岡本全勝 のすべての投稿

台風21号

今朝、超大型の台風21号が関東を縦断し、太平洋に抜けていきました。日本全国に大雨を降らし、各地で被害が出ています。
今日は福島市で勤務する日なので、新幹線が動くが心配していましたが、通常通りの運転でした。在来線が止まっています。新幹線の強さが見えました。路盤などが安全なのでしょうね。
鉄橋を渡る際に見えた荒川や利根川は、茶色の水が満々と流れています。ふだんはゴルフ場や運動場になっている河川敷は、水没していました。
福島県内では、まだ稲刈りが終わっていない田んぼがあります。週末に稲刈りしようとしていたのでしょうか。雨で刈り取りできないうちに、この大雨で倒伏しています。
10月下旬にこんな大きな台風が来たり、夏の長雨や毎週末の雨と、困ったものです。

商工中金事件、奇妙な論理

商工中金事件の続きです。社長が命じた特別調査の際に、コンプライアンス担当は奇妙な論理で、隠蔽してしまいます(要約版p16以下)。はしょって紹介しますので、原文をお読みください。

不正融資をするために、貸出先の数字を改ざんしました。その際に、決裁に付け判断の材料とする「顧客名義の試算表」を、担当者が自作したり改ざんしたことが、私文書偽造罪に当たるかが問題になりました。弁護士に相談して、次のような回答を得ます。
①顧客名義の試算表について、「商工中金作成(名義)資料」(=商工中金内部資料)と認識して作成していた場合、故意がないため、私文書偽造罪は成立しない。
②試算表の自作について「顧客の承諾を得ていたと思っている場合」や「顧客の承諾を得られると思っている場合」には、故意がないため、私文書偽造罪は成立しない。

簡単にいうと、「顧客の資料を改ざんしたのではない、会社の内部資料なので」という理屈のようです。これで、不正ではないと結論づけるのです。
問題は、事実に反した顧客の経営状況(数字)に基づいて融資をしたかどうかです。しかし、それを私文書偽造罪に矮小化して、それには当たらないと判断します。
う~ん、知恵者なのか・・・。

商工中金事件、職場の空気の支配と「性弱説」

商工組合中央金庫での不正融資が、大きな問題になっています。4月25日に、第三者委員会が調査結果を公表しています。興味深いことが載っているので、紹介します。引用には「要約版」を使います。

今回問題になっている不正融資は、リーマン・ショックや大震災の際に、一時的に経営危機に陥った中小企業に、特別な融資をするものです。国費による利子補給があり、倒産した場合も国費で補償(穴埋め)します。ところが、要件に該当しない事業者にも貸し出したことが問題になっています。その際に、担当者が貸出先の試算表を自作し、数字を改ざんしたのです。

その背景として、「過大なノルマ」が指摘されています(p30)。そして、声を上げない現場という企業風土が指摘されています(p32)。改ざん行為に手を染めなかった担当者について、次のように記述されています。
「○○さんは、“自分はそういうのは嫌いだから”といって改ざんをしなかった。でも割当がこなせずに上長から“話が違うだろ”“ふざけんな”と怒鳴られ、干されていた。
自分たちは“改ざんすれば怒られなくて済むのに”“正直者がバカを見る”“要領が悪い”という見方をしていた」

そして、不正を疑った社長が、特別調査を命じます。ところが、奇妙な論理と職場ぐるみで、隠蔽してしまいます。これについては、別に書きましょう。
職場ぐるみでの隠蔽にあたっては、「空気の支配」「決断なき実行」も指摘されています(p38)。
「上から、“不祥事にするな”とは言われていない。ただ“不祥事にしたくないよね”という雰囲気は組織全体にあった。“不祥事にならないといいよね”“できればしたくないよね”“そのためには努力もする(試算表を客先から新たにもらう)”という空気感はあった」
「はっきり誰かと話したのではないが、資料のやり取りも、要件確認にあたるのも同じ空気。上から(もみ消せと)言われて、もみ消さねば、となったのではなく、空気で“これはまずいよね”とみんなが感じた。なんとなくそうなっていた」

