中井英雄ほか著『新しい地方財政論』

中井英雄、齊藤愼、堀場勇夫、戸谷裕之著『新しい地方財政論 新版』 (2020年、有斐閣)が、出版されました。10年ぶりの改訂です。若かった先生方も、重鎮になられています(当時も重鎮でしたが)。

コンパクトながら、バランスよくできていますよね。地方財政の標準的教科書といえます。これだけの内容を、この大きさにまとめるのは、なかなか難しいです。著者は、「欲張った」内容とも言っておられますが。
かつての理論重視の教科書と違い、制度、経営、理論、実証という4部構成は、優れものです。学生や自治体職員には、このような構成がふさわしいでしょう。地方財政も、現場での課題や運営が、どんどん新しくなっています。それを入れた内容です。公務員の皆さんにも、お勧めです。

中井先生に「ヤードスティック方式」を教えていただき、交付税の算定に反映させたことが懐かしいです。小生は、地方財政どころか、地方行政から離れて久しく、先生方の議論について行けません(反省)。
地方財政は、自治体現場、制度設計の総務省、研究者、マスコミの専門家などが噛みあった議論ができる、優れた「政策共同体」をつくっています。そのような政策分野って、意外とないのです。
今後とも、これら4者共同による、建設的な議論を期待します。