原発被災地での新たな農業参入

東北農政局の「震災復興室だより」9月号は、被災12市町で新たに農業をはじめた方の特集です。
詳しくは、それぞれの記事を読んでください。皆さん、厳しい条件の下で、頑張っておられます。

ここでわかることは、園芸作物には技術が必要で、米作りには大規模化が必要だということです。
かつての農業は、農家の息子が、田んぼとともに親の後を継ぎました。そして、受け継いだ農地で米を作ったのです。しかし、この半世紀の間に、大きく様変わりしました。稲作は生産効率が上がり、また相対的に価格が下がったので、昔ながら小規模農家では食べていけません。稲作で食べていくなら、大規模化が必須です。家業から事業に転換する必要があります。
他方で、園芸作物は高く売れます。しかし、片手間仕事でできる稲作と違い、技術、資本、そして毎日の労働が必要です。簡単な作業ではないのです。

毎年の新規営農者は、とても少ないです。家業を子供が受け継ぐという旧来の意識では、成り立たなくなっています。ここに、日本の農政の失敗があります。
事業として、従業員を雇って経営するという、発想と仕組みに変えていく必要があります。この半世紀に、日本が経験した「社会の転換」の一つの要素です。そして、手当てが遅れました。
家業から事業への転換が必要だということは、商工業でも同様です。商店街の個人営業の店がなくなり、チェーン店に変わっているのです。