内包と外延、ものの分析

少々わかりにくい表題です。
あるものごとを解説したり分析する際に、そのものごとの内部を深く分析します。これを内包的分析と呼びましょう。もう一つは、そのものごとが社会でどのような位置を占め、どのような影響を与えたかを分析します。これを外延的分析と呼びましょう。
この2つの区分には、もっと専門的な用語があるのかもしれません。ひとまずここでは、内包と外延という対語を使っておきます。

例えば、キリスト教を学ぶ際に、聖書を読むことは内包的分析です。それに対して、キリスト教が古代ローマ、中世ヨーロッパ、新世界、そして現在社会にどのような影響を与えたかを分析するのが、外延的分析です。
交付税制度を解説する際にも、その算式を説明するのは内包的分析です。交付税制度がなぜ必要なのか、どのような成果を上げているかを説明するのが、外延的分析です。

四角な座敷を丸く掃く」で、四角の仕事を深掘りするか、その周囲を広げて考えるかを書きました。今日の話は、この話にも通じます。

ところで、古典と言われる自然科学や社会科学の著作も、それだけを読んでいても、その著作がなぜ古典と言われるかは分かりません。後世に意味をもつ古典は、それまでにないことを書いた、あるいはそれまでの常識を打ち破り、社会を変えたのです。後世の者にとっては、その解説が必要です。
良い解説書は、対象とする物事が、どのような社会状況にあって、どのような影響を与えているかを教えてくれるものです。この項続く