「空気の支配」「決断なき実行」は、旧日本軍の太平洋戦争開戦を思い出させる言葉です。
報告書は、また、「性弱説」という言葉を作っています(p46)。
・・・商工中金の内部統制は、不正リスクの存在を前提とせず、「性善説」に立った内部統制であったということができる。その背景には、やはり過度の「同質性」があり、同じ組織の中で生きていく身内に疑いを抱くようなことはできないというメンタリティが垣間見える。
しかし、「性善説」に立った内部統制の失敗が今回の事態を招いたことは明らかである。とはいえ、「性悪説」に立つことが商工中金に相応しいとも思えない。
そこで、「性弱説」、つまり職員は元来弱い存在であり、不正のトライアングル(①動機ないしプレッシャー、②機会、③正当化理由)が揃うと弱い社員は不正に走ってしまうので、不正のトライアングルが揃うのを阻止し、弱い社員を不正に走らせない施策を講じることが必要である、という考えに立脚した内部統制を確立すべきである。
これなら、商工中金の役職員のメンタリティにもマッチし、身内から不幸な職員を出さないための施策として納得しながら進められることが期待される・・・
「性弱説」という言葉とこの指摘は、多くの職場で活用できるでしょう。

ウーバー。便利さと安心を支えるスマートフォンの機能

10月17日の日経新聞夕刊「窮地のイエローキャブ」を伝えていました。ニューヨークで、タクシーの乗客より、ウーバー利用者の数が多くなったのです。
ウーバーは、スマートフォンを利用した、タクシー配車の仕組みです。と言っても、アメリカでは車はタクシーでなく、一般の乗用車が使われます。すなわち、普通の自家用車と運転手が、有料で客の送り迎えをするのです。

私も、この夏にアメリカに行った際に、利用しました。私はスマホを持っていないのと、使い方が分かりません。現地の同行者が、送り迎えに使ったのを見ていました。彼がスマホに、今の場所と行きたい場所を入力すると、しばらくして、引き受けたい運転手から応答があります。金額も表示され、明瞭です。
「危なくないのか?」と聞きましたが、運転手も登録されていて評価も受けるので、そんなことはできないとのこと。支払いもスマホでするので、現金の受け渡しもありません。ぼったくりも、取りはぐれもなく、客も運転手もお互いに襲われる心配もありません。
「これだと、そのうちにタクシーは、一部を除いてなくなるのではないか」というのが、私の感想でした。アメリカでは、タクシー免許がなくても一般の人が有料の送迎をできます。普通のおじさんが、空いた時間でアルバイトをしているのです。タクシー業界と競合します。その実態が、冒頭に紹介した記事です。

スマホという機能が、申し込み、応答、支払いという手続きだけでなく、「安全の保障」を支えているのです。
これに似たものとして、自転車シェアリングがあります。これも、借り主が必ず借りた自転車を返すことや支払いを、スマホが保証しているのです。いちいち窓口に行って会員登録をしたり、保証金を事前に納めたり、利用に応じて現金で支払ったりする必要がありません。ほかの事業にも広がるのでしょうね。

永守社長、続き

10月18日の読売新聞経済面、永守社長のインタビューの続きです。
・・・一時期、「灘高ー東大ーハーバード大」に象徴される「きら星」のような人材を採った。残念ながら幻想だったね。創業以来6000人を採用してきたが、学歴と仕事の成果に相関関係はない。だから教育だ。教育で人はガラッと変わる。
ただね、時間で働く方が楽だと思う。残業ゼロは楽をさせるためじゃない。あくまで飛躍への手段です。
これまでは能力が劣る人も長い時間働けば戦えた。しかし、もう延長戦(残業)はない。世の中の受けはいいけれど、社員は生産性を倍にする方がきついよ・・・
原文をお読みください。

次のようなことも。
・・・倒産しそうな会社は原因がある。職場が汚いとか、社員同士あいさつしないとか、資材を高く買っているとか、役員が平日にゴルフしているとか、共通点がある。それを改善することが大事です・・・