予算執行を急ぐと・・・?

5月18日の日経新聞「司令塔不在の科技政策」から。詳しくは原文をお読みください。

・・・内閣府の大型研究開発プロジェクトである戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で、一部の候補者に事業の詳細を説明して応募を促していたことが判明した。プロジェクトを指揮する「プログラムディレクター」は公募が大前提で、選考の透明性や妥当性から疑問が投げかけられた。5年間に約1500億円規模の予算を投じる大型プロジェクトは、どんな問題を抱えているのか。
SIPは政府の総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)が主導して、2014年度に始まった。従来の省庁の縦割りによるテーマ選定をやめ、横断的な研究を推進することを目標に掲げた。産学官連携で基礎から実用化までつなげて産業競争力を高め、新たな市場や雇用を生むのが狙いだ。リスクは大きいが、成果が出れば社会や経済に大きな影響をもたらすテーマが対象になる。
今回問題になったのは、18年度から始まるSIPの2期事業だ。内閣府は12の研究課題についてディレクターを公募し、4月13日に11課題の内定者11人を発表した。このうち、10人は内閣府の依頼で関係する省庁が候補に挙げた研究者だった・・・

・・・2期は当初、19年度の開始を予定していたが、17年末に補正予算がつき、1年の前倒しが決まった。内閣府は3月にホームページで公募を開始し、短期間で選ばざるを得なかった。ディレクターは非常勤の国家公務員になるため、公募が通常の手続き。結果的に公募なのに、推薦で候補者を募っていることを周知せずに選考を進めてしまった・・・

・・・こうした施策で、科技イノベーション会議の司令塔機能が高まることが期待された。だが事務局の多くは各省庁や企業からの出向者で、必ずしも科学技術政策に詳しいわけではない。有識者議員の多くは非常勤だ。世界の研究動向も十分に把握できていない。
内閣府の大型プロジェクトは他にもあるが、ほとんどが当初の狙い通りの成果を出せていない。問題を抱えた体制を見直さずに推し進めても、成果は期待できない・・・