岡本全勝 のすべての投稿

2代目の夏椿

玄関横の夏椿が、3輪花を咲かせました。先代を枯らしてしまったので、今年3月に植えてもらった2代目です。早速、花を咲かせました。土も入れ替えたのと、キョーコさんが毎日水をやってくれているので、今度は簡単には枯らしません。
先日から、小さな白い丸いつぼみが膨らんできたので、そろそろと思っていました。きれいな花なのですが、一日しかもちません。はかないところに、また価値があります。

不安定な現在の国際社会、理念の不足

朝日新聞6月10日、オピニオン欄、三谷太一郎先生の「同盟の歴史に学ぶ」から。
・・冷戦後の世界は、多極化しました。ソ連が崩壊したあと、米国が空白を埋めて、絶対的なリーダーになるかと思われましたが、現実は予想に反しました。G8は、中国やブラジルなどを入れてG20になりましたが、覇権国家が消滅したことに着目すれば、現在の状況はG0(ゼロ)と言ってもよいかもしれません。冷戦後20年を超えた今日でも、安定的な国際秩序は未完の課題です・・
・・歴史上いまほど、理念というものが不足した時代はないでしょう。現在の世界的な傾向であるナショナリズムを超える理念が存在しません。裏返せば、国益に固執した短絡的なリアリズムが世界を支配しています。覇権構造が解体してしまった現実が私たちの眼前にあります・・

危険な任務の命じ方。命令、要請、自発

朝日新聞6月10日、「思想の地層」小熊英二さんの「法の支配と原発。残留の義務、誰にもなかった」から。福島第一原発が水素爆発を起こしたあと、3月15日の朝のことです。
・・報道では、(原発)所員の無断撤退が問題とされた。しかし本来、民間企業の従業員に、こうした状況で残れと命令する権利は誰にもない。拒否する権利、少なくとも辞職する権利は、保障されなくてはならない。
このとき所員の9割は無断撤退したが、約70人が残留した。欧米では彼らを「フクシマ50」と呼んだ。それは勇敢さを称えたからだけではない。そんな状況で所員を働かせる人権無視に驚いたのである。
あるドイツ在住者は、当時の新聞投稿で、この問題への欧州人の反応をこう記している(本紙2011年4月11日「声」欄=東京)。「民主主義の先進国で、これが可能なんて信じられない。ドイツ人ならみんな、残って作業するのを断るだろう」「欧州なら軍隊は出動するかもしれないけど、企業の社員が命をかけて残るなんてありえない。まず社員が拒否するだろうし、それを命じる会社は反人道的とみなされる」
軍人は死ぬ可能性のある命令でも従う旨を契約しているから、政府が軍の核対応部隊などに残留を命令できる。だがそんな契約をしていない民間人に、残留を命じる権利は誰にもないし、またそれに従う義務もないのだ・・

被災地で住民が住民を支援する

被災地では、住民の自立を支援するために、さまざまな試みがなされています。域外からの応援もありがたいのですが、いずれは地域で自立する必要があります。
今日は、「住民主体の共生型支え合い活動と事業の立ち上げ支援」を紹介します。これは、被災地の住民が困っている人を支援する、それを支援しようという取り組みです。平成25年度の「新しい東北」モデル事業で取り組んでもらいました。その最初の成果(事例集)が出たので、復興庁のホームページに載せました。関係者の方々に、活用していただければと思います。もちろん、ここに載っていないけれど実践しておられる事例もあると思います。ぜひ、お知らせください。
私は、「地域のおおやけの新しいかたち」の一つだと考えています。ありがとう、H参事官、森補佐。

産業復興創造戦略

6月10日に、産業復興創造戦略を取りまとめました。
これまでまずは、住宅再建とインフラ復旧に重点を置いてきました。まちづくりに徐々にメドが立つと、次に産業と生業の再生が大きな課題になります。産業の復旧については、これまで、緊急融資、中小企業グループ化補助金、仮設店舗・工場の貸し出しなどが効果を発揮しました。中小企業庁などが、これまでにない支援をしてくれました。
おかげで、施設設備の復旧は進みました。しかし、失った販路を回復できない(休業中に他の会社に取引先を奪われた)、これまでの製品では発展できないなどの課題が見えてきました。ハード(施設設備)の復旧だけでは、限界があるのです。そこで、本格的な産業復興と地域経済の再生のために、次の手を打つ必要があります。もちろん、津波被災地で高台移転するところや原発事故避難区域では、まだ施設設備の復旧もできていません。
今回作った「戦略」では、「域外から所得を得る産業」と「地域の暮らしと雇用を支える産業・生業」とにわけて、重点的に進める分野を示しました。この分類は、皆さんにわかってもらえると思います。
ただし、産業の担い手は民間の事業者であって、国や県が直接事業をするわけではありません。このあと、産業界などの協力を得て、進めていきます。
その際に、次の手として、どのようなソフトの支援ができるか、ここが難しいところです。担い手である事業者をどう育てるか、不足しているノウハウや取引先情報などをどのように応援するか。アドバイザーやマッチングが重要になります。担い手にしろ支援にしろ、お金では解決できず、「人」が鍵になります。モノでなく、人や関係なのです。行政の手法が試される局面です。でも、このような実践的な話は、これまでの行政学の教科書には載っていませんね。