1960年代との意識比較

5月29日の読売新聞が、「変わる仕事・人生観 高齢化 家族に影響…本社世論調査 1960年代と意識比較」を載せていました。前回東京五輪直後の1964年12月調査、1968年調査と、現在との比較です。ちなみに勤労世帯収入は1964年の月収6万円から59万円になり、月の労働時間は196時間から145時間に減っています。平均年齢は29歳から46歳に上がり、高齢者の割合は6%から28%に増えました。

・・・読売新聞社が実施した社会意識に関する全国世論調査(郵送方式)では、前回東京五輪が行われた1960年代と比べ、人生観や親子関係などに大きな変化が表れた。生活水準については、「中流」とした人の割合にほとんど変化がなかった。今日まで半世紀余りの間、経済的繁栄や高齢化の進行など、社会や家族のありようが大きく変容した中で、国民意識が変わった点、変わらなかった点を分析した・・・

連載「公共を創る」で、日本人の意識の変化を議論しています。私が主に使っているのは、内閣府の調査とNHKの調査です。この記事も、参考になります。もっとも、ほぼ常識になっていることが多く、びっくりすることはないようです。詳しくは原文を読んでいただくとして、特徴的なことをいくつか。

自分の生活水準を9段階で回答してもらうと、「中の中」が29%、「中の下」24%、「中の上」19%で、中は合計72%。1964年では「中の中」42%、「中の上」と「中の下」が各16%で、合計74%でした。
多くの人が中と回答していることに変化はありません。中の中が、42%から29%に減り、中の下や下に移っています。まだ貧しかった昭和39年に、多くの人が中と答え、しかも中の中と答えています。

人生観は、「コツコツやる」が53%から29%に減り、「好きなことをやってみる」が4%から16%へ、「迷惑をかけないようつつましく」が14%から26%に増えています。
「老後の親の世話は誰が行うべきか」について、1968年では「長子が行う」が37%、「きょうだい全員が行う」が30%でした。現在では「長子が行う」は4%に減り、「きょうだい全員が行う」が50%になりました。ここには、家族の形・同居や相続の変化が背景にあるのでしょう。
隣近所との付き合いは、1968年に比べ「会えば挨拶を交わす程度」が36%から70%に増え、「困ったときはお互いに手伝う」が31%から6%に、「家を行き来する程度」が19%から6%に減りました。
東京五輪の際に外国人に見てもらいたいものでは、1964年調査で見られて恥ずかしいとなっていた「清潔度やマナー」が、現在では見て欲しい方に上がっています。