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次官就任

新聞報道でご承知の通り、昨日3月30日付けで、復興庁事務次官に就任しました。被災者の暮らしの再建と被災地の復興に向けて、さらに努力を重ねて参ります。これまでご指導やご支援をいただいた方々に、お礼を申し上げます。そして、引き続きのご支援をお願いします。
関係方面に、挨拶に伺わなければならないのですが。仕事も立て込んでいて、その合間を縫っての挨拶回りです。遅くなって、申し訳ありません。また、たくさんの方から、祝電や手紙をいただいているのですが、返事を書く時間が取れません。もう少しお待ちください。机の上には、いつも以上に、書類が山積みになっています。早朝出勤だけでは、片付きません。また、週末に片付けるのですかね。職員には「次官になっても、休日出勤を続けるのですか」と、牽制されています。
さらに職員たちからは、「岡本統括官、いや違った岡本次官が、自分で仕事を作るからですよ」と、さらに「私たちにも、次々仕事を作ってくれるから、こうして報告に来るのです」と、批判されました(苦笑)。復興庁という組織と仕事の特殊性から、仕方ないことと理解しているのですが。私の指示に答えて、次々と新しい仕事を片付けてくれる職員たちに感謝します。
(参考)竹下大臣記者会見、3月24日。恥ずかしいですが、記録のために転記しておきます。
・・岡本さんにつきましては、まさに復興庁の生え抜きといってもいい、あるいは根っこみたいな人でありまして、復興庁のことは全て岡本さんが知っておるという人材であります。また、政界やそのほかの官界、さらには被災地の市町村長・県知事等々との本当に強い人間関係を持った人物でありまして、これから復興庁の次官として、まず復興庁を取りまとめることはもちろんでございますが、外に向かっても大いに力を発揮していただけると、このように確信をいたしております・・

復興5年目、立ち止まって考える。NHK解説

紹介が遅くなって、申し訳ありません。3月21日0時過ぎ、わかりやすくいうと20日深夜、NHK解説スタジアムは、7人の解説委員による「5年目の復興、何が必要か」でした。4年経った現時点での問題点を、整理しています。いくつかの発言を引用します。詳しくは、原文をお読みください。

城本:この東日本大震災、三陸から太平洋岸の非常に広い地域にわたって被害が出たと。それから、福島では原発災害も起きたということで、地域によって非常に事情が違っているわけですよね、もともと。そこにですね、私は、この4年間の間に大量にヒト・モノ・カネを集中的に投入して、とにかくインフラから、いわば全面的に一気に復興していこうという、ここは一定の評価ができると思うんです。ただ、問題は、地域差、あるいは、被災者でも個々の被災者によって随分事情が違うということで、その地域、あるいは、その地域の中でも、人によって復興に差が出てきていると。格差といいますかね、違いが出始めてきていると。このことが非常にこれから問題になっていくと思いますので、これからは、そういった個々の事情に応じた、きめ細かな、言ってみれば、量的な復興から質的な復興へと変えていくという時期に来たんだと思っています

西川:ここまでの話でもインフラから住宅再建、それから経済の再建というところにフェーズが移りつつあるということが見えてくるようなんですけれども・・

城本:一言で言って、今、立ち止まって考える勇気を国や自治体が持たなければいけないと思ってます。どういうことかといいますと・・

関口:僕も、一度立ち止まって考え直してみるべきだ、という意見に賛成です。1つ問題提起したいのは、自治体が復興計画を立てるときに人口の見積もりをどうしていたのかということです。人口減少が今まで以上に進むんだということを前提にしてるかどうか、むしろ、人口を維持するような形で復興計画をつくっていて、現実がそれとかい離してきていますから、そこは少なくとも見直さなければいけないのではないかと思います。

城本:これは実はこの被災地だけの問題ではなくて、1度始めた公共事業は途中でやめられないとかですね、1度補助金をもらった事業は、それを途中でやめられないというのが今の日本の仕組みなんですね、この国の。それはもう通用しないということがわかったわけですよ。だから、辻村さんが指摘したように、まあ、最初はしょうがないですよね。必死で計画を作ってやるんだけど、しかし、ここでいろんな問題が見えてきたら、ここはやっぱり立ち止まって、本当にこのままでいいのか、縮小することもいいし、必要なお金を別なことに使うということもあり得ると思いますし、そういったことを、これは自治体が主体で考えなければいけないと。で、いまだにその見直しも霞が関主導でやるという仕組みになってしまっていると。ここを変えなければいけないと思うんですね。

