自治体による認知症事故保険。民間活用

12月26日の朝日新聞1面は「認知症の事故補償、広がる 自治体、保険料肩代わり」でした。
・・・2025年には認知症の高齢者は約700万人に増えると見込まれる。「認知症になっても安心して暮らせる街」への壁になるのが、賠償責任が問われるような万一のトラブルや事故のリスクだ。本人や家族の不安を軽減するため、民間の保険を使った事故救済制度を独自に導入する自治体が増えている・・・

・・・2017年11月に神奈川県大和市が全国に先駆けて導入し、18年度に5市町が続いた。19年度に自治体数は急増した。
神戸市は個人市民税引き上げ(1人400円)で年約3億円の財源を確保、新たな認知症支援策を打ち出した。このうち事故救済制度(賠償責任保険+被害者への見舞金)は4月運用開始。賠償責任保険の申込数は8月までに2893人。市によれば「他人の自転車を壊した」「店舗を汚した」などで3件の支給(約9700円~約13万8600円)があったという・・・

・・・認知症の人の事故の補償について検討した関係省庁による連絡会議は16年、「ただちに制度的対応を行うことは難しい」として、公的補償創設を見送った。こうしたなか、認知症の人や家族が安心して暮らせる街にするため、独自の補償制度導入に踏み切る自治体がでてきた・・・

官と民とで垣根が低くなっていること、協働することの例です。このうち、神戸市の事例はこのホームページでも取り上げました。

保険は、個人では負担できないリスクの被害を、大勢で負担しようとするものです。火災保険や自動車保険は分かりやすいですね。みんなに関わるものとして、健康保険、年金保険、介護保険もあります。民間会社によるもの(火災保険など)、政府が制度を決めて民間が運用するもの(自動車保険など)、政府が運用するもの(介護保険など)があります。
その点で、政府は究極の保険です。健康保険、年金保険、介護保険、失業保険などのほかに、生活保護や災害時の救助など、困った人を助けるのが政府の役割です。税金という「保険料」によってです。現在連載中の「公共を創る」では、詳しく解説しようと考えています。