
ロケットの製造企業が打ち上げ事業をする、と思い込んでいるのもおかしい・・私たちも打ち上げ事業会社であり、ロケットは造っていない。別の会社から購入している・・

復興の現場主義

このHPでも、何度も書いていますが、復興は被災地の現場で行われます。主役は、被災者と市町村です。復興庁職員が、金槌を持ったり、ショベルを持つのではありません。
では、復興庁は何をするか。現場に足らないことを、支援することです。財源、職員、ノウハウ。そのほか、現場での困りごと。それを解決し支援することが、復興庁の仕事です。その際の課題の一つは、これまでの役所の仕事の流儀です。縦割りだとか、前例がないとか・・。今回、「現場で困っていた役所仕事を変えた事例」を一覧表にしました。「復興に際して行った現場主義」。
「何で、これまで融通が利かなかったの?」と、思われる人もおられるでしょう。でも、例えば、農地の他用途への転用手続きも、農産物の生産を守るために必要だったのです。さらに言うと、地元の人も、転用に反対の人もおられます。全員が賛成なら、こんなことには、なっていなかったでしょう。農産物の生産と、他用途との比較考量が必要なのです。
官庁が、流儀を地元の要望に応えて変える。これまでの霞が関なら、××審議会や××本部決定といった手続きを経て、閣議決定してから動いたものです。それを、かなり迅速に変えています。復興庁は、これまでにない「行政のフロンティア」「官僚の自己改革」に挑戦しています。

講演録やインタビュー

(生活復興は行政とNPO、企業との協力で)
日経グローカル』8月5日号に、私のインタビューが載りました。表題は「生活復興、行政だけでは限界。NPO・企業と連携し知恵得る」です。インフラ復旧は行政は得意ですが、町の賑わいを再開するには、行政だけでは限界があります。住民や商店と地域のコミュニティのほかに、企業やNPOの役割が重要です。
もちろん、それらに任せっきりにするのではなく、行政も得意分野でお手伝いをします。社会を支える3つの主体(分野)が、協力するのです。その新しい試みに、挑戦しています。復興庁では、これまでも、ボランティア連携班企業連携班をつくって協力をしているほか、新たに「新しい東北の創造」に際しても、民間の力を活用しようとしています。
昨年8月にも、共同通信社のサイト「47ニュース、ふるさと発信」に、「被災地で考える「町とは何か」~NPOなどと連携した地域経営へ~」を書きました。

グローバル化と国家の役割、2

(政府の役割)
その際に、国家(政府)は何をするべきか。私は連載「行政構造改革」以来、「政府(中央政府と地方政府そして官僚)の役割は何か」を考えていて、その一環として、この本を読みました。
これまでは、日本の課題や政府の機能をどうするかを考えていたのですが、日本が抱える課題は国内だけで生じるのではなく、国際環境によるものも大きくなりました。例えば、地域産業を考える際に、国内の条件だけを考えていても解決になりません。国内で企業誘致をしておれば良い時代では、なくなりました。企業は世界で勝負し、工場はアジアにそして世界に出て行きます。
経済などが国際化したことによって、国家が対応できる範囲や、国家が打てる有効な手段が狭まりました。国内の課題を解決することは、国家(中央政府)の任務でしたが、一国の政府だけでは解決しないのです。
他方で、世界政府は、まだ視野に入ってきません。EUが、その実験を進めていますが。もし遠い将来に世界政府ができたとしても、地球規模の人口と面積、そして異なった経済段階の区域を抱えて、有効な政策は打てそうにもありません。
(政府間の競争)
国家(主権国家体制、Nation State System)を前提として、国家(政府)が、国際問題と国内問題を解決していくしかありません。市場経済だけに任せておいてはうまく行かないことが、国内経済でも国際経済でも明白になりました。もちろん、経済界に求められることも、変わってきました。
世界規模の経済合理性だけで、行動することが果たして良いことか。これが、東西冷戦終結後の20年間で、わかったことです。バブル崩壊後の日本が直面したデフレや「失われた10年」という言葉は、この状態に重なっていました。ある意味で、先進諸国のさらに先端を行っていたのです。
日本政府にも官僚にも経済界にも、新たな大きな課題が出現しています。私が繰り返し主張しているように、「日本国家と国民が、明治以来の追いつけ追い越せ路線に成功し、次の課題設定に迷っている」という大課題は、より大きな規模で「世界規模での文明の曲がり角」とシンクロしつつ、私たちに対応を迫っています。
もちろん、このような課題なので、世界各国が、条件は違いつつ同じ課題と取り組んでいます。どの国が、この競争に勝つのか。経済についての新しいモデルを提示することと、国民と社会へ新しい政策を打つことの競争です。

朝も土砂降り

東京は最近、夕立がひどくてと、書きました。今朝は、朝からすごい通り雨でした。家を出たときは晴れていたのですが、地下鉄が四谷の駅(ホームが地上にあります)に着いたら、土砂降りです。困ったなと思いつつ、溜池山王駅まで来て、地上に出たら、雨はやんでいました。出勤していた職員に聞いたら、えらい目に遭ったそうです。傘を差しても、ずぶ濡れになったそうで。
アメダスの雨雲情報が、わかりやすいです。雨雲が雨の強さで、青、黄色、赤で表示されます。10分ごとに更新され、また2時間分の動きが、さかのぼれるのです。優れものです。