中間貯蔵施設のいきさつ

朝日新聞デジタルに、大月規義編集委員の「土壇場で消えた「最終処分場」 環境省が模索した事情」が載っています(8月4日掲載)。

・・・東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から来年で丸10年を迎えるのを前に、最近、これまで取材してきた政治家や官僚らを改めて訪ねている。その中で、びっくりな裏話を聞くこともある。たとえば、福島県の双葉、大熊両町で整備が進んでいる汚染土壌の「中間貯蔵施設」。公になる寸前まで、最終処分場とする動きがあったという・・・
・・・官僚経験者のA氏が「2011年8月26日」にかけた電話の内容から解き明かす。菅直人首相が福島県庁を訪れ、佐藤雄平知事と会談する前日だった。
「あすは何を福島側に提示する?」。電話の相手は、会談を仕切っていた経済産業省の幹部だった。「ローキー(控えめ)でやるよ」。それしか教えてもらえなかった。妙な気配を感じたまま電話を切った。
当日。菅首相が佐藤知事に申し出た。「汚染物質を適切に管理、保管する中間貯蔵施設を県内に整備することをお願いをせざるを得ない」。A氏は仰天した。
処分する施設の頭に「中間」と付くとは、「まさに寝耳に水だった」という。環境行政に詳しいA氏が理由を説明する・・・

・・・国は14年に法律を改正し、汚染土を施設に搬入し始めてから30年後の2045年までに、県外に運び出すと定めた。「中間」と名付けて問題を先送りしたが、搬出のタイムリミットまであと25年だ。しかも搬出先を探すのは、先送りを仕掛けた張本人の経産省ではなく、環境省の役目になっている。
中間貯蔵施設に入る汚染土は、東京ドーム10個分を超える量だ。環境省は県外搬出を前に、土砂を分別・減容し、安全な土砂については公共事業用の土砂などに再生利用しようとする。だが、きれいになった土であっても、受け入れ先を探すのは難航している・・・

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そんな事情だったのですね。良く取材した記事です。9年が経って、記憶が薄れると同時に、当時の実情を話す人が出てきたと言うことでしょう。私は発災後しばらくは、地震津波対応が職務で、原発事故は所管ではありませんでした。なので、詳しい事情は知らないのです。
私が経験したことは、緊急災害対策本部被災者支援チームと復興庁のホームページに残し、また本にまとめました。原発事故対応の方は、ホームページもなく(原子力災害本部の会議録だけで、その事務局のホームページがないのです。問い合わせ先もありません)、関係者による記録も見当たりません。これだけの事故、そしてこれまでにない対応をしたのですから、当事者は記録を残す義務があると思います。