現代の宗教事情

岩波書店「いま宗教に向きあうシリーズ」を紹介します。
その第1巻、堀江宗正編『現代日本の宗教事情 国内編I』(2018年)を読みました。

戦後の日本では、戦前の国家神道の反省に立って、かなり厳格な政教分離が貫かれています。さらに、宗教の話は、古くさい迷信だと思われたり、避けてとおる面もあります。初詣、地鎮祭、お葬式などで、習俗に近い形では広く受け入れられています。
しかし、人類は大昔から、形は違え、宗教とともに暮らしてきました。また、熱心に信じている人たちもいます。世界では、なお、宗教に起因する戦争も続いています。

私は、社会の安定機能としての宗教に、関心を持っています。人類はいろんな不安を持っていました。しかし、現代になって、飢餓、貧しさ、戦争、略奪などを克服し、多くの病気も治せるようになりました。すると、心の不安が大きくなります。孤立、いじめ、メンタルヘルスなどなど。古代から、宗教が、悩める人たちに心の平安を与えてくれました。
また、大震災の際には、遺族から「お葬式を出して欲しい」という要望がありました。また、親しい人を亡くしたことや、大災害に遭ったことで、心の悩みの相談が課題になりました。宗教は、この悩みに答えてくれる存在です。傾聴活動もしてくださいました。

今後、どのように、心の問題と取り組むか、宗教をどのように位置づけるか。社会の問題であり、行政も避けて通れない問題です。現状がどうなっているかを知りたくて、この本を手に取りました。いや~、知らないことばかりで、勉強になります。
この項続く