若手職人、労働か研鑽か

日経新聞夕刊「こころの玉手箱」5月31日、河野雅明さんの「愛用の包丁」から。

・・・ところで料理といえばホテル業と当然ながら縁が深い。ロイヤルパークホテルズでも多くの調理人を抱えているが、その育成が大きな課題になっている。
彼らはひたすら上手(うま)くなりたい。色々な料理法に挑戦したいと思っている。仕事が終わってもすぐには帰らず腕を磨きたい。先輩も教える。その時間は「研鑽(けんさん)」であって「労働」ではない。しかし労働基準法ではグレーゾーンだ。
私たちは業務でもないのに簡単には残業代を払えない。若者の方でも、教えを請う立場でお金をもらってよいのかと考え悩む。
事務所の仕事も職人たちも同じルールを適用しなくてはならない。難しい問題だ・・・

私が日経新聞夕刊コラム3月1日に書いた「仕事人間の反省」も同じです。駆け出しの頃、職場に泊まり込んで仕事をしました。労働をしているという意識はなく、勉強させてもらっていると思っていました。でなければ、残業手当も十分に出ないのに、明け方まで仕事をしませんわね。
自発的にするか、強制的にさせられるかの違いでしょう。もっとも、上司が指示していなくても、「やらざるを得ない」状況に追い込んだら、それは強制です。