科学、市場経済、民主主義。その2

科学、市場経済、民主主義」の続きです。
これまで、人類に繁栄と安心をもたらした、「科学、市場経済、民主主義」の3つが、限界を見せています。

科学にあっては、高度な進化が、人類に危険を持ち込みました。原爆をつくり、人類滅亡の危機を招きました。遺伝子組み換えは、ヒトに適用されると、とんでもない問題を引き起こす可能性があります。不老不死が実現し、人工知能が高度になると、ヒトの生活にいろんな問題を引き起こすでしょう。
市場主義経済は、これまでも何度も恐慌を引き起こしました。また、貧富の差の拡大と固定を生んでいます。国際的格差と国内での格差は、解消されることなく、拡大しています。
民主主義は、指導者たちの理想が、不満を抱えた国民のポピュリズムによって、停滞と不安定に陥っています。

もちろん、これまでも、核兵器の使用や拡散を止める努力が行われてきました。1929年の世界恐慌を経験に、2008年の世界金融危機は比較的小規模で抑えることに成功しました。
しかし、科学者が、経済人が、国民が、自由に行動することで社会全体によい結果が生まれるという「神の手」は限界に来ているようです。
「自然と社会を人間が制御できる」という原点は変えない、変わらないとしても、「科学、市場経済、民主主義」という思想と手法は、修正が必要なのかもしれません。

自由を制限することが、1つの方法でしょう。中国の手法が、その一つです。これはある意味、民主主義より、また西欧型市場主義より、効率がよいようです。しかし、このような自由の制限は、私たちの望むところではありません。
科学と市場経済については、自己運動を続けることを、「人知=政治」によって制限することが考えられます。修正資本主義のように、これまでもそうしてきましたから。
しかし、民主主義は、有権者が参加して決めるということが基本です。その有権者の間に亀裂が入っています。それを、民主主義で修復することができるのか。難しいところです。