早川:・・復興支援というのが、城本さんから霞が関で考えていると指摘がありましたが、本当にこれまでの支援というのが地域の自立に役に立ったのかどうかと、ここで立ち止まるというのはまさにその点だと思うんですね・・

関口:地元自治体に一部負担を求めるか、大きな論点になってくると思います。これまでの問題点として、1つは、全額、国が予算を持ってくれていることで本当に必要なもの以上に過大な施設や事業になっていないかということ。また、国に作ってもらうのはいいが、その後の維持補修は自治体の負担になっていくから、それに耐えられるかどうかということ。そういう意味では、見直す必要があるのではないのかなと思っています。というのも、自治体の地方自治という観点から考えてみたときに、住民が何を求めているかを探り、それに優先順位をつけていって、合意をつくるというのが自治体の仕事だと思うのです。ただ、今は予算があるから、その予算をかき集めるという形になってしまい、本当の意味の自治で、何が必要なのかの「合意をつくる」ということがおろそかになってはいないかということを心配しています。本来の自治の姿を取り戻すには、地元負担が入ることは1つの意味があると思っています。

早川:私は、やっぱり、被災した方からお話を伺っていると、やることがないのが最大の苦痛だって聞くんですよね。つまり、どんな小さなことでもいいから、自分に役割があって、仕事があるという状態というのが最大の心のケアになるんじゃないかなというふうに思います。そこは、自立的に自分たちが生きていく、生きがいというか、目的にもなるわけですから、そうしたものを作り出せるような、それは行政のやることではおそらくないと思うんですけれども、そうしたことを考えていくこと。

忙しい日々、ありがたいことです

先週もまた、怒濤のような1週間が過ぎました。国会審議があり、いろんな打ち合わせがあり、日中は電子メールを確認することすら難しかったです。放課後は、前もって予約していた異業種交流会があり、少々早朝出勤しても、書類が片付きませんでした。さらに、土曜日曜とシンポジウムに出席したので、週末も使えず。今日は、シンポジウムを途中で抜け出して、職場へ。東京でも桜が満開になったので、そちらに行きたかったのですが。
明日以降の準備は、職員たちがしてくれています。それらを確認し、最低限の準備だけをしました。また、忙しい1週間が、始まります。すみません、手紙や電子メールをたくさんいただきながら、返事を出せていません。しばらく勘弁してください。ここのところ読んだ本の感想も、このホームページで紹介しようと思いつつ、たまっています。そして、そのうちに時機を失して、関心が次に移ってしまいます。反省。

大震災・学術調査

今日は昨日に続き、日本学術振興会主催の「東日本大震災学術調査シンポジウム」に、東大(本郷)まで行ってきました。旧知の先生方と挨拶をしてきました。今回の大災害と復興を、研究者はどう見ておられるのか。私としても関心があります。社会科学系の学会を挙げて、多岐にわたる分野から、今回の大震災を分析します。盛りだくさんの報告がありました。社会科学の先生方を動員しての企画は、重要です。先生方は、「復興途中なので、執筆が難しい」とおっしゃいます。その通りですが、今まとめておかないと、時間が経つと書けなくなることも事実です。このような企画をしてくださった、村松岐夫先生、五百旗頭真先生ほか関係者の方に感謝します。この研究成果は、4月から順次、出版物として刊行されます。関係者の方は、ぜひお読みください。
2日間、先生方の報告を聞きながら、いろんなことを、考えました。私たち政府側が考えている「被害」や「復興」に対して、研究者から見るとどう異なるか。また、私たちが行った判断や行動は、正しかったか、適切だったか。耳の痛い検証や、私たちが手薄になっている分野の報告もありました。昨日今日と考えたことは、追って、このページでも書きましょう。仕事にも、反映させなければなりません。
ところで、公務員がある分野に長期間在籍する、あるいは出戻ることは、重要なのです。大きな災害が起きた時など、「かつてはこうだった」という経験は、引き継ぎ書や書物では得られません。また、その分野を自分のライフワークにすると、ふだんから研究書などにも目を通します。研究者とも顔見知りになります。このような「目に見えない」経験と蓄積が重要です。会場では、新聞記者の勉強する姿も見えました。しかし、公務員の姿が少なかったのが、残念でした。

大地変動の時代

3月28日の朝日新聞天声人語に、鎌田浩毅先生が出ておられました。
・・「大地変動の時代」が始まったと言って過言ではない――。火山学者で京都大教授の鎌田浩毅さんが近刊『地震と火山』でそう書いている。2011年の東日本大震災以後、日本列島はいつ、どこで地震や噴火が起きてもおかしくない「活動期」に再び入ったという・・