憲法破壊勢力となった護憲派

東大出版会PR誌『UP』10月号、井上達夫先生の「立憲主義を救うとは、どういうことか」から。
1997年の朝日新聞に載った鶴見俊輔さんのインタビュー「憲法改正に関する国民投票を恐れてはいけない。その機会が訪れたら進んでとらえるのがいいんじゃないか」を紹介した後。

・・・公正な政治的競争のルールの支配に権力抗争を服せしめる企てとしての法の支配と立憲主義の要請は、立法闘争だけでなく憲法闘争にも貫徹されなければならない。日本国憲法は、憲法闘争を公正に裁断するルールとして、九六条で憲法改正手続きを定めている。改憲派のみならず護憲派もまた、九六条の憲法改正プロセスに従って、九六条を改正すべきか否か、いかに改正すべきかについて国民投票により国民の審判を仰ぐ責任がある。
しかし、護憲派は「負ける試合はしない」とばかり、九六条のプロセスの発動自体に反対し、挙げ句の果て、「国民投票」自体を「危険なポピュリズム」として糾弾しさえしている・・・

・・・いまの護憲派は政治的御都合主義に開き直り、この要請(法の支配と立憲主義の要請)をまったく無視している。それにより、護憲派は残念ながら、いまや「憲法破壊勢力」に変質してしまっている・・・