政治をどう循環させるか

10月13日の読売新聞、五百旗頭薫・東大教授の「安倍1強後を読み解く 政治の循環 首相の責務」から。

・・・政治の歴史をどう理解し、未来をどう考えるか。私は「循環」がキーワードになっていくと考えています。一方向に良くなったり悪くなったりするのではなくて、複数の政治のあり方をうごめくようなイメージです。
この概念で日本政治を見ると、長期的には三つのフェーズを循環する可能性が高いと思います。今のような「自民党優位」と政権交代を含めた「複数政党の競合」、自民党が崩壊して他党もうまく機能しない「空位」です。
空位は暗い見通しであり、避けなければいけませんが、一番まずいのは循環を止めることです・・・

・・・安倍首相は比較的安定した政治基盤の下で中央省庁を強力に束ね、意欲的な外交を行っています。ただ、後継者を育てて「自民党優位」の状況をうまくつなげていくという循環のための準備は十分ではありません。野党は「多弱」なので、自民党が混乱し支持を失えば、「大空位時代」に行き着きかねない困った状況です。
野党が弱いと、政権内の緊張感は維持できません。首相は後継者だけでなく、野党も育てなければいけないと思うんです。国会で反論の機会を与えて、より実質的な論争をする。衆院解散権の行使は自制して野党に政策を練らせて論戦する。それくらいの度量が必要だと思います・・・