生産性を上げるために、サービスは有償

4月12日の朝日新聞オピニオン欄「サボりのススメ」、海老原嗣生さん(雇用ジャーナリスト)の「完璧求める意識変えては」から。
・・・生産性とは、アウトプットつまり成果を、インプットすなわち労働量で割ったものです。成果が一定なら、時間をかけて丁寧な仕事をするだけ生産性は下がります。極端なことを言えば、仕事をいい加減にして労働時間を減らした方が生産性は高まるんです。
日本で「生産性を上げる」というと、労働時間は減らさずに仕事を効率的にして、もっと成果を増やすことを意味します。これは、企業の問題というよりは、生産性に結びつかないものを社会が求めていることがあると思います。
たとえば日本は返品をゼロに近づけようとしますが、欧米は「不良品があれば返品してもらえばいい」という発想です。不良品率を1%から0・1%にするために労働時間が1割増えれば、生産性は落ちてしまうのに、日本はクレーム社会のために不良品には不満や文句がつき、返品すればいいという話にはなりません。社会が完璧を求めて、生産性を下げているんです。

「お客様は神様」の意識も問題です。「明日までに終わらせて」「いくらでやってくれ」と納期や金額の条件を示されると、「できません」と言いづらい。海外は「モノやサービスとお金の等価交換」という意識なので、客が厳しすぎる要求をすれば「やりません」で済みます。
そもそも、「サービス残業」が「無給残業」の意味で使われているのがおかしいんですよ。サービスには対価が伴うのが当然ですが、日本では「サービス=無料」という意識が根強くあります・・・

同じく、中田克哉さん(八重洲地下街相談役)の次の発言には、私も経験があります。
・・・ 当時は右肩上がりの時代で、土日出勤や残業は当たり前でした。一方で、会社には社員の息抜きを許容する余裕があったと思います。時間の流れも緩やかで、ラジオで高校野球の中継を聞きながら仕事することもありました・・・