岡本全勝 のすべての投稿

4月も下旬です。

早いもので、4月も、もう23日。新人さんは、学校でも職場でも、慣れることができたでしょうか。また、当初の緊張の時期を過ぎ、疲れが出てきた頃でしょうか。
今週が終われば、大型連休です。もうひとがんばりしましょう。

私は、大学の授業が、軌道に乗りつつあります。最初は手探りだったのですが、学生たちの反応が良く、気持ちよく話が進みます。授業は、教師だけでなく、学生との「対話」でなり立つものです。いくら良いことを話しても、反応が悪ければ、良い授業とは言えません。
出席カードに、感想や質問を書いてもらうのですが、これは良いコミュニケーションがとれます。「このような質問をするとは、授業を良く理解しているな」「こんなところが分からないんだ」とです。適確な質問が書かれていると、うれしいですね。次回に「こう答えよう」と、回答を考えています。

回を重ねることで、生活の型ができつつあります。とはいえ、準備が大変なことには、変わりはありません。
拙著『明るい公務員講座』では、「その日にすることを、その日の朝に考えていてはダメ。前日に、翌日することの予定を立てること。1週間の計は、前の週の金曜日にあり」とお教えしました。
毎週2コマの講義を持つと、それでは追いつきません。2週間先の予定を考えながら、準備をしています。

社員のやる気をどのように高めるか

4月17日の日経新聞経済教室は、若林直樹・京都大学教授の「社員のやる気 どう高める」でした。
「企業の人事管理にとって、社員の「やる気」を高める取り組みは最重要の課題だ。ところが国際比較調査を見ると、日本企業の社員が会社の仕事に対して示すやる気は欧米よりも低く、アジアの中でも劣る。やる気を表に出すことをはばかる文化が日本人社員にあるためなのかもしれないが、社員のやる気が高く示されないことは大きな経営課題だろう」として、現在の代表的な4つの論点が示されています。
1 金銭的報酬。しかし限界があり、社員がそれぞれ求める幸福のあり方に配慮して報いる方が、動機づけには効果的である。
2 社員が会社の職務に積極的に関わる要因に注目する「ジョブ・エンゲージメント」。具体的には、(1)会社との価値観の適合の高さ(2)職務に対する会社の支援の多さ(3)職務に自分がふさわしいと考える自己評価の高さ。
3 会社側から社員への業績評価のフィードバックのタイミング。タイミングが適切であれば社員がやる気を高めるという見方で、社員が良い仕事をしたならば、できるだけ早い時期に的確に評価内容を本人に伝えるのが良いというもの。
4 個人的成果主義によって損なわれがちな「チームワーク」に対する動機づけ。個人の動機づけも大切だが、チームや組織に貢献する意欲を社員が高く持つことを重視する。

連載「明るい公務員講座・中級編」第20回で、「意欲を持たせる指導」をお話ししました。仕事の出来の悪い職員をどう指導するか。彼ら彼女たちに欠けているのは、技能ではなく意欲です。意欲を持たせるにはどうすれば良いか。
一つは、仕事を面白いと思わせる。達成感、満足感を持たせることです。
二つ目は、褒めることです。
三つ目は、みんなと一緒に仕事を進める一体感を味わってもらうことです。
そして、やりがいの与え方について解説しました。(金銭的報酬は、公務員の場合はボーナスに反映されますが、飛び跳ねてもらえるるということはありません。出世によって、長期的に差がつきますが。)

私が書いていることと、世界の研究者の最先端議論は、ほぼ同じなのですね。私のは経験で得たことです。理論的に説明されると、難しそうに見えます。しかも、私の文章は、わかりやすいでしょ。
「何か私の知らないことが書いてないか」と、勉強のために読んだのですが。自説について安心するとともに、自信がつきました。

企業の復興CSR、意識調査

4月20日の河北新報が、「復興CSR89%意欲」を伝えていました。企業の意識調査結果です。
・・・東日本大震災の復興支援で活発に展開されたCSR(企業の社会的責任)活動について、河北新報社は仙台経済同友会(仙台市)と公益社団法人経済同友会(東京)の協力を得て、企業意識調査を実施した。復興支援を実践した企業は全体の9割で、このうち被災地との関係を続けたいとの回答は89.2%に上った。復興支援を自社が取り組む長期的な課題と位置付ける姿勢がうかがえた。
復興支援に関わった企業は仙台82.3%、東京94.9%。被災企業が多い仙台に比べ、震災前からCSRの態勢を整えていた大企業が多い東京が目立った。このうち、現在も支援を継続する企業は72.5%(仙台67.7%、東京76.0%)だった・・・

CSRへの影響は、「被災地との関係強化」「ブランド価値向上」のほか、「従業員の忠誠心・会社への一体感」や「企業理念の再確認」をあげる企業もあります。理念を述べるだけでなく、体を動かすことで社員に浸透すると思います。震災でCSRへの意識が変わったという企業が半数あります。社会との関わりを強められるという企業が多いです。
CSRを推進するために必要なことは、従業員や株主の理解とともに、自治体・NPOとの連携、コーディネーターの存在もあげられています。「解説記事」「解説2」、調査結果と方法は紙面p5に載っています。

