岡本全勝 のすべての投稿

3連休

みなさん、この3連休は、どのように過ごされたでしょうか。東京や多くの地域では、久しぶりに良い天気に恵まれました。充実した休日であったことでしょう。小生は、2日間は仕事片付け、1日はキョーコさんのお供と、充実した3日間でした。
出張などがなく、ゆっくりと職場で仕事を片付けることができるのは、うれしいです。出勤している職員に「子どもさんの相手はしなくて良いの?」とか、「休日は仕事が進むよね」などと会話をしながら、どんどんはかどりました。内閣改造以来、10日分の書類がたまっていたのです。目を通して、大量の書類を捨てました。執務室の床が、数センチ浮き上がったことでしょう。明日以降の仕事についても、何をしなければならないかを考え、その段取りを職員に指示できました。仕事に追われるより、先取りして準備しておくと、みんながハッピイになれます。
毎週、同じことを書いています。そして、今日もすべては片付かず。でも休日なのですから、ゆっくりさせてやってください。仕事以外の新聞切り抜きもたまっているし、読みたい本をたくさん買ってしまったし・・。

藤沢烈さんのインタビュー。お金でも制度でもない、被災地には人材が足りない

藤沢烈さんが、毎日新聞インターネット版のインタビューに応じています。ぜひ、原文をお読みください。ここでは、印象に残る部分を引用します。
・・お金でも制度でもなく、人材がまったく足りていない。新しい社会づくりが進められており、今こそ民間の人材が力を発揮できるので、「面白そうだ」という動機で構わないから来てほしい・・
・・壊れた家を建て直すだけなら、行政と建設会社だけでいいかもしれません。しかし、これからの社会を支えるすべというのは地域だけで完結しない。まちづくりや産業の専門人材を外から連れてこないといけない。そのため、地域と外とのつなぎ役であるコーディネーターが必要になってきます。これは東北に限った話ではなく今後、全国では数千人も必要になると思っています・・
「震災から時間がたち、現地に向かうボランティアは減少しています」という問に対して。
・・むしろ質が変わっていると見るべきでしょう。減っているのは単純な支援です。反対に、今になって初めて被災地支援に行くという人もかなりいます。復興は時間がかかると考えて自分の専門性が生きるタイミングを探していた人たちですが、専門性があり、東北出身者も大勢います。「誰でも来てくれ」という段階は終わり、いよいよ出番だなと・・
「企業による支援も細ってきていませんか」という問に対して。
・・もちろん金額や人数の面で、太く短い支援から細く長い支援にシフトしています。しかし今でもキリン、三菱商事、ヤマト運輸など30社ほどが力強く支援を継続しており、これだけでもすごいことです。実は4年目に入り、自治体などの受け入れ態勢が熟し、企業は力を発揮しやすくなっています・・
支援企業と被災自治体とのミスマッチについては。
・・企業が自治体の方向性を見ずに、「何でもやりますから言ってください」では自治体としても、大変な状況の中で何を求めていいのか組み立てられません。逆に「こういう専門的な物資が大量にある」といっても、どう使っていいか自治体が判断できない。課題に合わせて提案することが必要で、地元の求めているプランと合うとすっと入れます。一方で、自治体には窓口の一本化を要望したいですね。ただ担当者を置けばよいということではなくて、地域のことを把握して、つなげる存在になってほしい。企業から話が来たときにまずその人に話をして、それだったら何々課があるとか、地域にあるNPOとつなぐとか、適切にマッチングできる。そういう存在がいると企業が来ます・・

明治維新と戦後改革の違い

粕谷一希著『粕谷一希随想集2 歴史散策』(2014年、藤原書店)、「思いつくこと 着想の面白さ」(p107~)から。
・・明治の歴史記述はずば抜けて面白い。それは維新という近代革命があって、日本の社会がガラリと変わったこと、幕末のころに日本の儒学、蘭学、英語が絶頂に達していたことによるのだろう。
米欧を政府使節について廻った久米邦武の『米欧回覧実記』は生々しく面白い・・
・・総じて敗戦後の日本よりも、維新直後の文章の方がはるかに面白い・・
・・要するに明治国家の当事者たちも、近代国民国家として欧米”列強”に対抗して独立を維持できるかどうか不安だったのだろう・・
私は、明治維新と戦後改革はともに大きな変革ですが、二つの間には緊張感の違いがあると思います。それは、政治指導者たちの危機感の違い(植民地になるかもしれないという不安vsアメリカの指導の下に独立を回復すれば良い)、構想力の違い(これまでのお手本である中華体制を離れ、何をお手本にするかを自ら選ぶ必要があったvsアメリカの指導に従っておれば良かった)だと思います。

