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政治評論の役割

御厨貴著『馬場恒吾の面目―危機の時代のリベラリスト』(文庫版、2013年、中公文庫)を読みました。
馬場恒吾は、1875年生まれ、1956年死去。20世紀前半のジャーナリストで、昭和前半を独立した政治評論家として活躍しました。戦後は、読売新聞社長を務めています。
勉強になったか所を、引用しておきます、
・・「戦後」70年近くになるが、今や「政治評論よ、何処へ行く」の感を深くする。55年体制と自民党一党優位体制の確立は、まちがいなく政治評論を不毛にした。では55年体制の崩壊とその後の「政治改革」の20年は、どうだっただろうか。いやいっこうに政治評論ははかばかしくなかった。
55年体制下で紡がれたのは、ミクロな政局の叙述と、マクロな政治の展望との二つに集約される議論であった。ミクロとマクロのつなぎの部分が実はない。ジャーナリズム出身者による政治評論はミクロを得意とし、アカデミズム出身者によるそれはマクロに傾斜した。知らず知らずのうちに、相互不可侵の態勢ができあがり、自己満足以上の成果はなく、現実政治に影響力を与える筆の力はなまくらなまま打ち過ぎた。
政治構造の転換を余儀なくされたこの「政治改革」の20年も、小選挙区・二大政党制・政権交代の三題話に収斂する政治評論しかなかった・・(p3、文庫版まえがき。なぜ今、馬場恒吾か―政治評論の復活のために)
この項続く。

官民連携推進協議会

「新しい東北」官民連携推進協議会のホームページを作りました。被災地では、行政機関だけでなく、企業、大学、NPOも、復興に向けた取組をしています。この協議会は、これらの方々と情報を共有・交換し、関係者の連携を進めようとするものです。
ホームページには、会員によるさまざまな支援(資金助成、経営相談、起業支援、販路開拓支援、職員研修など)や、被災地での取り組み事例(事業支援、新しい試みなど)を紹介しています。
復興に際して、官だけでなく、民間が取り組んでいることをどう活用するか。何処にどのような取り組みや支援があるのか、それを取りまとめてお知らせすること。復旧だけでなく、それを超えた新しい挑戦に取り組むこと。これらを、インターネットという新しい道具を使って、情報提供と情報交換をしようとするものです。新しい行政の形だと、考えています。ご関心ある方は、ご覧ください。

新しい住宅の形

「新しい東北」住まいのこだわり設計事例集」を、復興庁のホームページで公開しました。これは、将来を見据え地域の課題を解決する工夫をした設計事例です。
例えば、岩手県大槌町の大ケ口地区公営住宅です。絵を見ていただくとわかるように、各家の南側に縁側を設置し、住民が自然と出会うようにしてあります。団地の入り口には、集会所と広場を配置してあります。既に完成しています。機会があれば、ぜひご覧ください。類例は、仮設住宅(例えば釜石市平田地区)でも、作りました。
これは、「新しい東北」で取り組んでいる、「高齢者標準による活力ある超高齢化社会」の例です。単に、元に戻すのではなく、日本の未来を見据えた試みをしています。東北は、過疎、少子化、高齢化、産業空洞化といった、日本の未来の最先端を進んでいるのです。
住宅も、数を作るのではなく、高齢者の住みやすいバリアフリーにすることはもちろん、孤立化しないための仕組みを埋め込もうとしています。もちろん、住宅の建て方だけでは、孤立化防止や豊かな老後は提供できません。これに合わせて、どのような人のつながり(サービス)を作るかが、次の課題です。皆さんの、お知恵を待っています。

政府と与党

次のようなニュースが載っていました。NHK1月21日
・・自民党の総務会は、政府の日本経済再生本部が決定した経済の成長戦略の実行計画案について、「政府から事前の説明が一切なかった」として、政府側が求めていた21日の了承を見送りました・・