企業は近年、CSRに力を入れるようになりました。平時の活動は目立たないのですが、災害支援になると役割が大きくなり、注目されるとともに企業にも効果があるのでしょう。原文をお読みください。

公文書館、憲法の展示

国立公文書館で、春の特別展示「誕生日本国憲法」を見てきました。
今回の「売り」は、日本国憲法の原本が展示されていることです。いつもは、複製が展示されています。現憲法が、どのような過程をたどって制定されたか。内閣、GHQとの関係などは、学校でも習いますが、その記録が展示されています。
それらの解説は、展示と図録(これはよくわかります)をご覧いただくとして。私が興味を持ったのは、次の点です。

昭和21年3月4日、GHQから日本側に草案を早く出せと督促があり、松本烝治大臣と内閣法制局幹部が草案を持っていきます。説明の過程で、どうやら腹を立てた松本大臣が帰ってしまい、佐藤達夫・法制第一部長がその場で草案を英訳し、逐条審議します。松本は1877年生まれ、当時69歳。佐藤は1904年生まれ、当時42歳で元気があったのでしょうね。
占領軍対敗戦国。対等な議論にはなりません。しかも、天皇制を廃止し、民主主義への大改革です。彼らの苦悩は、察するにあまりあります。そして、当時は食糧難、食糧メーデーは、昭和21年5月のできごとです。きっと、お腹をすかせて、占領軍に説明したのでしょうね。

2月15日付けで、白州次郎がホイットニーに送った、英文の書簡があります。そこに、絵が描いてあります。占領軍が求める目的地と、日本が考えている目的地は同じである。しかし、占領軍は飛行機で一足飛びに目的地にたどり着こうとするのに対し、日本はいくつもの山の間をあたかもジープに乗って乗り越えて進むのだというのが、絵で描かれているのです。
国内の政治情勢から、そんなに簡単に憲法改正が進まないことを、理解してもらうべく、書かれたものでしょう。長々と文章を書くより、この方が効果があったのではないでしょうか。もちろん、文章でも、改正を進める際に何が問題で何が必要かを述べているのですが。

天皇の文書が、漢字カタカナの文語体から、漢字とひらがなの口語体になります。文章の最初の字が一画下がり、句読点が打たれるようになります。そして、「朕」が「わたくし」になります。
驚くのは、それら原本の紙の質の悪さです。物資が不足していたことを物語っています。即物的な感想ばかりで、申し訳ありません。

入場料無料、5月7日までです。皇居のお堀の桜は八重桜がきれいです。皇居東御苑(江戸城本丸跡)も見どころです。ここは案外知られていない、観光名所です。ここも無料。公文書館の前の平川門が便利です。帰りは大手門から出れば、東京駅にも近く、良い散歩コースです。一緒にご覧ください。

慶應義塾大学、地方自治論第3回目

今日は、大学で地方自治論第3回目の講義。
前回の授業で、日本国憲法は、国にあっては議院内閣制をとり、地方公共団体にあっては大統領制をとっている。諸外国の例も引きながら、地方公共団体でも、議院内閣制をとることができるように憲法を改正するべきだと、私の主張を述べました。
昨日の衆議院憲法審査会で、斎藤誠・東大教授が同じ意見を述べておられます。今日はその新聞記事を元に、おさらいをしました。国会で議論されている、新聞記事を元に解説をする。学生には、興味を持ってもらえたと思います。

今日の授業は、統治の分割についてです。学校では「三権分立」を習いますが、これは日本国憲法が定めている一部です。
日本国憲法は、まず国と地方公共団体に、権力を「垂直的」に分権しています。そして、国にあっては立法・司法・行政に「水平的」に分権し、地方公共団体にあっては立法と・行政に「水平的」に分権しています。

小レポートを課しました。大型連休中に勉強してもらうためです。提出は連休明けにしてあります。
課題は、ゆかりの自治体の首長の施政方針演説などの中から、政策を一つ取り上げ、その概要とそれについて意見を述べることです。
インターネットで、自治体首長の主張を、簡単に見ることができるようになりました。しかし、学生にとっては、それを調べるのは、初めてのことでしょう。そして、首長の施政方針を読むことも。「東京都知事の場合」。
あわせて、レポートでは、その政策について、自分の頭で考えてもらうことを求めています。

本の読み方指南で、「書評が役に立つ」とお話ししました。例えば『東大教授が新入生にすすめる本』(2016年、東京大学出版会)は、学生にはちょうど良い読書案内でしょう。
授業で紹介した出版社のPR誌は、東大出版会『UP』、岩波書店『図書』です。年間千円ですし、大きな本屋ではただでもらえます。

今日も85人が、出席しました。出席カードには、様々な反応が書かれています。学生の関心や理解度も分かりますし、適確な質問もあって、手応えを感じます。その反応を踏まえて、来週も突っ込んだお話をしましょう。