岡本全勝 のすべての投稿

AIは人に取って代わるか、3

AIは人に取って代わるか、2」の続きです。
『明るい公務員講座 仕事の達人編』で、パソコンの導入が職員の仕事を増やしたと、指摘しました(P57~)。

パソコンの導入が、なぜ省力化にならなかったか。作業を分解してみましょう。
パソコンで文書を作り、印刷します。文書を作る過程では、「内容の案を考える」「文章を練る」「レイアウトを考える」「文書にする」の4段階があります。

このうち、印刷作業は簡単になりました。業者や専門職員に依頼しなくても、自分でその場で印刷できるのですから。
しかし、「内容の案を考える」「文章を練る」「レイアウトを考える」は、機械はやってくれません。職員の頭で考えなければなりません。ここは、パソコンを導入しても変わりません。

第4段階の「文書にする」は、手書きの案を活字にしたり、きれいな図表にすることは、パソコンを使えば同時にできます。これだけなら、省力化になったはずです。
なぜ、残業を増やす結果になったのか。
「レイアウトを考える」が、くせ者なのです。活字の大きさや書体をどうするかに悩みます。もっといけないのが、パワーポイントでの図や絵の作成です。この作業にはまってしまうのです。あっという間に時間が経ってしまいます。

結論。思考は機械化できない。作業は機械に任せることもできる。
そして、「レイアウトを考える」といった「思考」と「作業」が混在すると、労働強化になることもあります。

勉強会講師「災害時の悲しみと怒り」

今日は、放課後に、官民中堅職員の勉強会に呼ばれて、話しに行ってきました。
話題は、「大震災の際の悲しみと怒りにどう対応するか」です。
これは、なかなか難しい題です。私は、被災現場にしょっちゅう行きましたが、現場に長くいたわけではありません。当事者でないので、悲しみと怒りは、本当のところはわかりません。
しかし、住民や市町村長から、話を聞いたり、突き上げを受けました。特に、原発事故について、被災者からの政府への怒りを受け止めることは、ずっと続けています。

これまで、その場その場でいろんなことを思ったのですが、じっくりと考えたことはありませんでした。「行政の外の話だろう」とです。
悲しみにくれる被災者を、どのように支援するのか。怒りを抑えられない被災者に、どのように対応するのか。「町の復興の3要素」に入っていない要素です。
もちろん、人の心に行政が立ち入ることは難しいです。参考「現代の宗教事情
行政への怒りにどう対応するかは、行政の課題そのものです。
今回、話をするために、論点を整理しました。すると、改めて、大きな課題であることに気づきました。いずれ、説明しましょう。

ところで、私が「仕事」をしている時間に、肝冷斎は、今日も神宮球場でお楽しみだったようです。

霞が関の民間出身者

NHKウエッブニュース「霞が関のリアル」に「民間人がたくさんいる」という趣旨の記事があります。内閣人事局の調べでは、昨年は5,890人だそうです。12年前に比べて、2.5倍になっています。

民間出身者には、いくつかの型があります。
民間出身と言っても、
・企業に籍を残して来てもらう場合
・民間人を採用する場合
があります。

期間については、
・途中採用で終身雇用
・任期付き採用

業務については、
・専門業務(金融や法務の知識、インターネットのセキュリティ対策)。新人を育てるより、その能力を持っている人を雇う方が合理的です。
・期限が限られている組織や業務(復興庁、オリンピック準備)。業務が終わったら、やめてもらわないと行けません。

このような理由から、今後も民間出身者は増えるでしょう。自前で養成するより、ずっと合理的です。また、霞が関が閉じた世界にならないために、官僚たちが世間知らずにならないためにも、良いことだと思います。

ところが、次のような指摘もあります。企業から出向した佐藤さん(仮名)の場合です。
・・・「あまりに過酷で、体調を崩す人もいました。出向者の間では、『出向期間、残り○日間』とパソコンで残り日数を数えるなんてこともしていました。出向期間中、給与は国から支払われましたが、私の場合は月10万円ぐらい下がっていました。当時は独身だったのでまだよかったですが、家族がいたらどうするんだろうと思いましたね」
佐藤さんが2年余りの出向を終えて本社に戻ると、会社は元の給与との「差額」を補填(ほてん)しました。その額は500万円以上だったそうです・・・

そうなのです。金融庁や経産省などに、弁護士さんがたくさん、任期付きで採用されています。給料が激減するのだそうです。でも、「勉強になる」「箔がつく」「その後の仕事に役に立つ」などの理由で、3年程度を辛抱しているとのことです。
公務員の給料水準は民間企業に準拠しています。しかし、それは、全体での比較のようです。高度専門業務をしている企業の社員と、同等の仕事の公務員とは、同水準になっていないのです。公務員の給料が「平等」になっているからだと思います。
企業の社員と公務員との給与格差は、上に行くほどひどくなります。官民交流を進めていますが、管理職や50歳くらいだと、優秀な民間人は公務員になろうと思わないでしょう。よほど、犠牲的精神がない限り。
参考「次官・局長の報酬と社長・専務の報酬

AIは人に取って代わるか、2

AIは人に取って代わるか」の続きです。
機械化という観点からは、人間の労働には、2種類のものがあります。
一つは、他人に言われたこと、特に指示の通りに処理することです。ここでは、「作業」と呼んでおきましょう。
もう一つは、自分で考えることです。企画や判断です。ここでは、「思考」と呼んでおきましょう。

機械やロボット、AIが取って代わるのは、「作業」です。肉体作業、単純作業から始まりました。機械化ということです。
さらにコンピュータが発達し、前例通りに処理するようなことなら、「判断」もしてくれます。東大入試も、決められた範囲の知識を前提に問が作られているのですから、機械が正解を書くようになるでしょう。
アルバイトに任せることができる仕事、特に学生アルバイトに任せることができる「非熟練」作業は、ここにいう作業です。判断が必要だとしても、型にはまった判断です。だからこそ、初心者に任せることができます。
「判断」と聞くと、頭脳の作業と思いますが、決められた条件で決められた選択肢を選ぶのなら、それはここにいう「作業」と同じです。
それと、これまでに無いことを考える「思考」とは、別にしておきましょう。

これまでにないことを考えること「思考」は、機械やコンピュータは苦手でしょう。
ここで言う「思考」は、これまでにないことを考えることですから、前例をどれだけたくさん入力して処理しても、できません。いくらビッグデータになっても、これは変わりません。計算の精度が高くなるだけです。
これまでにない案は、計算から言うと「誤答」なのです。
この項続く