一人暮らしの高齢者を支える、フィンランド。その2

高橋絵里香著『ひとりで暮らす、ひとりを支える』の続きです。

本では、ディアコニという職業が紹介されています。フィンランド福音ルーテル派教会にある職です。社会サービスや援助活動をします。社会サービスの学位や看護の学位を持っています。

町のディアコニの事務所は、月曜から木曜の朝9時から10時が対応時間です。やってきた人たちは、椅子に座って順番を待ち、その日の担当者と話をします。
人生の悩みを打ち明けに来る人、血圧を測りに来る人、食料品をもらいに来る人など。どんな内容であれ、助けて欲しいことがあれば、ディアコニが相談窓口になっているようです。
血圧を測りに来る人も、食料品をもらいに来る人も、話し相手が欲しくて、それを理由に来ているようです。

福祉国家が成立する前は、地方でその役割を果たしていたのは、教会だったのです。医療などの身体的必要は行政が担うようになって、ディアコニは精神的、社会的支援を担うようになったのです。
前回紹介した、どのように死を迎えるかとともに、経済的支援と身体的サービスの次に求められるのは、このような精神的、社会的支援でしょう。
これをどのように実施していくのか、日本の行政の次の大きな課題だと思います。