Googleによる被災企業の支援活用実態調査、多くの企業が支援を受けていない

Googleと帝国データバンクが、9月4日に、被災企業支援の調査結果を発表しました。藤沢烈さんに教えてもらいました。
被災3県の企業730社を対象に、経営や業績、支援の活動状況について調査したものです。詳しくは調査結果をご覧ください。
そこでは、8割の企業が「震災後に外部支援を受けたことがない」と回答しています。「支援を受けたことがない」とした企業は、売上規模が小さくなるほど増える傾向にあり、その理由は「支援に関する情報がない」「人手がない」です。これは、産業復興に取り組んでいる者とにとっては、厳しい数字です。
売上規模が大きい企業が多いの方が、支援を利用しています。これは納得できます。ところが、支援の利用率が最も高いのは農業で、最も低いのは漁業です。これは意外でした。
活用した支援策は、製造業では、グループ補助金、事業復興型雇用創出助成金、ものづくり助成金、関連会社の指導です。卸・小売業、飲食店では、企業立地補助金、大学と共用研究開発、公的開発資金の補助、サービス業では、震災復興支援アドバイザー制度、被災労働者に対する緊急健康診断事業です。
支援を受けなかった理由は、次のようなものです。
・借金の返済に精一杯で、外部支援について知る機会がなかった。
・情報が入ってこない事には、こちらから調べる事もできない。
・外部支援の存在を知らなかった。
・多忙で人手も足りず、調べられなかった。
・高齢化の為、人材不足。そこまで手が回らなかった。

朝日新聞の記事取り消しとお詫び

9月11日夜に、朝日新聞社社長が、「吉田調書」記事を取り消し、謝罪しました。あわせて、慰安婦をめぐる記事撤回の遅れを謝罪しました。
部下が失敗した場合の上司のお詫び、組織が失敗をした場合の責任者の任務について、私もたくさん経験しています。このページお読みの方は、ご承知のとおりです(仕事の仕方3)。今回の朝日新聞の対応についても、考えることがありますが、それはまたの機会にして。少し違った観点から、述べておきましょう。
12日の朝日朝刊を見て、「天声人語」に違和感を感じました。天声人語は、1面下に載っている、朝日新聞の看板コラムです。その日の1面は、全面が記事の取り消しとお詫びの記事でした。ところが、天声人語は、沖縄の知事選挙についてでした。この取り合わせに、疑問を持ったのです。私が紙面編集責任者なら、このテーマでは載せなかったでしょう。
9月12日の紙面は、朝日新聞が続く限り、あるいは日本の新聞報道の歴史において、長く引用されるでしょう。いささか場違いなコラムとして残ることになります。翌13日の天声人語は、「痛恨事からの出直し」でしたが。
次に、12日の午後に、朝日新聞の紙面の議論に及んだ際に、ある人が「今朝の朝日新聞って、社説はどう書いていたっけ?」と質問しました。別の人が「そういえば、気がつかなかった。でも、1面の左半分が社長のお詫びだったから、あれこそが社説でしょう」と答えました。
気になって後で確認したら、実は社説は載っているのです。16ページに、シリア空爆と法科大学院についてです。これも、どうかと思いました。13日の社説は、「論じることの原点を心に刻んで」でした。
今回の検証とお詫びは、朝日新聞社にとっては大事件です。当日夜の紙面作りでは、大変なエネルギーと作業が必要だったと思います。しかし、この2つの文章を見ると、社としての方針徹底、あるいは社員全員に問題意識が行き渡っているのか。いささか疑問になります。